誰が1番かって?それはもちろん…
25話から26話のなかで合ったはずのお話
短いので今日限り二回投稿です。
「・・・お前、わざとじゃないよな?」
「なあに、セシル。僕がそんなこと出来る訳ないでしょ。」
「いや、お前なら出来かねん。」
「・・・僕、そこまで万能じゃないよ?まあ、タイミングはよかったよね。」
レイハルクとセシルは今、突然出来た書類の山を手分けして裁いていく。手は絶えず書類を完成させていくのに会話は不自然なほど自然に進んでいく。
目先の不安はあの場に残してきた姉妹のことだ。
主に原因は素直になれない姉の方だが、妹の方も原因の一端を担っている。
言葉が足りないのだ、あの姉妹は。
姉の方は真っ直ぐに自分の気持ちを口に出来ない。無意識の中で言葉を真反対へと変換させてしまう。元々の顔立ちと相まって言葉は平坦に、鋭く妹を貫く。
妹の方は自分の気持ちを言うのを戸惑ってしまう。言葉をするりといえない自信のなさが、詰まらせる原因だ。顔を下に俯かせているから声は籠もるし、おどおどとした態度と一緒に言葉も途切れ途切れになってしまう。
二人は似ていないようで、似ている。不器用で素直になれなくて、自分の”言葉”に自信を持てないところが。
「・・・上手くいくと思うか?」
「それは二人次第じゃない?」
あの二人が交わるにはどうすればいいのか。なんて結局は二人の問題。あの二人の両方が一歩進まないと変わることのない距離。
「今日じゃなくてもいつかは来たよ。」
「・・・そうだな。」
「今は二人を信じてみようか。なに、心配しなくても大丈夫だよ。」
「・・・自信満々だな?」
「ふふ、だって僕の婚約者だからね、シルヴィアは。ヴィーなら大丈夫だって分かってるから。」
「そうだな。大丈夫だな、あの二人なら。・・・アリシアは俺の婚約者だからな。」
「ふふ、なに?ヴィーの方がきっと上手くやれるよ?」
「何言ってるんだ。結局あいつはまた素直に言えないんだ。アリシアがなんとかするさ。」
「なら、勝負だね?どっちの婚約者が一番か。」
「望むところだ。」
「「勝つのは俺/僕の愛しの婚約者だ。」」
レイハルクとセシルは好戦的な笑みをお互いに交わせあった。
二人共が自分の婚約者のことだけを思って。




