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六角の花   作者: フミ
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バカと煙

アキヨリの元に向かっていたリヨウが回転して飛ばされた

爆風にあおられたのだ

爆風はダンザとキリュウにも届いていたが髪をなびかせる程度だった

その事から爆発は倒れ行く塔の辺りだと思われた

爆炎や爆煙はなぜか無くはっきりとした爆発の箇所は特定できない


しかし一番爆発の影響を受けたであろう者がリヨウ同様回転して飛ばされていた


「うひゃー!

上手く行ったが予想以上だ!」


塔の真下でアキヨリが飛んでいた

重力に逆らい回転しながら上昇している


ゴン!


上昇は止まらず覆い被さる様に倒れて来る塔に頭からぶつかった


「痛ってー!

これじゃ下敷きになってしまう

横だ 様に飛ばなくては」


ドオオオオオン!


ダンザとキリュウの待つ杉の大木の方にアキヨリが飛ぶ

今度は回転せず両手両足を広げムササビが如く

なだらかに降下しながらほぼ真横に滑空している


「ダンザ キリュウ リヨウ

見たか!

俺は翼を得たぞ!

おお!

塔が倒れるぞ!」


グゴゴゴゴゴオン!


木々の乱立する山の斜面に塔は横たわり

土埃と轟音を撒き散らした

驚いた鳥たちがどこを目指すでも無く飛び立って行く


木の幹にしがみつくダンザそしてキリュウは目と口を開けられるだけ開け絶句した

塔の倒壊は予想出来た

絶句は予想だにしないものを目にしたからである

リヨウは直ぐにアキヨリの元に向かいたかったが爆発を恐れ

小さくその場に旋回し始めていた


「リヨウそうしていろ

怪我をするといかん

心配いらん

俺は翼を得たと言っただろう」


そんな筈は無くなだらかだった落下は真っ逆さまとなった


「いかん調子に乗った!

それもう一丁!」


ポフッ


「駄目だ!

杉の木一本燃やした位ではこれが限界のようだ

次を燃やすにも間に合わん

リヨウ来てくれぇい!」


やれやれといった呆れ顔のリヨウに掴まれたアキヨリは数刻後

キリュウの掴まる杉の大木の幹にへばりついていた


「痛てぇ!痛てぇ!

折れた肋が痛え

キリュウ上か?下か?」


「上にいやすよ

動けますかい?」


「うう…

心配いらん動けそうだ」


「いきなり訳の分からねえ事するからですぜ

いきなり飛び出すもんだから

死んじまったかと思いやしたぜ

リヨウが懲らしめてくれたからスッとしたんで

俺のお仕置きは引っ込めておきやすがね」


「誠 済まなかった

昨夜ヨシツネ公の分身と相対した時

俺を屋上より突き落とさんと

爆発を起こして爆風にて恐ろしい速さで迫ってきたのを思い出し

あれを使って降りられないかと思ったのだ

実際ああしなかったら間に合わなかったであろう」


「若様ご無事ですか!」


隣の木から血相を変えダンザ


「ダンザも済まなかった

しかし皆無事だった

めでたく一件落着だ

ふはははははははは!」


「アキヨリよ無事であった様だな

肝を冷やしだぞ

早速だがそなたの力が朕の手に届くのか試してみよ」


塔が倒れ ただ地面にあいた穴からオオクニヌシが急かす

穴の中心には塔と共に折れた円柱の断面から地下水が噴き出している


「ああ そうでした

大王暫し待たれよ

すぐ降りられる高さでは御座らぬ故」


杉の大木は根元部分では太さが直径で六尺(約180cm)程あり

しがみついて降りる事は出来ず槍やら脇差しやらを突き刺し足場とし

またそれを引き抜きさらに下に突き刺しを繰り返し

難儀しながらやっと三人は大地を踏みしめた


「大王 聞こえるだろうか?!」


膝と両手をついて底の見えない穴を覗き込むアキヨリ

その後ろには疲れ果てたダンザとキリュウが座り込んで干し飯をボリボリ噛み砕いている


「聞こえるぞう!

早う!早う!」


「そう急かされるな

行きますぞ

とりゃあああああああああ!」


無数の歯車が一直線に連なり地下に向かって行く

歯車の進む速さは凄まじく

瞬く間に一番先の歯車は穴の底同様に見えなくなった


「おお!

もう少しだ

もう少しで届くぞ!」


「ぬりゃあああああ!!

底に届きましたぞ!」


「アキヨリよ

集中しておるだろうが更に集中せよ

水や岩盤の空気より密度の高い物質を多々良の力で貫くのは困難であろうからな」


「うおおおおおおおお!

大王まだ届かぬか?!」


胃袋を吐き出さんばかりに腹の底から多々良の力を搾り出すアキヨリの体から陽炎の様なものが立ち上っていた


「待て!

それまでだアキヨリよ

一旦多々良の力を収めよ!」


「もう少しなので御座ろう?!

拙者の力侮るな!」


「収めよ!!」


「分かり申した…」


アキヨリは全てを投げ出すように仰向けに身を横たえた


「若様ご無理なさるな」


ダンザの影がアキヨリに覆い被さる


「もう少しだった

だが見通しはついた

修行して力を高めれば良いのだ

まだまだ俺には伸びしろがある」


「それはならん!

力は増大させるのでは無く磨くのだ

そなたの力は既にヨシツネやナガヨリの数倍ぞ

力の使い方を極めてこその多々良の守人であるぞ」


「なんですと?!

拙者の力がそれ程とは

では力の使い方極めれば大王まで拙者の力届くのですな

確かに先程爆発させるよう力を使ってみて分かり申したが

ヨシツネ公や義父上と比べて拙者は雑に力を使っているように思えました」


「ううむ

それでは届かんのだ

力の届く距離即ち力の総量

いかがしたものか

もう穴を深く掘る手段は粉々であるからな」


「案じられるな

大王が何故拙者の力が今より増えるを危ぶむかは分かり申さんが

あの巨大タマネギの寸法事細かに記しております」


「なんと!

しかしあの様な複雑な物を作り出す技を持つ者などナガヨリ以外にはおるまい」


「ふふん

拙者には無理かも知れませぬが

拙者には日の本一の陶工が五人も友におります

あの装置再び作り出すなど朝飯前に御座る!

さてもうここには用は無い

行くぞダンザ キリュウ リヨウ!」


「待て!暫し待てアキヨリ!」


「帰りに寄ります」


後ろ手に手を振り風の如く山道の奥へと姿を消すアキヨリ達


「なんでこの子はこうなの!」





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