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26 精霊の加護の真実

 しばらく誰も口を開こうとしなかった。その中で口を開いて閉じてを数回していた、第一王子のオリバー様が意を決したように口を開いた。


「発言することをお許しください」


 水の精霊女王様はニコッと笑って頷いた。


「私の推測なのですが、加護を与えられる人間というのは、加護を与えられないと生きていけない者なのではないでしょうか」

「まあ、流石ね。緑の精霊王が気にかけるだけのことはあるわ。本当にそこの者(・・・・)の血を引いていなくてよかったわね」


 部屋の中はシーンと静まり返った。水の精霊女王様の言葉が信じられなかったのかしら。……それとも『そこの者』というのが、誰のことを指すのかわからなかったとか?


「水の女王様、解ってないこいつらに~、加護のことを~、説明した方がいいですか~?」


 ミポルが伺うように聞いてきた。水の精霊女王様は「ん~」と少し考えてから言った。


「お願いしていい? 風の王子。この事は周知してもらったほうがいいと思うわ」


 ミポルは恭しく頭を下げてから、面白くなさそうな顔をして、人々へと顔を向けた。


「それじゃあ~、わっかりやす~く、説明してやるよ。ボクら精霊が人間に加護を与えるのは、神から任された『人間を守り教え導く』ためさ。人間はボクらほど魔力がないけど、たまに人の身に余るくらいの魔力を持って生まれてくる子供がいる。そのままにしておくと、魔力を暴走させて周りにも多大な被害を与えて、自滅してしまうのさ。それを防ぐために加護という名前で力を制御できるまで守っていたんだよ。大人になっても、たまに魔力を暴走させる人がいたから、死ぬまで加護を外すことはしなくなったのさ。あと、加護を与えられた人間は大体において高潔な人物が多くて、人のために尽くそうと考えたんだ。そう云った人たちが慕われ支持されて国王となった。それにその血を受け継いだ者にやはり魔力が多いものが生まれやすかったから、そのまま血筋にも加護を与えることにしたんだよ」


 へえ~、そういうことだったんだ。……ということは、第一王子のオリバー様は、加護を与えられるくらい魔力が多いのね。すごいわ~。……ん? んん? 待って。じゃあ、私って!


「え~と、ミポル。いえ、精霊王様方。あの、私ってもしかしたら、四重に封印しなきゃいけないくらいに、魔力が多いんですか?」

「違うよ! 封印じゃないってば! カミーラが健やかに育つように、お手伝いのために加護を与えたんよ」


 ミポルが強い口調で否定した。


「そうだぞ。我が加護を施したのは、風にばかり持っていかれるのは面白くないからだ」


 と、水の精霊王様。……面白くないって?


「水の王の言う通りだ。我は離れたところにいたから、一番近くにいた風の王がカミーラのことを独り占めしようなどとしたのが悪いのだ」


 と、火の精霊王様。……独り占めって……。というか、言葉が変?


「私もカミーラが産まれてくるのを楽しみにしていたのですよ。それなのに、一瞬の隙をつかれて出遅れてしまうとは。一生の不覚でした」


 と、緑の精霊王様。……なんか、私って景品みたい?


「四大精霊王が動いたから、私は見守るだけにしていたのだけどな」


 光の精霊王様は意味ありげに闇の精霊王様を見つめた。


「ああ。これなら、私達のどちらかの庇護下に置いた方がよかったかもしれぬな」

「そんな、横暴です」

「そうです。いくらお二方が我らより上位とはいえ、職権乱用です」


 頷かれる闇の精霊王様。それに四大精霊王様たちが抗議の声をあげて……。なんか大人げない言い合いが始まってしまった。……本当にカオスだわ。誰が仲裁なさるのかしら?


 パンパン


 手を打ち鳴らす音が聞こえて、精霊王様方の言い合いは止まったの。水の精霊女王様は注目を浴びてニコリと微笑まれた。


「はい、そこまでにしてね~。それに関しては、四大精霊王が均等に加護を与えることで決着はついていたでしょう」


 それから水の精霊女王様は私のことをやさしく見つめてきた。


「それよりもカミーラ、心配しないでね。あなたの魔力は多いけど、加護のことは気にしなくていいのよ~。あの地ではじめて子供が産まれたからと、この人たちがはしゃいでしまったのよ。それで誰が加護を与えるかともめてしまって。そうして火、風、土、水の精霊王から加護を与えるということで収まったのよ」

「はあ~」


 私は脱力感満載で、気の抜けた返事をした。……精霊王様方がはしゃいでって……。ん? あの地ではじめての子供って……私が?


 問いかける視線をミポルへと向けたら、わかっていると感じにミポルは頷いてくれた。


「あの地はね、ボクたち精霊にとって、特別な土地なんだよ。あの地にはボクたち精霊の守りが厚くかけられていてね、選ばれた人間しか入れないんだ。カミーラも察したように、加護を与えられた人間の居場所として用意したんだ。ただね、あの地に来るのはかなり年配になってからの人が多くてね、人間の子供が産まれることは今までなかったんだよ。それがカミーラとレイニーの親たちが来てね、若い四人に子供が産まれるかもという期待が高まったのさ。レイニーの両親の最初の子供が産まれることなく亡くなってしまったのは、とても悲しかったよ。だからカミーラが無事に産まれてくれたから、ボクらは余計に、はしゃいでしまったのさ」


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