42 では刑の執行です! ……って、目の前から消えました!
「それじゃあ、もういいね。大広間に行って、南の地に行く人達と別れの挨拶をしようか」
ミポルはにこりと笑ってそう言った。
精霊王様を含む私たちは部屋を出て、歩いて大広間へと行った。大広間の中にいた人たちは入ってきた人たちのところに、駆け寄る人が多数。この中にはもちろん宰相夫人もいた。……相変わらず派手ですね~。宰相様に詰め寄ろうとしたけど、ラキアに止められていた。
他にも、魔術省長官の家族とか、魔道具担当教師の家族とか……家族に詰られていたりしたけどね。
パンパン
大きく手を打ち鳴らす音が聞こえてきた。これはミポルがしたこと。みんなが注目したのを見て、ミポルはにっこりと笑った。
「さて、それではもう一度、今回の刑について説明するよ。君たちはこれからこの国の南の地に送られることになる。そこで暮らしてもらうことになるんだよ。そこで暮らす条件としては、一つ、その地に住むこと。二つ、君たちはその地から他にはいけない。三つ、自分たちのことは自分ですること。四つ、他の人から奪ってはならない。五つ、対価を差し出せば購入することもできる」
それから「ん~」と少し考えてからミポルは言葉を続けた。
「あと付随することだけど、あの地でなら君たちは何をしてもいいよ。国を作るのなら作ればいいし。他には罰の一つとして二十年は生きられるとか、一応生活するのには困らないものは持っていくのを許可しているから大丈夫だよね。あの地は豊かだから収益も見込めると思うし」
そう言った後も何か言いたりないのか、ミポルは「ん~」と、また考えこんだ。それから、手をぽんと打ち合わせた。
「あ~、そうそう。交易が出来ないのは君たちも困るでしょう。君たちは外に出れないけど、外からは商人とかが入ってこれるからね。えーとー、これを聞いている他の国の人達。この人たちと交易しようとするのはいいけど、ぼったくりは駄目だからね。少しの上乗せは許すけど、足元をみて吹っ掛けるようなら、その人達にも罰を受けてもらうことになるからね~。いいかい。そこのところを間違えないでね~」
ミポルの言葉の後半に、目を瞬かせる罪人たち。少しして笑顔を浮かべる人が何人かいた。……どうやらまた、都合がいいように解釈したみたいだ。だからさ、そんなに甘いわけないって、どうして気がつかないかな?
「あっ、そうだ。もう一つ! えーとさ、もう一つ闇の精霊王様から、特別な罰があるからね。それは向こうに行ってからのお楽しみ~、だよ~」
もう一度ミポルはにっこりと笑った。
「それじゃあ、送ることにするね~。でもそのままじゃ困るだろうから、三時間あげるね~。ちゃんと生活をするのに困らないように、聞くとことかは聞くんだよ~。じゃあね~。いってらっしゃ~い~!」
そういうと、私の周りを魔力が渦巻いた。押しつぶされないように守る力も働いたけど、風が吹き荒んで目を開けていられなかった。レイニーが庇うように抱きしめてくれた。でも目を開けていることが出来なくて、私は慌ててギュッと目をつぶった。
◇-◇
唐突に風が収まった。目を開けて……見えた光景に唖然とした。
私達が立っている場所にはあるべきものが無くなっていた。なのでお日様がさんさんと降り注いでいる。庭園に集まっている人の顔もよく見えた。
「本当に城がない」
茫然と呟かれた第一王子様。残された方々は辺りを見回して、建物が無くなった部分を確認していた。
「う~ん、このままじゃ、この国のほうが困るよね~。そうだな~、アオニルの離宮でいいか。それを持ってくるから、すこ~し、離れてくれるかな~」
私達は庭園のほうへと移動した。ミポルは「そんじゃあ~、いっくよ~」と手を振った。
また、魔力が動いたけど、今度は風が吹き荒れはしなかった。というか、しばらくは何も起こらなかった。それでもじっと待っていると遠くから何かが近づいてくるのが見えた。
……本当にお城を運んできたのね、ミポル。
ミポルは細心の注意を払って離宮をそっと降ろした。もともとの王宮よりも離宮は小さいらしく、何もない地面が見えているところがある。
「とりあえずは~、これで~、用は足りると思うよ~。ふい~、疲れた~」
そう言うと、ミポルはいつもの手のひらに乗るくらいの大きさに戻り、フラフラと私の肩の上へと着地をしたのでした。
「とりあえず、中に入りましょう」
水の精霊女王様が、ミポルの代わりに私達を促して離宮へと足を踏み入れることになった。
この離宮はもともと王城として使われていたそうなの。それが人が増えたことで今の王都に移転したらしいわ。
なので、ちゃんと玉座の間や大広間など、王宮としての機能には困らない作りになっていた。ただ、プライベート空間と言える部分が、ここにあった王城と違って、別に備わっているわけではないそうなの。
まあ、そこはこれからどうにかすればいいのよね。
とりあえず座れる……会議室に落ち着いて、お茶のセットを前に一休みすることになったのでした。




