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決闘

(いよいよ雌雄を決する決闘だ)

(誰が雌雄を決するなんて言い出したのかしらね?)

(そうだね。彼とヒロインは始めから男と女って決まってるのにね)

(もし男同士の決闘だったら……)

(どっちかが雌になる)

(うん。腐っちゃうもの)


 ナーシュが連れて行かれたのは競技場であった。湧き起こるのは大歓声。観客席は満員だ。

“さあ! 始まります。世紀の大決闘! 一年生にして生徒会長のヒロインちゃんと、噂の転校生こと新入生のナーシュ君の同学年対決です!”

“ぱふぱふぱふー”

“尚、この対決の模様は実況、毎度お騒がせのわたくし実況ちゃん、解説、お馴染みの解説さんでお送りします”

“ぱふー”

“実況さんもラッパの口真似をするほどに興奮を隠しきれないご様子です”

“ぱふー”

“いよいよ選手の入場です!”


 場内に響き渡る実況の声に、観客のボルテージも鰻登りであった。

 ナーシュを引っ張り出し、ぺいっと投げ捨てて競技場から去る黒スーツ。呆気に取られて観客を見回していたナーシュには黒スーツの動きが見えておらず、気付いた時には出口が塞がれていた。


“先に入場したのはナーシュ選手!”


「マジか……」

 それなら反対側からと振り返れば、制服姿のヒロインが立ち塞がっていた。


“対するヒロイン選手も入場しました!”

“そろい踏み”

“ではここで決闘のルールを説明いたします。

 まずは競技場ですが、ここには特殊なフィールドが設置されておりまして、競技場内の各選手にはシルエットと呼ばれるコーティングが施されます。

 このシルエットにより、受けたダメージが全て仮想的なものに変換され、変換されたダメージ量が致死量に達した時点で競技場から排出される仕組みとなっております。

 そのため、決闘ではあらゆる攻撃方法が使用可能です!”


「マジか……」

 実況のアナウンスで初めてルールを知るナーシュであった。


“期待が高まりますね、解説さん。どちらが勝つと思われますか?”

“勝つ方が勝つ”

“はい! 大変含蓄のある言葉を戴きました! そしてこの間にも競技場では動きがありました!”


 ヒロインはナーシュを指差す。

「覚悟なさい!」

 その瞬間、ヒロインの髪が逆巻きだす。


“おーっと、これはヒロイン選手。いきなり風の上級魔法を出してきました! 大技だ!”

“びゅーびゅー”

“ヒロイン選手の髪やスカートがはためきます!”

“ぱたぱた”

“駄目だーっ! これはいけない! ヒロイン選手、穿いてません! めくれ上がったスカートから可愛いお尻がこんにちわです!”

“穿き忘れ”

“前のめり! 前のめりです! 観客の男性が前のめり!”

“いや~ん”


「きゃあああ!」

 ヒロインは悲鳴を上げ、スカートを押さえて座り込んだ。

 カンカンカンカンカン。


“ゴング! ゴングです! 戦意喪失によるヒロイン選手の判定負けとのジャッジが下されました!

 なんと呆気ない幕切れでしょうか! なんと拍子抜けな結末でしょうか! 開始からわずか30秒! たったの30秒でナーシュ選手の勝利となりました!”

“ぶーぶー”

“ブーイングです! 解説さんを始め、場内から怒濤のブーイングが湧き起こっています!”

“許すまじ”

“おっと、このブーイング。ナーシュ選手に向けられたものだ! ヒロイン選手を辱めたナーシュ選手は非難の的だ!”


「馬鹿ーっ!」

 よろよろと立ち上がった涙目のヒロインがスカートを押さえながら出口へ向けて駆け出した。

 叩き付けられるブーイングの中、ナーシュはただ呆然とする。

「え!? 俺が何かした!?」


(で、シルエットって?)

(勿論、時間を止めた隙にこっそり擬体を入れ替えて誤魔化すのさ)

(それはそれで費用が掛かるわね)

(うん。だから今回は費用が浮いて良かったよ)


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