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49 土の精霊は熱弁を振るう!

 さて、ヨアヒムに力を貸していたらしい土の精霊が消え、みんなの視線はフェリシア様とヨアヒムへと向かいました。


 ですが、二人は先ほどの姿勢のままお互いを見つめたまま動きません。


 部屋の中の人たちは気まずげになってきて、目配せをして部屋から退室するかどうかを相談しているみたいです。……器用ですね。


「ああ~、もう~、じれった~い!」


 そこに声が聞こえてきて、ハッとしたお二人を含めて部屋の中の人はキョロキョロとあたりを見回しました。


 えーと、私の目には先ほどとは別の土の精霊様が見えていますけど、皆様には見えていないんですよね。……気を利かせてくれたのか、土の精霊王様がちょっぴり力を分け与えました。そのおかげで土の精霊様の姿がみんなに見えるようになったんです。


「もう! 再会を喜び合うのなら、さっさと抱きしめなさいよ。本当にヨアヒムは気が利かないんだから!」


 精霊様はプンプンと怒っています。……少し疑問に思ったので、精霊様に聞いてみましょう。


「土の精霊様、あなたはもしかして、お二人のこれまでのことを知っていらっしゃるのですか?」

「そうよ。精霊王様方に愛されし人の子、カミーラ」


 ……なんか、たいそうな言われ方ですね。……ではなくて。


「えーと、今までのお話の中で、ヨアヒムさんの姿を変えるために力を貸していたのが、先ほどの精霊様ですよね」

「ええ、そうよ」

「あなた様はヨアヒムさんやフェリシア様にお力をお貸ししていたのですか」

「まさか―、するわけないじゃない」

「えーと、では、どうして……その、こちらにいらっしゃるのでしょうか?」


 私がそう聞きましたら、土の精霊様は「やーだー、さっきミポル様が言ったじゃない」と言いました。そして、ふんぞり返るようにしながら、腰に手を当てて、反対の手は人差し指を立てながら話しだしました。


「いーい、よーく聞きなさいよ。このヨアヒムは、元々は借金まみれの伯爵家の五男に生まれたのよ。だけど、生まれて早々に子爵家に養子に出されたのね。その家には子供がいなかったからよ。なのに、ヨアヒムが養子に入って3年後、その子爵家に待望の子供が産まれたの。それが女の子だったらよかったのに、男の子だったから、もう~喜んで溺愛をしまくったの。ヨアヒムには養子に取った手前なのか、普通に育ててはいたけど、差は歴然としていたわ。そしてヨアヒムが8歳になった時に悲劇が起こったの。子爵家は実子に家督を継がせたいがために、ヨアヒムを他国に追いやって亡き者にしようとしたのね。ああ、ヨアヒムの生国はフェリシアの国ではないのよ。そこからかなり離れた国ね。それで、ヨアヒムが産まれた国は、家督を相続する後継者の届け出をだしたら、簡単には変えられないのよ。よっぽど問題がある人物か、その人物が亡くなりでもしないと変更がきかないのよ。でも、死因については調査が入るから、国内で殺すことは出来なかったの。子爵家は外国でなら亡くなっても追及されにくいと考えたのよね。信用できる人をつけて、ヨアヒムを留学のために送り出したという、態を装っていたわ。ただね、ヨアヒムにつけた人物は狡猾な奴だったの。殺したことにして、ヨアヒムのことを売ってしまったのね。これでそいつにはヨアヒムを殺すためにならず者を雇うお金と、ヨアヒムを売ったお金が手元に残って、家族に少し贅沢をさせていたわ」


 ここまでを、土の精霊様は一気にしゃべられたのよ。続きを話すために一息ついた隙をついて、私は精霊様に聞いたの。


「あの、精霊様。この世界では人身売買は禁止されていますよね。ヨアヒムさんを売る場所って無いように思いますけど?」

「ああ、カミーラは知らないのね。表立ってはしてないわよ。裏の世界で行われているのよ。だから、たまに妖精が捕まったりすると、高値で取引されているわね」

「ええっ! 妖精を売買するんですか。助けないんですか」


 そう聞いたら、土の精霊様はニヤリと笑った。


「もちろん、助けるわよ。大体捕まるのは、朝露の妖精などの、弱い子が多いの。そんな子を捕まえるだけでも許しがたいじゃない。捕まえる奴もそうだけど、売る奴も買う奴も許せないわよね。ちょうどいいから、みんなで遊んであげることにしているわ」


 土の精霊様の言葉に、精霊王様方もいい笑顔をなさっています。……うん、自業自得だよね。精霊様たちのお遊び……ブルッ。


「えーと、そうそう、ヨアヒムがなんでフェリシアと出会えたのかを、話そうとしていたんだったわ」


 土の精霊様は私にニコリと笑いかけてきました。


「ヨアヒムを買ったのは旅の商人だったの。もちろん合法なものも扱うけど、非合法なものも扱う人だったのね。彼は遠くの国に行くことが多くて、他国の人、特にヨアヒムみたいに赤銅色の肌をした人なんかを、白い肌の国の人に売ったりしていたのよ。ここいら辺のお国では珍しいでしょ、ヨアヒムは!」


 確かにそうです。姿が変わったヨアヒムさんは、この近辺の国では見ない筋肉が隆々と盛り上がった、素晴らしい体つきをしていますものね。


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