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45 公侯爵家も減りました

 この国には十二家の公爵、二十三家の侯爵がありました。ですが、南の地へ送られなかった家は、三家の公爵、四家の侯爵だけだったそうです。かろうじてクレメンス公爵家は、ミルキア様とお母様のパターナ様のおかげで残ったようでした。


 それから、元公爵が語られた中に宰相様のことがありました。宰相様は罪を着せられた第二王子様の子供だというのです。


 ◇-◇


「なので、わしは宰相であるエリク・クラルス様が、王位につかれたほうが良いと思います」


 クレメンス元公爵はしっかりと宰相様の顔を見ておっしゃいました。宰相様もしっかりとクレメンス元公爵のことを見つめてから口を開きました。


「いいえ。私を国王にというクレメンス元公爵様のお気持ちはうれしいのですが、それは出来かねます。私が王位についたとしても、あとを継ぐ者がいません。今から新たに王妃となる者を選び、それから後を継ぐ者をとなると、その子が大きくなるまでに時間がかかります。それまで周り(・・)が黙っているとは思いません。ただでさえこの国のことを知り、もう盗りに動こうとしていると思われます」

「じゃが、ここには精霊様の加護を受けし者がおるのだぞ。その者を危険に晒すことをするかのう」


 宰相様の言葉にクレメンス元公爵が疑問を投げかけるように言いました。


「甘いですよ。先ほど精霊様は、人の世のこと、それも国のことには関わらないとおっしゃった。それを周辺諸国も聞いていたのです。なので人同士、それも国同士の諍いには、精霊様方が干渉してこないと思い、戦支度をしていることでしょう」


 宰相様の言葉に、集まった方々は顔色を青ざめさせています。


「お分かりになりましたか。私が国王になるよりも、ウィルキン・ハルスメキアが国王になった方が国は安定します。彼にはそこにいるジョシュという、優秀な息子がいます。他にも男の子がもう一人と女の子が一人います。後継には困りません。それに今までと同じように私が彼を支えるとお約束いたしましょう」


 宰相様の言葉に、それまで黙っていたフェリシア様が発言を求めるために、手をあげられた。ヨナカマーニ侯爵は「どうぞ」と許可を出した。


「私も及ばずながらお力になりたいと思います。王妃となられる方の補佐を致しましょう」


 フェリシア様の言葉に、ざわめきが起こりました。……えーと、誰なのかな? 30代半ばくらいの男性が口を開いたのよね。


「それではフェリシア様は国に戻られないのですか」

「今更ですわ。この事態を知ったら、兄は私たちが国に戻ることを許さないことでしょう。皆様にお許しいただけるのでしたら、私と息子はこの国のために力を尽くさせていただきます」


 きっぱりと言い切ったフェリシア様に、オリバー様も頷いて同意を示していました。


「本当によろしいのですか。ご苦労をおかけすることになりますよ」


 宰相様が確認するように聞いています。フェリシア様は惚れ惚れするような笑顔を浮かべました。


「今までに比べたら、遣り甲斐がございますもの。苦労でもなんでもございませんわ」


 宰相様は何も言わずに頭を下げて感謝の意を示していました。……まあ、そうよね。正妃様として、すごーく苦労をなされていたんですものねえ。それをあの国王ときたら! それに比べたら、遣り甲斐があるというくらいですもの。苦労の苦の字にもならないことでしょう。


 クレメンス元公爵が発言されてから、ずっと黙っていたハルスメキア男爵が、手をあげて発言を求められました。


「クラルス宰相、あなたの言葉を疑うわけではないのですが、本当に私が正当な血を引いているのですか」

「もちろんだ」

「それについては~、ボクらも~、保証するよ~」


 宰相様に続いて、ミポルが同意の声をあげました。ハルスメキア男爵はミポルが言葉を挟むと予期していたのか、しっかりと頷きました。


「わかりました。私が国王になることで、少しでも混乱が早く収まるのでしたら、王位につかせていただきます」


 ハルスメキア男爵の言葉に、集まった人たちからワッと歓声が上がりました。それだけでなく、窓の外からも歓声が聞こえてきました。……って、あれ? もしかしてこのやり取りも全世界に聞かせていたの? ええっ~。それってまずくない? 近隣の野心を持った国から、本当に戦争を仕掛けられてしまうんじゃないの?


 ミポルがそんなことをするわけがないと思うけど……思いたいけど……。


 ジッとミポルのことを見つめたら、私の視線に気がついたミポルがにっこりと笑ってきた。信じていいんだよね。私が嫌がることはしないという、精霊たちの気持ちを。……視線にその気持ちを込めてミポルのことを見ていたら、国王に決まったハルスメキア男爵が口を開きました。


「皆様、私の戴冠などについては後ほど相談するとして、今は混乱している国情をどうにかしましょう。まずは南の地から来た領民の確認を。次いで、処罰され南の地に送られた貴族たちの確認。それから領地や私財についてなどの確認。それをすべて調べ上げたのち、それぞれの所領を決め直したいと思います。それと共に、騎士団の再編と国境の警備の強化もしなくてはなりません。騎士団のことはデドロイド副騎士団長に掌握をお任せする。よろしく頼む」

「「「はっ!」」」


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