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六角の花   作者: フミ
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空の道 路路魏

「大王…少しよろしいだろうか」


そう言うアキヨリはオオクニヌシと視線を合わせず明らかに怯えている


「なんだえ?」


「ヤマトの成り立ちがそのようであったのは驚きであるが

何故大王が知っているのです

ヤマトが興った土地は今のキョウの都その前のナラと同様 機内であった筈

イズモとはかなり距離がある

当時は道も整備されていなかったであろうし船も無かった筈…」


アキヨリはそこまで告げると恐る恐るオオクニヌシの顔を見た

笑っていた

オオクニヌシは笑っていない目で言う


「で?」


と一音だけ


「あの…そのなんだ…お続け下され」


「それでよい

良い態度に免じて答えてやる

朕の集落を去った渡来人であったがその後も交流はあったのだ」


「なんと!どの様な手段で?!」


「陸路も海路も今の数倍 時を要した…」


「分かった!俺にリヨウがいるようにぃんごっ!」


尻にめり込んだオオクニヌシの足がアキヨリの言葉を遮った


「リヨウ程大きくは無かったが朕にも千年鷹の友がいたのだ

名をロロギと言った

ロロギはグァンユウという渡来人の若者に懐いて集落を去って行く彼についていってしまったのだ

一度に家族同様であったグァンユウ達と幼き頃より共に暮らしたロロギを失い

朕は悲嘆に暮れ空も星座も見上げる事無く日々を過ごしていた

だがある日 空を見上げた

何のきっかけも無かったが青く澄んだ空に立ち上る積乱雲を見たのだ

忘れはせん

積乱雲には黒い影があり影が朕の肩に舞い降りた時の重み

息の続く限り吸い込んだロロギの匂い

ロロギの首に下げられたグァンユウから朕宛の竹簡の文面」


「竹簡には何と?」


「定住するに相応しい良い土地を見つけた

ロロギが彼方此方から彷徨える渡来人達を連れて来てくれ千を超える仲間が集まった

などど綴ってあった」


「それだけですかぁ?

もっとその良い感じのアレがあったのでは?」


武術の達人であるアキヨリは対峙する相手が攻撃体勢になった事を動作ではなく意思で察知する

そんな理由から縮み込むように背中を丸め尻を少しずらし尻半分だけ攻撃体勢のオオクニヌシから離れた

日の本一の(つわもの)は自分に落度がある場合

落ち葉の季節のバッタの如く大きな動作が取れぬ程弱い

だがそれが功を奏し(可愛げ)に弱いオオクニヌシの怒りを鎮めた


「留まる土地と仲間を得た事は良い感じであるな」


「はい 仰せの通り」


「グァンユウとのやり取りはその後もロロギが取り持ってくれた

五年の月日が過ぎ朕は巫女としても医師としても人間としても成長し日々忙しく過ごしていた

いつもの様に仕事の合間にロロギを待ちわび空を見上げると数枚の鳥の羽が舞っていた

空にはロロギの姿は無く朕の目の前に立っていた

そして朕の姿をその目に映すと朕に向かって弱々しく一歩二歩と進み

朕の胸に倒れ…

そのまま息絶えた」


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