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「と、とりあえず!!わかったの?」
「うん。君が悪役で僕が他の子と結婚するってことだよね?」
「ま、まあ簡単に言えばね。」
「はは、仮定の話なんだから妬かないで?」
「なっ!!妬いてないわよ!」
「真愛」の内容は一通りわかったわよね?と問いかける私に、レイハルクはからかいを含めた笑みを止め、真剣な表情をして頷いた。
「レイハルクがメインヒーローだって話はしたよね?」
「うん。それで君が僕の時に出てくる悪役なんでしょう?」
「そう。私はレイハルクルートでの悪役令嬢兼主人公だったってわけ。レイハルクは王太子だから元々のスキルは高いのよ。顔の良さも頭の良さも、性格も。」
もちろん攻略対象者なんだからどの彼も顔面偏差値は異様に高い。だから順位をつけるとするなら他のところでつける。
例えば頭の良さとか知識量の多さ、性格の良さなんかもね。
性格はプレーヤーによって好みが出てくるけどそこはやっぱりメインヒーローであるレイハルクは「隠れS系王太子」なんだから人気は随一だった。
「へー…そこは男の僕にはちょっとよくわからないけど…。あ、そう言えば僕以外にもいるんだよね?」
「え、ええ…。いるわよ…?」
「なんでどもったの?で、誰?」
「レイハルクの次に人気があったセシル・フォレスト=ギルジーク、他はクラーク侯爵家三男のギルア=クラーク、インフィニタス商会の跡取りであるフリードリヒ=インフィニタス、かしら…?」
「…どれも僕の学友じゃないか…それに、セシルまで…?」
そう、乙女ゲームにありがちな攻略対象者同士が仲がいいパターン、これを「真愛」も使っていた。このパターンはよく逆ハーレムルートがあるときによく使われてた。しかしこの「真愛」はタイトル通り真実の愛を題材にしてるから逆ハーレムルートはなかった。
しかし二次創作とかではよく逆ハーレムルート作られていたけど…。
「…ねえ、シルヴィア…。」
「…なに?」
深刻そうな表情をして俯き加減で問いかけてくるレイハルクに、只事ではない雰囲気を感じ取ってこちらまで緊張してくる。こうも言葉に出すのに戸惑うレイハルクをみたことない私は、背中に冷や汗をかいてしまった。
「…レイ?」
「……セシルも君の言う攻略対象者なんだよね?」
「え?そ、そうだけど…」
「なら、アリシア嬢はセシルの時の『悪役令嬢』なの?」
………
ズギャーーーーンッッッッッッッッ!
そのときレイハルクは見た。シルヴィアの頭に稲妻が落ちたところを。
大きな稲妻をその頭に落とされたシルヴィアはもう、だめだろう。レイハルクは惜しい人を失ったと言う様に頭をゆっくり左右に振り、思考を頭から話そうと試みたが、やはり無理だった。せめて、シルヴィアには安らかに眠ってほしい……――――。
「って死んでないわよ!」
遊ばないで!と衝撃を受けた頭を抱えてテーブルにうつ伏せていたシルヴィアは起き上がって抗議する。顔は真っ青のままだがなんとか意識をこちらに戻せた様だ。
「なに、気づいてなかったのかい?」
「わ、忘れてたのよ…!こんな大事なことを忘れるなんて…!!」
「でも、君が悪役令嬢って言われても違和感はないけど、アリシア嬢はそんな感じしないけどねえ。」
「私だって違うわよ。…まあアリシアは『悪役令嬢』のなかでは異質だったわ…。」
ふとアリシアのことを思い浮かべた二人。レイハルクはこの間セシルと共に王宮に来ていたときに見かけた、シルヴィアは先日学園へ向かう前に見かけた姿を思い浮かべた。
パッチリと大きい瞳を隠す様に伸ばされた分厚くて目にかかっている前髪、自信のない様に常にオロオロとしている視線、胸の前に握られた少し震えた両の手…―――。
どこをどうみてもアリシアは『悪役令嬢』という言葉すら似合ってなかった。
「オープニング映像もアリシアだけ違ったテイストだったわね…。」
シルヴィアの頭の中にゲームのアリシアを選択した時のオープニングが流れる。自分のものはキャラクターカラーだった深紅色をメインにそれはもうおどろおどろしくマグマのようなものだったが、アリシアのは本当に作家贔屓なんじゃないかってくらい綺麗だったのだ。冷たい婚約者に健気に慕うアリシアはセシルがヒロインと楽しそうに話すところをみてそれはもう美しく涙を流す。おどおどとした態度が一変、一人の女性として泣くアリシアはどちらかというと男性に人気があった。あ、「真愛」は男性にも人気だった異質なゲームだったということでもある。
「へー…そうだったんだ…、でもなんか…」
「なによ?」
「おどおどするところはアリシア嬢と被るけど…なんか君がいう『アリシア嬢』と違和感があるんだよねえ。」
「…そういえば、」
ゲームの中の『アリシア』は家族から公爵家の恥といわれ冷遇されて心を閉ざしていたが婚約者という初めての贈り物、というか初めての自分に与えられた使命に執着して生きる女性だった。
そして過ごすうちに空気として冷遇する家族と違い、冷遇するもまっすぐ自分に向いてくれるセシルに恋をしていたのだ。
でも私が知っているアリシアは、すぐ表情に出してしまうほど素直で、私たち家族に諦めずに愛を請うたり、倭国の研究に興味を持ったり…?
「原作と違う…?、でも、レイもセシルも違うわよ…?」
「それは君というイレギュラーが近くにいたからじゃないかい?」
そのゲームの中の『僕ら』は今みたいに交流はあったのかい?
そう問うてきたレイハルクにそれからなにも言い返せなかった。完全に思い出したのは最近だけど違和感は昔からあった。だから私は『シルヴィア』とは違う道を歩いていたのだから…。
「…アリシア嬢、ちょっと気になるね…。」
「ど、ういう…?」
「変なことじゃないよ。でも、君のいう『原作』と違う行動をとった理由はシルヴィアの影響を直接的ないし間接的に受けたからか。それとも、他の要因があったからか…。」
「っつ…!」
息をつまらせた。もしかしたら何か別の力が働いているのかもしれないと考えれば、両手が不自然に震える。
何が貴方に起きているの、アリシア……?
みなさん前の話を読まれた方は真実を知っておられるかと思いますが、シルヴィア達がソレに気付くまでもうしばらく応援してやってください。
あ、あと前話でも追記したように「幼馴染三人組のこぼれ話」を活動報告にて投稿しちゃいます。何話か溜まってそして2章が終わり次第こちらでも番外編として投稿しようかとは思っておりますが、もしかしたら番外編として他で投稿するかもしれません。
名前から活動報告へと行けるはずです。とても短いものですので興味がおありでしたらどうぞお楽しみ下さい。




