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六角の花   作者: フミ
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清も濁も勇も卑も全てぶつけてみろってんだこの野郎

「儂はこれより毛唐共を叩きのめし海底に沈めに参る。

お前達の役目とは何が何でも生き抜き、生き残った者達が儂の跡を追わぬよう、よく勇気づけ励まし、生きて再びコウズケの地を踏めるよう尽力せよと!」


「おおおう!」


「長く険しい道を行くが如き役目だ、千の鉈(なた)に叩き切られるが如き苦痛を伴うであろう。

それに比ぶれば一時の闘諍(とうじょう)など春風に吹かれるも同じ、安楽な道を行く儂を許せとぉ!

我等一人一人の手を握られ、何度も何度も許せとアキヨリ様を頼むとぉ!」


「おおおう!」


「拙者は何も出来なかった!

お引き止めする事も、下知(げち)に背きアキマサ様と共に死地に赴き、お守りぬく事もぉ!

拙者は決めた、生き抜くと!

ジョスイに城を乗っ取られようと、ナリカワにでかい顔をされようと、再びアキヨリ様と合間見える日を信じて!

その時 我等の苦痛と屈辱の日々に終わりが来ると!」


「おあう!!」


「その日は来た!

アキヨリ様は我等に進むべき道を示して下さり、希望をこれでもかという程下さった!

それからというもの毎日毎日笑って過ごして参った。

楽しくて仕方がなかった。

しかしだがしかし、いつしか拙者は忘れしまった!

あの時の煮えたぎる想いを!

それに気付いてから楽しければ楽しい程、苦しくて堪らなくなったぁ!

アキマサ様に申し訳なくて、死んでいった皆に申し訳なくて、拙者だけがこの様に笑って過ごしていい筈など無い!」


「フジオカァ!」


「更に拙者は先程ヘイクロウからイスパニア兵の話を聞き、ほっとしたので御座る。

アキマサ様の仇を討てると血を滾(たぎ)らせたのでは御座らん!

仇討ちを成し遂げたなら、この苦しみから解き放たれると、ほっとしたので御座るぅ!

何故だぁ!何故アキマサ様は拙者の様なろくでなしにアキヨリ様を未来を託されたのだぁぁぁ!!」


「やかましい!!」


突如フジオカの視界は真っ暗になり、顔面は熱湯でもぶっかけられたが如き熱さに見舞われた。

鼻には大量にワサビを詰められた様なツンとした感触があり、それ等は間を置かず痛みに変わった。

耐え切れず仰け反ると一瞬手の平が見えた。

そして理解した、アキヨリに張り手を食らったのだと。


「仇討ちを成し遂げたなら、苦しみから解き放たれるとほっとしたと申したな。

男は何を思うかでは無い、何を成し遂げるかだ!

お前が成すべきは己を不甲斐ないと思い込む事では無い!

その自慢の右半身の前足でナリカワ ヒデミツと侵略者のツラを踏み潰す事だ!

兄上が何故お前に俺とシジマ家と日の本の未来を託したかと申したな!

お前が苦しみに耐え抜く不屈の真(まこと)の武士(もののふ)である他に理由などあるか!!

俺が現れ苦しみが増したと申したな。

ならばこの憎っくきシジマ アキヨリに槍を食らわせてみろ!!」


「アキヨリ様あああ!!」


フジオカは鼻血を吹き出す仁王となり踏み止まった。


「来おおおい!」


アキヨリは自ら編み出した、大上段から槍の穂先を足元まで下げ、払う、いなす、受ける、自由自在の絶対防備の構えをとり全神経をフジオカの竹槍に向けた。


「参り申す!

おりゃあああああ!」


フジオカ生涯最高の一撃が放たれた、それは突きなのか薙ぎなのか、観戦していた強者達にも速過ぎて判別不能であった。


「全く見えん!」


アキヨリの視界は真っ暗になった。

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