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25話 地獄絵図

 スカイアリゲターの羽音が何重にも重なり鳴る。オレ達は完全に囲まれてしまったのだ。


「さっきから一体何が起こってるの⁉︎」

 

 そう叫ぶルナの気持ちもよく分かる。だが今は冷静に対処しなければいけない。

 

 スカイアリゲターは大した強さではない。一匹であれば駆け出しの冒険者でも問題なく狩れるしオレならば何匹かで纏まってきても倒せるだろう。


 だがあまりに!数が多すぎる!周囲を見渡すと123456......ああもう数えられるような数じゃない。


 この量はルナがいると言っても危ない。即座にそう判断した。この間スカイアリゲターが現れルナが叫んでから0.5秒。エレガント。


 と、言ってる場合じゃない。


「建物に逃げるぞ!」


 右側にあった家の扉を開けルナを押し込みオレも入る。そして扉を閉め施錠をした。ドンドンと扉が軋む。物質強化の魔術が使えれば時間をもっと稼げたのに!帰ったら覚えよう。


「こ、ここからどうしますか!」

 

 ルナは軋む扉を押さえながら言う。

 ここからどうするか。オレが聞きたい。

 

 一旦危機を逃れるために逃げ込んだのはいいがこのままだと扉が破られスカイアリゲターがなだれ込んで来る。だからといって自分から出るわけにも行かない。


 制限時間は扉が破られるまでの思考ゲーム。ここからどうやって生き残るか。脳をぶん回す。扉が破られるまで見たところあと1分もない。

 

 ——オレならできる。それまでに活路を見いバリーン!

 ......なんだうるさいな!ガラスの割れた音か?音の方を見る。


 壁の上の方にある丸い窓を割ってスカイアリゲターが一匹入って来ていた。オレは制限時間を勘違いしていた。扉を破るまでもなかったということか......。

 

 まあ、気を取り直して迎撃だ。さっきも言った通りスカイアリゲターは一匹なら恐るるに足らない。

 

 向かってくるスカイアリゲターに冷静にナイフでカウンターを喰らわせる。

 

 ナイフが脳に突き刺さったスカイアリゲターは絶命し床に落下した。


「び、ビックリした......」

「オレもだよ。まさかあんなところに窓があったとは」


 まあビックリした上で冷静に対処できるのがオレが一流の冒険者たる所以よな。


 それはそうとしてオレはあることに気がつく。


「なんか扉叩く音少なくなってないか?」

「え?」

 

 さっきまでは絶え間なく叩かれていたのに今はペースがかなり減っている。


「そういえばなんかうめき声聞こえませんか」


 言われてみれば確かに......。これはリビングデッドの声だ。まさか......!


「静かに......」


 耳を澄ます。リビングデッドのうめき声。スカイアリゲターの羽音。リビングデッドも叫び声。肉と肉がぶつかる殴打のような音。


「リビングデッドとスカイアリゲターが戦ってるんだ!」


「な......!」

 

 それならば脱出のチャンスか?いやしかし敵が増えただけとも取れる。少なくともそのまま地面を歩けばスカイアリゲターとリビングデッド両方に狙われることになるだろう。


 何か他の脱出方法......。あ、そうだ!稲妻のごとき閃きで体が痺れる。


「あの丸窓から逃げよう。屋根からならきっと」

「なるほど!」

 

 2人して部屋の家具に乗って丸窓から屋根へよじ登る。


「やっぱりそうだ」

「考えましたね」

 

 屋根を歩けば襲われない!リビングデッドはここまで来れないし空を飛べるスカイアリゲターも殆どが地面のリビングデッドと戦っているからだ。


「とにかくここから離れるぞ!」

「了解!」

 

 オレとルナは屋根の上を走り始めた。


 しかしただでは逃げられないようだ。スカイアリゲターがいくらかオレ達を追って屋根へ飛んできた。だが12345......今度は数えられる程度だ!このくらいのペースで来るなら問題はない。向かってくるスカイアリゲターを捌きながら走る。


「ルナは大丈夫か!」


 一応聞いたが正直心配など微塵もしていない。ウッタクルを倒しフットフィッシュを食ったあの後、他のモンスターと戦闘することもあったがルナは大活躍だった。凶悪なモンスターも問題なく薙ぎ倒していたのだ。


 「力」があることもそうだがモンスターと恐れながらも対峙できるその精神力が只者のそれではない。

 

 彼女は冒険者の才能があるし戦闘だけに関して言えば既に一線級の実力者だ。

 

 後ろを振り向く。彼女は予測通り、期待通り、周囲を飛ぶスカイアリゲターを殴り、投げ、絞め、蹴散らしていたのだ。


「舐めないでくださいよ!」

 

 モンスターと戦う恐怖もかなり克服してきているようだ。

 

 もうオレが彼女のことを心配する必要なんてないかもな。

 もしこの先別れるようなことがあっても大丈夫かもしれない。


 オレは逃げながら下をチラリと見る。無数のリビングデッドとスカイアリゲターが殺し合っている。後ろからは咆哮が聞こえる。まさに地獄絵図だ。


 だが一安心。オレ達はこの地獄から一足先に抜け出すことに成功したのだ。もうスカイアリゲターは追ってこなかった。

読んでいただきありがとうございました。

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