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17 なんか、この国の人たちはやらかしているらしい

 人と変わらない大きさになったミポルとスラミーは、とてもハンサムさんと美人さんだ。私に近い淡い金髪とアメジストの瞳をしているミポルと、レニーと同じ青みがかった銀髪と、深い青色の瞳のスラミーは不敵な笑顔を浮かべていた。


 それに対して集められた人たちは顔色を真っ青にしていた。……じゃなくて、えーと、礼節をわきまえている方々は、血の色はないけど顔色を青く変えてはいなかった、です。


「せ、精霊……だと」


 魔法省長官が呻くように言って、大量の冷や汗を流し始めた。


 ◇-◇


 さて、少し説明をしておいた方がいいかしら?


 この世界のことなんだけど、この世界は神様が代理人として精霊様を指名しているのよ。精霊は六種いらっしゃるの。火、水、風、土の四大精霊に、光と闇の精霊がいて、それぞれ精霊王、精霊女王のもとで過ごしているのよ。


 で、妖精もいるのよ。妖精は主に自然なものに宿るの。え~と、そうね、植物とか鉱物とかといえばいいかしら。


 あと、先ほどまでミポルとスラミーが手のひらサイズになっていたのは、精霊界から出ると体を維持するのが大変になるからなの。

 ……ということになっているそうだけど、本当は人間に妖精と誤認識させるためなのですって。


 妖精と精霊の違いは、本来は一目見ればわかるのよ。妖精には透き通った羽があって、精霊にはないから。


 えーと、あとは……そうね、精霊の特性を一つ話しておいた方がいいわね。精霊は神様からこの世界のことを任されたことでわかるように、特別な力をもっているの。四大精霊はそれぞれこの世界の根幹にかかわっているでしょう。光と闇も、それぞれがなければ私達生き物は、生きていけないわよね。


 それで、大いなる力を持つ精霊は、たまに気に入った人間に加護を与えることがあるの。それはその人物だけの場合もあるし、その後の血筋にまで与える場合もあるわ。


 魔法省長官が……じゃなくて、集められた人たちが顔色を悪くしたのは、こういうわけなのね。


 え~と、ああ、そうそう。妖精も人に加護を与えることがあるの。でも、妖精の力は弱いから、大体が守護妖精となって、加護を与えた人物と行動を共にしているわ。……これをね、ミポルとスラミーは狙ったのよ。まあ、あまり私たち以外の前には、姿を現さないようにしていたから、王宮の人たちが知らないのも仕方がないかしら。


 あと、もう一つ。妖精にも王がいるのよ。でも妖精王は精霊みたいに何人も王がいるわけではないの。妖精王はどちらかと言うと、精霊との窓口的な役割を持っていると聞いたわ。


 ◇-◇


 国王は視線をさまよわせた後、宰相へと目を向けた。そして口を「さ」と開いたところで、ミポルから叱責の声が飛んだ。


「誰がしゃべっていいと言ったか? 罪人は黙っていろ」


 声に圧をかけて、王たちに向けて発したようだ。バカどもを含め、集められた人たちは尚更顔色を悪くして汗を流しだした。


 勿論、正妃様たち、心正しい者たちには、何の圧力もかかっていないようだ。

 ……う~ん、あれかな? この椅子に守りの術式でも与えてあるのかもしれない。抜かりの無いミポルなら、それくらいしているよね。


「さっき言っただろう。今からすることは審問だと。通達の内容をわかっていなかった馬鹿どもにも、わかりやすく罪状を言ってやるから、おとなしく聞いてろ。それに対して反論があるのなら訊いてやるから、こっちが話し終わるまで黙っていろ」


 ミポルは切れ長の目を半眼にして、睨みつけた。コクコクと首振り人形のように、一斉に頷く姿は…‥ちょっと気味が悪い……と、思っちゃった。


「そんじゃあ、最初は五年前だな。この国は魔力があるものは学院に通わなくてはならないことになっているな。貴族だけでなく平民でも学院に通えるように、奨学金制度を設けていると聞いた。だけどこれは無償のものではなくて、後程返金しなきゃいけないと聞いている。学院卒業後、少なくとも二年は国の機関に勤めれば、かかった金額の半額を返金すればいいんだったよな」


 ミポルは言葉を切ると、宰相のことを見つめた。宰相は声を出さずに大きく頷いた。


「言っとくが、ボクはこの制度に文句があるわけではない。ただ、辺境の村で暮らしていたカミーラとレイニーには、大きな負担となる。それにボクたちもそんなに長く二人と離れているのは嫌だ。だから二人に合法的にお金が手に入るようにしたんだ」


 この言葉に、後ろのほうにいる人の顔色が変わった。青色から真っ白……どころか、土気色? になっていく。……体調でも悪いのかしら?


「わかっているとは思うけど五年前にカイナンが打ち上がったのは、ボクたちからカミーラとレイニーへの贈り物だ。これを売れば学院を卒業するまでの費用は、十分以上だったはずだ。それなのに二人が子供だからと、うまいこと言って取り上げて、学院を卒業するのにギリギリの金額を報奨金として渡したよね」


 この言葉に、土気色になった人はバタリと倒れてしまった。だけど、誰も助けようとはしなかった。

 ミポルはその人を、風を使って持ち上げた。


「気絶したふりなんかで、逃げられると思うなよ。お前の懐に、報奨金として渡した金額と、カイナンを売った金額の差額が入ったことはわかっているんだ。あとで、その差額は返してもらうからな」

「ひいー」


 男は悲鳴をあげた。口をパクパクと動かしているけど、悲鳴の後の言葉は聞こえてこなかった。……きっとまた……って、私も下手な言い訳なんて聞きたくないわ。ミポルが声を聞こえないようにしたのは正解よね。


さて、まずは一人目。

悪いことをしたのなら、報いはうけないとね。

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