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シルヴィアによるヒロインの説明と近いうちに起こるイベント、レイハルクとセシルによるヒロイン報告、アリシアとリズベットの初会話
「ってことで、『乙女ゲーム』について説明していくからちゃんと聞いてなさいよ!」
「いや、聞いてるってば。」
「アリシアは呼ばなくていいのか?」
「こ、こんな夜中に呼べるわけないわ!」
((どこの過保護だ))
場所を変えてここは寮内に作られた簡易プライベートルーム、ここは事前に申請していたら部屋を一室借り周りの目を気にせず雑談ができるスペースだ。そこに集まったのは先ほどサロンにいたメンバーのシルヴィア、レイハルク、セシルの三人であった。本来ならここにアリシアも呼ぶべきではあるが今は夕食時期を終え夜が更けている時間。こんな時間にアリシアを呼ぶのはシルヴィアが何としても許さなかった。しかしまだ消灯時間にもなっていない時間なのだから呼び出しても非常識などと言われる時間ではないし、だからこそこうやってこのプライベートルームを借りることが出来たのだが、そのことにシルヴィアは気づいていない。
「それで、説明してよ。」
「分かってるわ」
そもそも「真愛」はヒロインが主役じゃなく悪役令嬢の立ち位置にいる私たちが主役なわけ。だからこれから二人に起こるイベント全て把握してる訳ではないことは理解しておいてよね。全部知ってたらストーカーみたいでしょ。でもまあスチルを全部集めたらヒロイン目線の攻略対象者とのイベントの映像が見れたりするから多少知っているからそこだけ話すわね。私たち目線だと気づいたらヒロインと仲良くなっているところからスタートなのよ。でも流石に出会いイベント走っているわ。ここが将来的にも重要になってくるもの!
まず時期は結構バラバラなの。大まかな時期しか知らないけど攻略対象者とは全員入学して一ヶ月で「出会いイベント」は遂行されるわ。
「レイはたしか…『サロンを外から珍しそうに眺めるヒロインが気になって声をかける』ことだったかしらね。セシルは『中庭の噴水の所で道に迷ったヒロインに戻り方を教える』ことだったわ。いい?こんな行動した女子生徒は怪しいわよ!覚えておいてよね!」
「「……。」」
「うん?なによ、なんで黙って……え、まさか。」
「その、まさかだねえ…。」
「…ああ。ちなみにだが、その女子生徒の名前は?」
「え、ああ…名前変換してなかったら『リズベット・ラ=シャーリング男爵令嬢』だったけど…。」
「…僕もう知り合ってるけど。」
「……」
「う、嘘でしょーーー!?」
「やあ、ここに何か用かい?」
「え、あ…!す、すみません!」
「いや、怒ってないよ。何かおかしかったかい?」
「いえ、あの…こんな真ん中に、それにガラス張りなんて見た事なかったので…。すみません、失礼でしたよね…。」
「ああ、いや。まあ初めて見ればやっぱり驚くのかな。君は新入生?」
「はい!リズベット・ラ=シャーリングと申します!」
「僕はレイハルク・ジル・ド=グランドスワレイ。君の一つ上かな。」
「ではグランドスワレイ先輩とお呼びしてもいいですか?…あれ、グランドスワレイ…?」
「いいけど…そう言われるのは初めてだな。」
「お、王太子様…!?」
「おや、気づいてなかったのか。」
「も、申し訳ございません…!まだこの国の方達のことに詳しくなくて、王太子殿下とは知らず…!」
「ああ、いいよ。君はこの国の者ではないの?でも、シャーリングって男爵家だよね?」
「は、はい…ですが、その最近引き取っていただいたので、その…。」
「ああ、無遠慮だったね。」
「いえ!教養のない私が悪いのです。申し訳ございません、殿下…。」
「あれ、グランドスワレイ先輩じゃなかったの?」
「あう、そんな…!」
「はは、ごめんごめん。いいよ、気にしないで。」
「…むう、」
「あ!この間の…、あの、先日はありがとうございました。ずっと迷っていたので、本当に助かりました。」
「ああ、昨日の。いい、気にするな。新入生なら仕方ないだろう。」
「ありがとうございます。…あ、私、リズベット・ラ=シャーリングと申します。」
「ああ、セシル・フォレスト=ギルジークだ。…シャーリング男爵にご令嬢がいるのは知らなかったな。」
「あ、その…最近ですので、あの。」
「…そうか、すまない。」
「いえ!あの、ギルジーク先輩は今日は何の本を?」
「ああ、少し授業に使う物だ。『王国伝記11』だな。」
「そ、そんな分厚い物が授業に…?」
「参考資料だから授業に直接使わないから気負うことはない。」
「あう、…バレましたか…。」
「…顔に出ていることを自覚したほうがいい。貴族社会では不利になる時がある。」
「!はい、ありがとうございます!あの、私もここで読んでもいいですか?」
「構わないが…、少し貴族のことを知ったほうがいいな。」
「へ?」
「…まあ、そのうち教師が教えるだろう。私からいう事ではないか。授業きけばいい。」
「?はい。」
二人の話を聞いたシルヴィアはテーブルに突っ伏して身体を震えさせて、その前に拳を強く握っていた。
「…シ、シルヴィア?」
「んで、っなんでもう出会いイベント終わってるの!?それに何だかいい感じだし!!!」
「いや、そりゃあ学園の生徒とは彼女に限らず普通に会話するけど。」
「…取り乱しすぎだ。」
「いい!?レイ、セシル!ヒロインに惑わされないでね!!!」
「はいはい。」
「…はあ。」
「…あ、あの、これ落としましたよ…?」
「ふえ!す、すみません!」
「いえ、お気になさらないでください。」
「ありがとうございます!あ、私リズベット・ラ=シャーリングです。貴女は?」
「あ、アリシア・レイル=セントフォーズです。」
「同じクラスでしたよね…?あの、アリシアって呼んでもいい?」
「へ、あ、うん。」
「やったあ!私まだ友達作れてなくて…、私のことはリズって呼んで欲しいな!」
「リ、リズ?」
「うん!よろしくね、アリシア!」
「!…うん、よろしく、リズ。」
二人の系統の違う美女達が手を繋ぎ笑いあった姿は周囲の人物達の視線を集めた。
アリシアにとってリズベットと関係を繋げたことが吉と出るか、凶と出るか。そんなことはいざ知らず、アリシアは新しく友達が増えたことに純粋に嬉しくなり、ほわほわと周りに花を咲かせていた。




