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13話 戦友

 両手を握ったり開いたりと動かしてみる。あれから十数分ほど経っただろうか。まだ痺れが残るがようやく体が動くようになった。


「落としたナイフと、あともう一本刺さってたナイフ拾ってきました!」


 ルナがナイフと発炎刀を握って駆け寄ってきた。


「......ありがとう」


 立ち上がってそれらを受け取って腰に収める。万全でないこの体では少し重く感じた。

 

「動けるようになったんですね......」

「ああ、ある程度はな。モンスターにあっても逃げるくらいはできる。ルナは大丈夫か」


「あ、はい私は平気です」

  ......平気だったらおかしいんだけどな。攻撃をモロに何度もくらったんだ。しかし実際のルナはピンピンしている。


「......やっぱ私おかしいですよね」


 自分で分かってたんだ。彼女の身体能力の高さは明らかに異常だった。

 

「なんかおかしいなと思ってたんですよ。モンスターがやたら弱いし」

 

 それはモンスターが弱かったわけじゃなくて、お前が強いだけだな。そうツッコみそうになった。

 

「でも私が強かったんですよね」

 

 流石に自覚してたらしい。

 

「私、魔術?なんて使ってないはずなんです。使い方も分かんないし!だからなんだか怖くて。何か分かりませんか?」

 

 そう言った彼女の顔はあまり優れたものじゃなかった。確かに自分に未知の力が眠っていてその正体も理由も分からないというのは気分の良いものではないだろう。

 

 幸い、オレにはその力の正体に関してほんの少しだけアテがついていた。

 

「......歩きながら話そう。時間は有効に使ったほうがいい」

 

 オレ達は暗く巨大な森の中を再び歩き始めた。

 

 

「聞いたことがある。世の中には魔術を使わずに魔術を使ったようなことを出来る人間がいるって」


 宣言通り歩きながらオレの知っていることを話す。ルナも話を横で歩きながら聞いている。

 

「魔術を使う時は魔力を身体に巡らせるんだが、そいつらは全く体に魔力が巡っていないのにルナのように強靭な体だったり炎を出すやつだっていたそうだ」

 

「つまり私はそれと同じってこと......」

 

「まあ前例があるって話だ。噂程度でしか聞いたことないしオレは実際に会ったことも見たこともない」

 

「そう、ですか......」

 

 ルナの顔は見るからに曇っている。まあ、要するに殆ど何も分からないって話だったからな。結局その力の得体は知れないってわけだ。力の正体が分からないということは自分にどのような影響があるかも把握しきれないということだ。不安にもなるのかも知れない。オレだったら便利だから喜ぶが。

 

「......色々不安はあると思うけどな、」

 

 いつまでも辛気臭い顔をされていては敵わない。励ましついでに本音を伝えることにした。自分のことを語るのは得意じゃないんだがな。

 

「オレは嬉しいよ」

 

 ルナが顔を上げてオレの目を見る。

 

「こんな場所で遭難して、1人で戦っていくもんだと思ってたからさ。ルナが戦えるって知って、仲間がいるってわかって、オレは嬉しいよ」

 

 ついルナから目を逸らしてしまう。やっぱり正直に話すってのはなんだかむず痒くて好きじゃない。


「あのモンスター、ウッタクルって言うんだけど、倒してくれて......ありがとう。正直死にたくなかった」

 

 これでオレの考え、気持ちは伝えた。覚悟を決めてルナの方を向く。そうしたら満点のいい笑顔が視界に入ってきた。

 

「命救ってもらってますからお礼言いたいのは私の方ですけど、それならどういたしまして。そんなに嬉しかったならよかったです」

 

 ルナはそう言って改めてニッと笑った。その笑顔の可憐さに一瞬動揺する。不覚だ。気を引き締め直さないと......。今まで意識してなかったがルナは結構可愛いのだ。

 

「......あの、クロウドさんっって何歳ですか?」

 

「19だけど......」

 

 正直に答えたが一体なんの質問だ。元気が出たなら別になんでもいいが......。

 

「私も多分そのくらいですよね?」

 

「多分そうだな」

 

 ルナの身長、体格から見て恐らく10代後半、17〜20といったところだろう。オレと対して離れていないと思う。

 

「じゃあさんじゃなくて君付けでいい?」

 

 ルナがオレの顔を覗き込みながら言う。驚いて体をのけぞらせた。なんかさっきから距離感近いな。

 

「......好きにしてくれ」

 

「やった!あ、気楽にクロウドっちとかもいいと思うんですけど」

 

「......それは勘弁してくれ」

 

「へへ、じゃあこれからよろしくお願いしますね、クロウドくん?」

 

 オレの前に回り込んでわざとらしい上目遣いでそう言った。これもかなり可愛かったと思うがさっき気を引き締めたのでこのくらいではもう動揺しない。オレはスマートに「ああ、よろしく」と言って握手をした。オレは一流の冒険者だからな。こういうところもスマートだ。

 

 そうして新たにできた戦友と2人で再び歩き始めた。色々あったがまずは食料獲得を目指して目的地である沼へ!

 ていうかさん付けはやめても敬語はそのままなんだな。

読んでいただきありがとうございます

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