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今回は短いです。
「あ、あああああああああ!!!!!!」
バサバサバサバサっと丁度窓辺で羽を休め美しい唄を歌っていたであろう小鳥たちが突然の叫び声に驚いて遠くへ飛んで行った。そんなことはいざ知らず、寧ろそんなことに構っていられないとベッドの上で頭を抱えているシルヴィアがいた。彼女はその叫び声の後まだブツブツとなにかを呟いている。側から見たらただの…
「狂人ですね。」
「シ、シルヴィア様!?どうかしましたか!?」
寝室の隣の部屋で主人の起床を待っていた二人は突然の叫び声に驚いて素早く扉を開けた。其処には起きたばかりであろう自分たちの主人が頭を抱えていて、只事ではない雰囲気を醸し出している。
「いやいやいや、え?私が‘シルヴィア’?そんなわけ…はは、まだ眠ってるのかな?そうだよね、うん。そうだそうだ。よおっし、おやすみなさーい。」
「いや何寝ようとしてんですか。起きてくださいよシルヴィア様。」
「シ、シルヴィア様が可笑しくなられた…!」
「少しくらい夢みさせて!!」
「落ち着かれましたか?って前にもこんな事あったな…。」
「おかわりなさいますか?」
「いや、大丈夫よ…。」
シルヴィア様がツッコまれなかった、だと…!?と焦燥している二人の姿は目に入らないほど、シルヴィアの頭の中は別のことでフル回転していた。先程の叫び声は何もシルヴィアが突然頭が残念になったわけではない。彼女はある夢を見たのだ。そして混乱したまま倒していた身体を起こしてふと目についた鏡をみて愕然としたのだ。
以降はシルヴィアの心の中の言葉である←。
え、さっきのはなに?いや、あの夢はもう見たくないんだけど。いやだってもう一回交通事故にあった自分を見たい訳…あれ、くるま?いやいやこの世界に無いって…あれ?うんとりあえず落ち着け。ヒッヒッフー…ってこれラマーズ法!!!!……誰もツッコミいれてくれないなんてつらいんだけどおお!?って心の中で喋ってたんだったテヘペロ☆…いやいやキャラ崩壊な!!
………なんか一人で漫才は悲しいわ、うん。とりあえず私ってあの‘シルヴィア・ライル=セントフォーズ’であってるよね?うわー。転生するならもっと他にいたでしょう…。なんで‘シルヴィア’なの。運なさすぎ!!いやはや冗談でしょってみてもあの二人は私のこと「シルヴィア様」って呼んでるし、いや寧ろ私にもシルヴィアだった時の記憶あるから冗談で済ませられないことが問題でしょ!
いやでもまさかあの‘ゲーム’に転生かー…。いやあの頃だってここのキャラたちが‘私たち’に似てるからハマったんだからしょうがない…のか?
「…いやでもまさかあの‘極悪非道の悪役令嬢’になるなんてついてない…。」
「シルヴィア様…?」
「ついに頭が逝かれましたか?」
「ちょっとランド屋敷裏。」
「あ、遠慮します。」
「と、とりあえずなんでもないわよ。」
「そうですか。」
「あ、シルヴィア様今日は何飲まれますか?」
「サリィまで!?もうちょっと主人には優しくしようか!」
と、いつも通り一悶着あった後、大事をみてシルヴィアは入学早々学園を休むことになり、女子寮に常時勤務されている医者に診察してもらう運びとなった。医者からは異常ないとの言葉通りシルヴィアは健康そのものだったが少し熱があるとの診断だった。ただの知恵熱ですね、とのランドの言葉に全く言い返すことが出来ずただただ黙り込み、そのままベッドに横になった。
「…失礼します。シルヴィア様、起きておられますか?」
「あら、サリィ。起きてるわ。」
時間は過ぎて太陽もそろそろ顔を隠す準備を始めた頃、サリィが寝室へ入ってきた。シルヴィアはその頃、もう落ち着いたのか背もたれにそのまま身体を預けた状態で紙に何やら熱心にかいていた。それはこの世界では、少なくともグランドスワレイ王国ではみたことのない文字の羅列だった。サリィは頭にハテナを浮かばせてシルヴィアの元へと近寄る。
「?シルヴィア様、何を書かれているのですか?」
「あ、ああ。ちょっとね…。あ、ランドにはぜっったいに言わないでおいて。あいつは馬鹿にしてくるから。」
「は、はい…?」
「それで?何かあったの?」
「あ、はい。レイハルク様がお越しになっれるようなのでお準備を…。」
「…いつ?」
「え、あ…あと数分だそうです…。」
「あいつは…!!!!」
とりあえず急ぐわよ!という言葉とともにシルヴィアはベッドから抜け出し慌てて化粧台の前に座る。サリィもその後を追いシルヴィアの髪や服装を整えていく。寝込むほどだった訳ではないからあまり乱れは感じられないがそこは女性。急いで身支度を整えていく。
シルヴィアはされるがままに大人しくしていたが、ふとある事に思い至る。
「…そういえばなんで‘シルヴィア’と‘レイハルク’がもう婚約してるの…?」
「え?シルヴィア様?」
「シルヴィア、もう体調はいいのかい?」
「え、ええ。大丈夫よ。」
ど、どうしよう…。‘シルヴィア’の私は見慣れてるけど、わたしは画面越しにしか見慣れてない…!
目の前にいるのはあのレイハルクだ。メインヒーローが目の前にいてそして私が悪役令嬢って何この死亡フラグ…。それにしてもゲームと話し変わってない?何でレイハルクがシルヴィアの心配してるの…?とりあえずなんとかこの場を何もなく終わらせて早く一人になりたい…!
「シルヴィア?」
「え、あ、なに?」
レイハルクの瞳が疑いに彩られ、いつもの微笑みを浮かべたその表情を怪訝そうに歪めていた。それをみた私はもう焦ることしか出来なくてつまり詰まりに返答した。
内心もうずっとサイレンが鳴り響いてるわよ…。
「…君、だれ?シルヴィアなの?」
ハイオワタ。
鋭く目を釣らせてこっちをみてくるレイハルクはわたしに逃げることを許さず、さっさと全部吐けやと言っているようだった。そんな彼に抗うことなんて出来るはずもなく早々にわたしは白旗を上げた。
とうとう第2章でも話が進みます!




