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16 話し合いの前に……センスって大事よね

 唖然とした顔をして移動していく騎士たちを見ていた、残された騎士達。水柱が消えて聞こえてきた悲鳴に、誰かがプッと小さく噴き出した。それからつられたように、みんなして声をあげて笑い出した。


「流石です、ミポル様」


 隊長が笑いながら、ミポルのことを一言で賛辞した。それにミポルはニシシッと笑い返した。


「当然! あいつらは~、高位貴族の子供だろ~。それなのに~、ボクやスラミーのことを、分かってないよね~。ところでさ、面倒くさいから~、風に乗っていこうか~」


 ミポルの提案に隊長以下残った騎士たちは嬉しそうな顔をした。


「よろしいのですか」

「もっちろ~ん! この後のためにも~、体力は~、温存しておいてね~」


 そういうと、ふわりと私達の周りを風が回って、浮かべていく。ミポルの操る風に身を任せて、滑るように移動を始めた。


 どうやら、彼らは正しい者たちのようだ。これからミポルが、どこまでやらかす気なのかは分からないけど、人間の味方がいると判って私は嬉しくなった。そういえば、彼らは私とレニーの姿を見ても驚かなかったわね。


 ◇-◇


 庭園や余計な人たちを飛び越えて、会議室のバルコニーへと私達は運ばれた。隊長が窓を叩いて中にいる人に合図を送った。不審な顔をして寄ってきた騎士が、私達の姿を認めて慌てて鍵を開けて中へと入れてくれた。


 中に入ると、私達の意外な場所からの登場に、国の上層部に当たる人たちは間の抜けた顔をしていた。……おっと、これは一部の方々に失礼だな。さすがに、第一王子様、正妃様、宰相様、他数名は表情に出すことなく、私達に向かって頭を下げていた。


「おまたせ~。……ふう~ん。で、ボクたちは、どこに座ればいいのかな?」


 ミポルの言葉に、頭を下げていた人たちは顔をあげた。下げていなかった人たちは、視線を国王へと向けた。その国王は宰相へと顔を向けた。……宰相様、ご苦労様です。


「ミポル様、こちらにいらしてください。スラミー様にも、お席をご用意させていただきました」


 この部屋は細長いテーブルに向かい合うように椅子が並べられている。そして一番端には豪奢な椅子があり、そこに国王が座っていた。国王の右側、窓側に二つ空いた席があり、一番国王に近いところに、人形用の豪奢な椅子が二つ置いてあった。その向かいには第一王子様、正妃様、第二王子、側妃の順に並び、あとは重鎮らしい人達が座っている。もちろん、空いている席の隣には同じように、人が座っていたのだけど。


 ……う~ん、これは間違いね。状況を説明するのって難しいわ。第一王子様と、正妃様と、宰相様を含めた数名(つまり先ほどお辞儀をして私達を出迎えた人々)は、椅子に座らずに立って待っていらっしゃったから。


 ミポルは腕を組むと気に入らなさそうに言葉を吐き出した。


「部屋のチョイスはいいんだけど~、この並びは気に入らないな~。それになんなの、この悪趣味な椅子は~。こんなものに、座らせられないでしょう~」

「それは、申し訳ございません。すぐに配置を変更いたしますので、しばしお待ちください」


 宰相がそう言って、隅にいる騎士たちに合図を送ろうとした。


「ああ~、そんなの面倒だから~、ボクがチョチョイと変えるよ~。ほら~、邪魔者たちは隅に行っててね~」


 部屋の中を風が渦巻いた。立っている方々はふわりと浮き上がり、廊下寄りの壁に移動した。椅子に座っていた人たちは、巻き上げられるように部屋の後ろのほうへと移されて、悲鳴をあげていた。……まあ、投げ捨てるようにされれば、悲鳴も上がるか。とどめに国王がその人たちの上に投げ出されたのもねえ。あの体重が上に……。まあ、私には関係ないか。


 邪魔な人たちをどかすと、机と椅子を移動させていく。移動が終ったら、まるで学院の講義室のようになっていた。一番前には長机が一つ。そこにはどこから運んできたのか分からないけど、座り心地のよさそうな椅子が八つ並んでいた。少し離れた位置にもう二つ廊下寄りに椅子が並べて置かれていた。


 その前には二列に分かれて長机が並べられていた。廊下寄りには三列まで一番前と同じ椅子が並べられた。他はこの部屋にあった椅子が並べられている。後ろのほうは机は無しで椅子だけが並べられていた。無駄に豪奢な国王の椅子をどうするのか見ていたら、それは窓側の一番前の机のところに置かれた。


「それじゃあ~、席についてね~。君たちは~、そこの席にね」


 ミポルは廊下側に移動させた人に笑顔を向けた。


「一番前が第一王子と正妃と宰相で~、他の人たちは二列目と三列目にね~。ほら~、そっちの人たちも~、早く席に着きなよ~。それとも座らないで立っていたほうがいいかい」


 ミポルが目を光らせてそう言うと、後ろに追いやられた人たちが慌てて席に着いた。国王と側妃と騎士団長と魔法省長官が並び、その後ろの列に第二王子とおバカ三たちが座った。

 その後ろに大人の男の人達。……これって、いいのか? まあ、ミポルが指名したのはバカたちもだから、この順番でいいのだろう。


 ミポルとスラミーは私とレニーを中央の席に座らせて、ミルキア様とジョシュを離れた椅子に座らせた。


「では~、これから~、審問会を始める。先に通達をしておいたにも関わらず、カミーラとレイニーに不法なことをしていることについてだよ」


 ニコリとミポルは笑った。その姿が一瞬陽炎のように揺らぎ治まった時には、真の姿のミポルとスラミーがそこにいたのでした。


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