フジオカが膨らみ始めました
「塔?!その様な巨大な物を。
信じられぬ、ナガヨリは一人でやると言って事実誰の手も借りなかった。
ただ大量の薪を用立てさせられたが。」
「ニザエモン殿は義父上の鉄産球製造に関われたのですか?!
ああ、鉄産球とは大きな擬宝珠の様な形の…」
「そう!それだ!図面の様な物を見た覚えがある。」
「いかにも、義父上は鉄産球を作り出し、鉄産球が塔を作り出したのです。」
「そいつはおめえの御先祖様のヨシサダ、トキサダが封神壇を建造する際に作った物と同じだな?
そいつにおめえ達 多々良の力を込めると、土中の砂鉄やら粘土やらを焼き固め、様々な建造物を作り出せるってやつだ。
しかし徹底して秘密裏に作ろうとしたにしろ、たった一人とは頭が下がるぜ。
ヨシサダ、トキサダの二人は大勢の手を借り作ったと伝えられてる。
どれだけ困難だったかは俺にも分かるぜ。
しかし何の為に塔なんかおっ立てたんだ?」
「ジョスイ、お前の一族の伝承に鉄産球の事があったとは説明する手間が省けた。
義父上が塔を建造した目的は穴を掘る為だ。
ホウライ山の火口から海まで多々良の力を繋げる為の中継地点に塔はあったのだ。」
「火の神、即ち火山の噴火を海底まで持って行こうって算段なんだな?!
すげえぜ!
しかしおめえ あったと言ったな。
もう無えのかよ?」
「俺も多々良の力を鉄産球に込めたなら、更に穴を掘る速度が早まると思い、やって見たが。
恐ろしい程に塔は伸びて均衡を失い倒壊した。
面目無いのだが、まだ穴の深さは力を繋げられる迄には至っていない。」
「おいおいおい!
せっかく義理のおとっつぁんが遺した物を、目的も果たせねえまま、粉々にしちまったってのかよ?
どうすんだよ?!
まさかおめえが作るって言うつもりじゃ無えだろうな?
多々良の力はどうか知らねえが、鉄産球は瀬戸物だろ?
陶芸家としてのおめえはまだまだヒョッ子だろうに。」
「自覚している!
一々耳が痛い事を言うな!
俺が作るなどと一言も言ってはおらん。
忘れたかジョスイ、俺には一流の陶芸家の仲間が五人もいるのだ、何も案ずる事は無い。
ここに鉄産球の図面もある。
ドーマンにて内部まで事細かに写し取った。
更にこれは現在の封神壇の見取り図だ。
付け加えておくが、封神壇は現在も鉄産球の力で増築され続けている故に参考までに見ておいてくれ。
更に付け加えるが、封神壇を守る為に、古の武神ヨシツネ公と同等の力を持った者が十二人待ち構えている。」
「若様、我等が一人倒した故に十一人に御座います。」
「そうだぜ、ほんと死ぬかと思ったぜ。」
ダンザとキリュウは真上を向かんばかりに、踏ん反り返った。
「ぬ、ぬ、ぬ、ぬ、ぬうう!!
それは誠で御座るかアキヨリ様!!」
当然フジオカは面白くない。
「フジオカ、すまぬ、すまぬ。
次は必ず お前の力を借りるから、ここは収めてくれ。
この通りだ。」
「あわわあわ!おやめ下されアキヨリ様!
み、皆様方、拙者としたことが取乱し申した失礼いたした!」
「うむ、フジオカよく抑えた。
ダンザとキリュウが申した通り、我等三人で辛くも勝利した猛者が残り十一人。
更に我等を阻まんと強大な力を持った義母上も立ちはだかるだろう。
容易では無い役目である、大軍を率いて臨んだとて、瞬く間に兵達は葬られるだろう。
其方達の如き尋常ならぬ武勇の持ち主でなくては成し遂げられぬ。
フミさんの願いを快諾してくれた事、俺からも礼を言わせもらう。
だが未だ、それらを成し遂げる手段も策も定まってはおらぬし、先ずはナリカワを打ち破る事が最優先である。
随時 決定したことが有りしだい報告させてもらうと同時に皆からも知恵を借りたい。
何もかもとりあえずであるが、俺からの報告は以上とさせてもらう。
ニザエモン殿よろしいか?」
「随時の報告 楽しみにしておりますよ。
さて次はヘイクロウ殿 お願いしますよ。」
「はっ!かしこまって御座る!」
船中でアキヨリ達に、昨晩はジョスイに、そしてこの円卓。
三度目の同じ内容の報告に関わらず、ヘイクロウはうんざりするどころか意気揚々と立ち上がった。




