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41 ……反省って言葉を知らないのかしら?

 にっこりと笑うミポルに私は言葉が出てこなかった。宰相補佐はまたまた疑問に思ったみたいで、今度は私に聞いてきた。


「ユンテス殿、五年という年数は何処から出てきたのでしょうか」

「えーと、学院の案内に十五歳になったら必ず学院に入らないとならないと書いてあって、そのあと二年国の機関に勤めることになると書いてあったので、五年は帰れないと思ったんです」


 それを聞いた宰相補佐は息を吐き出した。


「そういうことでしたか。ですが、予定より早く学院に入ることが出来るようになってしまったので、期間がずれてしまったんですね」


 ……うん。私も考えてなかったのが悪いんだけど、なんせ辺鄙というくらいなところに村はあったのよ。王都まで行くのに、歩いてふた月ちょいかかってしまったのね。馬車とかに乗ることが出来ればもう少し早かったのかもしれないけど、途中で寄り道も多かったからね。仕方がなかったのよ。


 えーと、寄り道先を言った方がいいかしら? 王都までの間に精霊たちがたくさんいるところがいくつかあって、そこに顔を出しながら旅をしたのね。別に何日までに王都に着けとか、学院に何日までに来いとは言われていなかったから、ゆっくりと旅をしたのよ。……というかねえ、精霊たちの歓待がすごくて、数時間だけで離れることが出来なかったのが、敗因でした。……ん? 敗因ではないわね。私とレイニーも楽しんだもの。


 でも、まさかミポルが村を発った日から五年と考えていたとは思わなかったわ。


「ねえミポル、村に帰るのは私も賛成なんだけど、でも……ね」


 ミポルにそう言ったら、ミポルはにこりと笑った。


「わかっているよ。学院の卒業式に出たいんでしょう。もちろんそれが済んでから、村に帰るでいいからね」


 よかったー。これでミルキア様と一緒に卒業が出来る。ほっと胸を撫でおろしたら、またおおバカの声が聞こえてきた。


「そ、そうだ。南の地に送られたら、卒業式に出られないじゃないか」

「私がいなくなると学院の授業が滞ります」

「私もです」

「私も」


 おおバカに便乗して教師たちが騒ぎ出した。……あのさ、学院長の視線に気がついてよ。あんたらなんか、居なくていいっていってるよー。


「それは君たちの自業自得でしょ。もう決定したんだから、変更はきかないよ~」


 ミポルが笑みに圧を加えて言って、彼らを黙らせた。


「それじゃあ、あんまり遅くなると~、新生活に支障がでるよね~。そろそろ南の地に送ってあげようかな~」


 ミポルがのんびりと言ったら、いよいよ送られるのだという人たちが、顔色をまた青ざめさせた。


「じゃあ、紙を回収しようかな~」


 ここに残っていた人たちの紙を、精霊たちが持ちあげてミポルのところに運んでいく。そんな中で国王だけが、まだ紙を握りしめていた。


「あれ~、国王はどうしたの?」

「納得できん」


 絞り出すように言われた言葉に、ミポルが首を傾げた。


「なんで私が南の地に送られなきゃならんのだ。それだけでなく、どこの誰だかわからん奴の下で仕えなければいけないんだ」


 この言葉を聞いたミポルが「忘れてたー」と声をあげた。


「そうだった~、言い忘れ~。君たちの行く南の地は、この国から独立させるからね。そこで君たちは国をつくるなり何なりすればいいよ~」


 この言葉を聞いた部屋の中の人たちは、動きを止めた。まるで息をするのも忘れたみたいに、驚愕に固まってしまった。


「それは、本当ですか」


 宰相様が確認の声をあげた。ミポルが「もちろん」と、答えたら、じわじわと実感してきた南の地に送られる人たちの顔に笑みが広がっていった。……う~ん、こう言っちゃなんだけど、絶対裏があると思うのよね。


 おっと。精霊は嘘を吐かないんだから、言ってないことがあるというほうが正しいか。それか、わざと曲解させるように伝えてあるかよね。


 そうしたら、何かを考えていた国王が嫌な感じにニタリと笑ったの。


「それなら、私は是非ともこの王宮を持っていきたい」


 国王の言葉にまたしてもシーンとなる人々。まさか精霊がそんなことを許すわけはないだろうと、ミポルのことを見つめる人達。それなのに、ミポルは「う~ん」と考えたあと、意外な言葉を口に出した。


「それもいいかもしれないな~」

「「「えっ?!」」」


 驚きに固まる人達。私もミポルが何を考えてそう言ったのかわからなくて、凝視したのよ。


「だってさ、住むところは必要でしょ~。王宮を丸々運べば、部屋は一杯あるから、みんなで住むのに困らないでしょ~」


 ……つまり、裏を返せば、それぞれの貴族が館ごと南に行きたいというのを、阻止できるということね。


「うん。これはいいや。そうしよう。でも~。さっきも言ったけど、代々伝わる物などは、南には持っていかせないからね」

「はい。それで結構です」


 王様はドヤ顔を正妃様たちに向けている。正妃様たちはあまりのことに、言葉もないようだ。その顔にムカついたけど、今は黙っておこう。……正妃様、大丈夫ですよ。ミポル達精霊は甘くはないんですからね。きっと何かからくりがあるんですよ~。……あるんですってば!


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