ビデオレター
堰を切ったように皆言葉を連ねた。
もう我慢は必要無いのだ。
それぞれの想いを言葉に乗せ伝え、そして受け取った。
どれだけ夢見ただろう、どれだけ焦がれただろう、人間として当たり前のやりとりが、たまらなく嬉しかった。
ところがアキヨリは必要なくなった筈の筆談をはじめた。
「一番上達した人、よく出来ました。」
パチン!
アキヨリの筆が半紙に走りチョウキチのおでこに貼り付けられた。
「…アキヨリ様…チョウキチは何を上達したの…」
「息子の名前をつっかえず言えるようになりました。
よく出来ました。」
パチン!
タノスケのおでこも心地よい音をたてた。
「タノスケが…言える…ように…?」
「可愛らしい憎まれ口が冴え渡っています。
よく出来ました。」
パチン!
マイは自分はどう評されているのか知らないようだ、笑顔である。
「…憎まれ口…?」
「トウカとリクノブに子守歌を聞かせてくれているそうだ。
よく出来ました。」
パチン!
オタマは照れくさそうに、はにかんで半紙を喰らった。
「…子守歌?!…まさか…」
「執筆する文章と作品 同様に均整が取れ、理論に裏付けされた言葉で皆を叱咤し励ましてくれます。
よく出来ました。」
ゲンはアキヨリの手から半紙を取り上げ自分で額に貼り付けた。
「…こんなことって!…ああ…みんな話せるようになったのね!…こんな嬉しいことない!…」
「まだ話せません、がんばりましょう。」
並んで眠るトウカとリクノブの間に半紙がそっと置かれた。
「…うふふ…坊や達…」
「みんな話せるようになったよ。」
五人の笑顔が雷おこしのようにぎゅうぎゅうに集まり、五つのガラスの雪の結晶がきらめいた。
そして皆を代表してゲンが両手のガラスの首飾りを突き出した。
「屋敷の工房の割れてしまった窓から作った家族の印だ。
リッカの分と義母上の分だ、必ず届けに行くから待っていてくれ。」
「…わたしに?…お母様の分まで?…
アキヨリ様ありがとうございます…
ああ…冬が来るのね……冬は眠りが深くなるんだった………
わたし…挫けません……アキヨリ様……みんな……トウカ……春…早く……あの子の生まれた春…………」




