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18話 作者は料理エアプです

「クロウド君、なんか調味料ある?」


「塩を持ってるな」


「鍋は?」


「あーこの水筒が加熱できるタイプのやつだ」


「おk」


「じゃあ私料理長だから、サポートしてね」


「はい?」


 ちょっと小さいのが気になるけど鍋代わりがあるならスープにしようか。ここ少し寒いからね。


「じゃあクロウド君、鍋を加熱できるやつを作ってくれたまえ」


「いいけどなんだそのノリ」


 クロウド君があらかじめ拾っておいた枝で焚き火を組み立てる間に私をまな板を用意する。


 平べったい石があったのでそこを水で洗う。クロウド君が魔術で殺菌できるというのでしてもらった。浄化の魔術らしい。

 そこにフットフィッシュを一匹のせる。三匹いるので足は合計で6本あるが今回は2本使おう。残った分は保存する方法があるらしい。


 まずは足と体を分離させるために足の付け根に貸してもらったナイフを入れた。見た目よりも筋肉質で硬かったがしばらくギコギコと体重をかけながらナイフを動かしていたら着ることができた。もう片方も同じように切る。


 ついでに他のフットフィッシュの足も切っておいた。この方が持ち運びに便利だというクロウド君の指示だ。その4本はもう切らないので端に寄せておいた。


 さて、まずは皮を剥ごうか。そうすれば人間の足感はマシになるだろう。調理もしやすくなるというものだ。


 皮は薄くて剥きにくかったがモモとふくらはぎの部分は剥けた。足首よりも下は骨張っていて食べにくそうだから使わない。なので切り落としておいた。もう片方も同じように。


 こうして皮も足首もなくなればなんの肉か分からない。ピンク色の筋肉が丸見えだ。しかし切った部分の断面を見てみたら骨がかなり細いのが目についた。やはり人間の足とは違うのだな。


 ここまでくればあとは単純作業だ。骨から肉を適当でいいので剥いでミンチにするだけ。しかしそうなると筋肉硬いから結構な力仕事なので......


「焚き火の設置終わったぞ。あと近くで水も組み直してきた」


 後ろからクロウド君の声がかかった。ナイスタイミング。


「丁度よかった助手君。交代してくれるかね」


「......今はそのノリで通すんだな」


 ミンチ作業は助手君に任せて私は鍋の準備だ。焚き火は火の上に木の枝で鍋(水筒)を吊るせるフックが用意されていた。


「助手君!これフックごと燃えないかな」


「火加減次第だな。もう火つけるならオレやるよ」


 クロウド君はそう言ってナイフから火を出して焚き火をつけてくれた。あのナイフいいなー。


 火が大きくなりすぎないように燃料の枝を追加しながら鍋を沸かす。丁度クロウド君が肉を剥ぎ終わったみたいなのでそこに骨をを入れる。これでスープを摂るのだ。あとついでに塩も入れとこう。


「ミンチにできたぞ」


 クロウド君の方を見るとさっきまで形を保っていた肉は全て細切れになっていた。流石に早いな。


「じゃあそれを丸めてこの中に入れちゃおう!」


 私達は2人がかりでミンチを丸めて団子にし、スープの中へ投入した。

 これをもう少し煮込んで肉団子に火が通れば......

 

 完成!フットフィッシュの肉団子スープ!

 

「じゃあまずは助手君からどうぞ」


「ああ」


 取り皿ないし食器も一人分しかないので回して食べるしかない。いわゆる間接キスになるがもうどうでもいいわそんなの。そんなこと言ってられる状況じゃねんだ。


 クロウド君がスープに口をつけて肉団子も食べる。美味しいかな。まずかったらどうしよう。そんな想いの中、クロウド君の口から飛び出したのは


「美味い!」


 絶賛だった。


「なんというか、味、旨味がなんか溶け出してて、食感がべちょっ、じゃなくて......とにかく美味い!」


 食レポ下手!全く伝わってこなかった。


「ほんとに美味しかったの?」


「じゃあお前も食ってみろよ。どうぞシェフ」


 そう言って彼は水筒(鍋)とフォークを差し出してきた。


 私はそれらを受け取る。鍋の持つところにはモンスター(ウッタクルと言ったか)から取ったでかい葉っぱを巻いているので熱くない。

 

 恐る恐るスープに口をつけ、そのままフォークで肉団子も口に流し込む。


「こ、これは......!」


 まずこのスープ。骨の出汁がよく効いてる。これだけでもちゃんと味がする。次に肉団子。鶏肉に似た味する。元々は魚の体だったとは思えない。ただ、スープもそうだったんだけど、めちゃくちゃ血の風味がする。血抜きってやつしてなかったからかな!肉団子もボエボロ崩れてるし。


 正直な事を言うと、これ空腹だから食えてるだけでまずいかも......


「オレは美味いと思ったよ」


 声が私の思考を遮る。


「気を使わなくても......」


「気なんて使ってねえよ」


 クロウド君は水筒を私から奪い取ってまたスープを飲んだ。


「オレダンジョンの中で食べるのはいつも冷たいものだったんだ。干したものとかの保存食って奴だな」


 彼は喋り続けながら私に水筒を返す。


「別にそれらは美味くないんだけど腹満たせればいいやって思ってたんだ。オレにとってダンジョンでの飯はただの栄養補給になってたんだよ。だからビジュアルなんて気にしてなかったし味なんて二の次だった」


 そう言って私の目を見る。


「だからオレこんなあったかい物ダンジョンで久しぶりに食べてさ、おもったんだよ。食事を楽しむこと忘れてたなって。少し余裕がなかったかななんて。今回みたいな頑張って作った料理は多少出来が悪くても楽しく食える」


「クロウド君......」


「だから、多少ボロがあっても楽しく食べれるこの料理をオレは美味いと思えた」


 彼は喋り終えるとバツが悪そうに鼻を擦った。


「そっか」

 そう言われたら血の風味がするこのスープも少し美味く感じる。

 あのキモい足が嫌だったから分かりづらくするためにこの料理にしたんだけど、なんかいい話になってよかったな。


 私はグッとスープを飲み干した。

 


「さて、腹も膨れたし休憩したら七層に向かおう」


「いよいよですね。七層はどんな場所何ですか」

 

 新天地。怖いけど少しワクワクもする。


「一言で言うと街だな。家やらなんやらの建造物が所狭しと並んでいる」


「おお、モンスターはどんなのがいるんですか?」


「モンスターは殆どいない」


 え、殆どいないの?楽勝ジャーン。その感想を声に出して言うとクロウド君は怪訝な顔をした。


「殆どいない......一匹と......だけだ。だがその一匹が何より恐ろしい。奴は冒険者達から畏怖を込めてこう呼ばれている」

 

 ......死神と。

 

 そう言ったクロウド君の影が焚き火と共に揺れた。

読んでいただきありがとうございます

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