魔法実技
(この世界は剣と魔法の世界だから学園でもそれらを教えるよ)
(何だか剣と魔法って感じしないんだけど……)
(そう?)
魔法訓練場にて魔法教師が学生達に言う。
「本日は魔法の実技を行う。魔法は貴族の嗜みだから心して励むように」
学生達は頷きつつ「はいっ」と返事する。
「これから攻撃魔法の手本を見せる。その後は各自で練習だ」
魔法教師は攻撃魔法の発動手順を説明した後、的に向けて攻撃魔法を放つ。的に当たった魔法がパンと弾けた。
「判ったな? それでは各自、練習に励みたまえ」
学生達は各々の的に別れて練習を始めた。魔法訓練場は広く、的は一人に一つずつ割り当てられている。
「よっし! 一発で成功だ!」「あたしだって!」「くそっ、今度こそ!」
一度で成功する学生も居れば、二度三度と失敗する学生も居る。しかし、失敗した学生には魔法教師が個別に指導することで、程なく一人を除いて攻撃魔法に成功した。
その一人と言うのがナーシュである。
「こ、この!」
幾ら繰り返しても発動寸前でぷしゅんと魔法が霧散する。ナーシュは焦る。
「何で……」
「間違ってはないのだがな……」
魔法教師も困惑だ。
そんなナーシュを見た他の学生がひそひそと囁き合う。「だせー」「とんだ落ちこぼれじゃないか」「ヒロインにはまぐれで勝っただけだもんな」「いい面の皮だぜ」。
実はこの訓練場、施設の保護のために魔法力を制限するフィールドが設定されている。100を超える魔法力で魔法を放とうとしたら失敗するようになっているのだ。ナーシュなら実力の1000分の1未満の微細なタッチで魔法を行使しなければならない。ところがそれを知らないナーシュは焦るほどに魔法力を注ぎ込んでいた。
結果、ナーシュは劣等生の烙印を押されてしまう。
「俺が何をした……?」
歯噛みするナーシュであった。
(あいつの人生に谷を作っていいの?)
(人生山あり谷あり、谷が深いほど山も高いものさ)
(そんなこと言ったらあたしの人生、谷ばかり……)
(それってもう平原じゃない?)
(そうとも……、って、何あたしの胸を見てるのよ!)




