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24 精霊王様たちはお怒りです!

 そうして国の上層部が主導となり、国王と王太子である第一王子の暗殺が行われた。第三王子はアリバイ作りのために外交に行くということまでして……。第二王子を身代わりにして、王家の乗っ取りは完了したかに見えた。


 が、加護の無い王が誕生したことにより、王国内は緩やかに荒れていった。加護のことを甘く見ていた上層部は慌てることになった。今までは光の精霊に加護を受けた王が治める国と、諸外国が立ち寄り交易の中心国として扱われていたのだ。諸外国も何かを感じてか、次第にこの国に立ち寄るものが減っていった。そのことに慌てた上層部は別の形で加護をこの国に入れようと考えた。


 それが、現王と大国の王女だった正妃様との婚姻だった。正妃様には当時国の中に婚約者がいた。だけど、光の精霊の加護がある国からの申し入れを、断ることは出来なかった。泣く泣く別れて、この国へと嫁いできたのに、この王は初夜の床でいたわりも何もない、手ひどい扱いをしたそうだ。その後は正妃に見向きもせずに、側妃のところにばかり行っていた。幸いにも正妃様はすぐに妊娠が発覚し、第一王子を産んだそうでした。


 ◇-◇


「わ、私を、我が祖国を、(たばか)ったのですか」


 正妃様はキッと国王のことを睨みつけました。国王は正妃様の視線に動じたことなく口を開きました。


「何を言うか。私も今知ったのだぞ。それに話を進めたのは父であり、受けたのはその方の父王であろう。私が与り知らぬことに文句を言われてもな」


 鼻で笑う国王に正妃様は悔しそうに顔を歪ませていた。


「ふう~ん、ま~だ、嘘を吐くんだね~。本当に性根が腐っているよね~」


 ミポルがつまらなそうに口を開いた。半眼で王のことを見つめているけど、王の態度に辟易しているのが見て取れる。


「ねえ~、もう、いいんじゃないの~。ここまで言っても反省しないどころか、自分たちが悪いだなんて思ってないじゃん~。もうさ、懇切丁寧に説明してやるのはやめて、さっさと罰をくだそうよ~」

「それは駄目だぞ。我らは神よりこの世界を任された時に、人々を守るだけでなく教え導くようにとも言われたのだからな。罰をあたえるのなら、どうしてそうするのか、説明する義務が生じるのだ。罪を自覚するしないは、本人たちが理解できるかどうかにも関わっているのだぞ。その義務を怠っては、我らが神に顔向けができなくなるだろう」


 淡い金髪の男性の言葉に、ミポルは不承不承に頷いた。……『私の後を継ぐお前の義務でもあるのだぞ』という、声なき声が届きミポルは表情を引き締めた。王たちを見据えると、口元に皮肉気な笑みを浮かべた。


「我らはすべて知っていると言ったのを、忘れているようだな。そこの王は正妃との結婚がどれだけ大事かを父親から言われたにも関わらず、この側妃を可愛がるあまりぞんざいに扱い続けていただろう。でもさあ、すんごく滑稽だってわかっているのかな? お前の父親は自分の息子に土の精霊の加護がある王家から嫁を取って、その加護をこの王家にも来るようにと画策したようだけど、そんなことがあるわけないだろう。血筋への加護は王家にくだされたものが多いけど、これが他国にまで適応されると思うほうがおかしいんだよ。普通はその国にのみだ。あと、王家を出て他家に入った場合もそうだな。他家に入ったものの加護は死ぬまでそのままだが、子供には受け継がれないんだぞ。だが、正妃に加護があるのは当たり前としても、第一王子にも加護があったからお前は誤解したんだよな。それなら加護がない第二王子に、カミーラとの間に子供を作って、こちらの加護を王家のものとして取り込もうと考えたんだろう。浅はかすぎるよね。カミーラへの加護はカミーラだけのものなのに」


 ミポルの言葉に国王は表情を変えないようにしていたけど、並んでいる貴族たちの中にはあからさまにがっかりしている人がいた。そんな人たちの反応をミポルは無視して言葉を続けた。


「まあ、カミーラに手を出そうとしたら、ただじゃおかなかったんだけどね。あとさ、知らなかったで通すつもりなら、それでいいよ。その代わり、王位にいる資格はないんだから、さっさと退位してくんないかな~」


 ミポルの言葉に王は口元を歪めた。


「私を退位させてどうなさるつもりですか。もし、私が正当な王でないというのなら、それこそ第一王子が王位に就くことは認められないと云うことになります。他国の王家の血を引いているからこそ、いえ、他国の王家の血しか引いていないということになれば、国民は納得しないでしょう。それに精霊殿の勘違いではございませんでしょうか。我が王家は光の精霊様の加護がある事は一目両全です。この光輝く髪が何よりの証拠です」


 ……確かに第二王子の髪色でわかるように、国王もキラキラの金髪をしている。この髪色が光の精霊様から加護を与えられた証だと教えられていた。でも、ミポルが嘘を言うわけがないから王の言っていることのほうが嘘であるはず。


「ほう、加護を与えた私が違うと言っても、まだ信じない気なのかな」


 ゆらりとまた空間が揺らいだ。現れたのは光輝いているような金髪の持ち主。金色の目が不愉快そうに王たちを見据えた。


「四大精霊王が目の前にいるのに、嘘をつき続ける輩だぞ。醜悪すぎて反吐がでそうだ」


 反対からも声が聞こえた。そちらには黒髪に黒目の男性が、底冷えのするような目で会場内を一瞥した。


 あ~あ。とうとう六大精霊王様方が姿を現されてしまった。さっさと認めてくれていれば、四大精霊王様だけで済んだのに。し~らないっと!


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