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22 一番にやらかすのは……側妃かい!

 王以下のアホウ共は、公爵の様子に訝し気な表情を浮かべている。……う~ん、推測だけど、王たちはミポルがただの精霊で、今、姿を現した人物も、同じようにただの精霊だと思っている……とか? それとも……まさかとは思うけど、髪色が同じだからって、私の父親と勘違いしてないよね? 市井にいるただの魔法使いとか……思ってないよね。


 ……まあいいか。と、私は続きを黙って見守ることにしたのよ。


 ◇-◇


「そんなに怒らないでくださいまし。大切なお嬢さんのお相手には、我が息子ほどふさわしいものはおりませんわ。運命の相手などと、大仰なことをおっしゃらないで、王家の庇護に入る利点をお考えくださいな」


 ……側妃、あんたが言うのかよ。


「ほう~、それは私の息子では、カミーラにふさわしくないというのだな」


 新たな声が聞こえ、空間が揺らぐような感じがしたあと、青みがかった銀髪と、不思議な青い瞳の男性の姿が現れた。


 あっと、言い忘れ! ミポルとスラミーは私とレニーを挟んで立っているの。今は私はレニーの膝の上だけど、先ほどはミポルの隣に座っていたのよ。薄い金髪の男性はそのミポルの向こうに現れたのね。それで、今言葉を発した銀髪の男性はスラミーの向こう側に座っていらっしゃったのよ。


 また、新たな人物が現れたことに、部屋の中にいる人は驚いていた。正妃様たちは……お可哀そうに、顔色を青くなさっていた。……まあねえ。普通に考えたらここにいらっしゃるとは思ってないわよね。でも、レニーの保護者と自負していらっしゃるから、来ないわけはないのよね。


 ◇-◇


 威圧感たっぷりに睨みつけてくる美麗な男性二人に、若干気まずそうにしながらも、何故か余裕を崩さない王以下のアホ共。


「そのようには申していませんわ。でも一介の平民風情より、一国の王家に庇護されたほうが、ご安心できますでしょう」


 媚びを売るような、厭らしい目線を金髪、銀髪の男性に投げかける側妃。……確かにその美貌は人ならば虜にできるかもしれない。だけど、よく見てよ。お二人の眉間には揃いも揃って深くしわが刻まれているのよ。


「平民風情……お前たちはどこまでも愚かだな。王家や貴族などというものは、我らの前では価値などないというのに」

「いやいや、愚かだからこそ、このようなことが出来たのですよ」


 また、新た人物の声がした。空間が揺らいで現れたもう二人の人物。金髪の男性の隣に現れたのは、炎を思わせるような紅い髪の男性。オレンジ色の瞳には苛烈な色が宿っている。銀髪の男性隣に現れた艶やかな茶色の髪に翠色の瞳の男性は、一見柔和な表情をしているように見えるけど、部屋の中を見据える目には侮蔑の色を浮かべていた。


 流石に新たに現れた人物を見て、普通の人間だとは思わなかったようで、正体に検討がついた人物から順に、また顔色を悪くしていった。それなのに……。


「まあ、無礼ではありませんこと。いくらそこのお子達の父親の友人でも、関係ない方が口出しをしないでくださいまし」


 側妃が眉をひそめて言った途端、側妃の体が浮かび上がった。


「きゃあー」


 側妃が悲鳴をあげたが、その体は私達が座っている机の前に移動させられて、床へと落とされた。


「ぐえっ」


 カエルが潰されたような声が側妃の口から聞こえた。一度這いつくばるようにされた側妃の体が、ゆっくりと持ち上がっていく。苦しそうに顔を歪めてはっはっと短く呼吸をする側妃。……どうやら見えない力で体に圧力をかけられているみたいね。ドレスの膨らみが潰されて体に張り付いているもの。……いいえ、どうやら体に食い込んでいるんじゃないかしら? ドレスのボリュームを考えたら、あんなに細くは……。って、まあ、どうでもいいわね。


 自分が対峙している方々がどういった立場の方々か、慮ることもできないのですもの。


「お前は誰に向かって口をきいているのか、解っていないようだな。我らの庇護している者のことも、我らの加護のことも軽んじているのであろう」


 赤い髪の男性が手のひらの上に炎をだした。その炎を側妃の顔の前へと移動をさせた。側妃の顔が恐怖に引きつっているのが見える。


「火の精霊王、我らのカミーラの前で、あまりむごいことはしない方がいいでしょう。カミーラの心に消えない傷を残すのは不本意でしょう」


 やんわりと茶色い髪の男性が制止の声を掛けた。赤い髪の男性……もとい、火の精霊王は「チッ」と舌打ちをして、面白くなさそうな顔で炎を消した。それから伺うように私のことを見てきたので、私は気にしてない旨を、微笑んで告げておいた。


「せ、精霊王―!」


 ガタガタと音をたてて、椅子から無作法にも立ち上がった人たちが何人かいた。体を震わせている人はまだマシで、椅子を蹴倒して扉へと向かった何人かは、入り口を守る騎士に遮られていた。


「そこをどけ!」

「どくわけには参りません」

「いいから、そこをどかないか。お前たちの首は……うわー」


 騎士ともめだした人たちの体が持ち上がり、宙に浮いた。


「だ~れが部屋を出ていいって言ったかな~。お前たちに対する審問は~、まだ終わってないんだよー」


 ミポルがその人たちを座っていた位置まで戻した。だけど、そのまま宙に浮かべられたままにされたのよ。


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