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六角の花   作者: フミ
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失い探す手立てさえなく

ねじるだけねじれたアキヨリの一番近くにいたゴクラクサイが

そのねじれた体の肩を掴みねじれとは逆に回して言う


「分かった!

分かったから気を鎮めよアキヨリ

しかし何から話したら良いもんだか

…」


「先ずはこのアキヨリが成すべき事から!」


「うん そうだなあ

先ずは先程 大王が言った通り大王の手に届くまで穴を掘らねばならん

ヨシツネ公の術を取り込んで穴を掘る速度が急に早くなったのは驚いたわい

お前の力を籠めれば更にその速度は早まるであろうな」


「理解いたしたぁぁ!」


「次はだなぁ

リッカが囚われし場所はもう突き止められるな

ドーマンの術があるものな

幾つもの罠も問題なかろう

問題は大まかに二つ

先ず一つ目はリッカを目覚めさせる手段の困難さだ」


「ゲンの手紙にもありました

その手段とは?!」


「氷の眠りとは万物を凍らせる程の冷たさで凍らせられた状態なのだあ

リッカの体は時間が止まったが如くそのままの状態を保たれる訳だが

目覚めさせる時モタモタしておったら

見た目からは分からんが体の深部の重要な箇所を破壊してしまうのだあ

よいか一瞬だど

一瞬で全てを凍らせる温度から人の生きる温かさまで上げるのだあ

まあそこまで術の力を高められればソヤカを止めるのも充分可能だえ

もう一つの問題とは…」


「それは我が口より!」


固く目を閉じたヨシツネが意を決したかのように

ゴクラクサイの言葉を遮る


「元々この事を伝えに現れた次第

火の神を封じし祭壇には御山の守人の他に十二の守護者がいるのだ

いや 今さっき十一となったか…」


その言葉にアキヨリの体は一直線になる


「何と!何と!何と!

今の言葉 拙者の耳には先程のヨシツネ公が十二人いると聞こえましたぞ!!

それに大王は先程のヨシツネ公を操られたとも申された!」


「その通りだ

火の鳥を喰ろうた我とシズカの体に異変が起きた

我等の背から十二の羽が生えてきたのだ

火の鳥を喰らい不死になる

それ即ち火の鳥そのものになるという事だったのだ

兄上は我等が完全に火の鳥となるを阻止せんと羽を全て切り落とした

とりあえずはそれで我等はそのままの姿を止められたのだが

切り落とした羽は何と我等と同じ姿となり動き始めたのだ

分身共は我の近くに居れば我と同じ動きをしたが

離れれば我の怨念の権化の如く暴れだした


そこで我等は兄上に我等の分身共々ホウライ山に封印するよう願い出た


御山の守人であるシズカとシズカの分身は

我が破ってしまった火の神の封印

即ち大王が溶岩の熱を放出させ続ける事により出現した

ホウライ山火口の岩盤を再生し維持する為に

我と我の分身は火の神の力を私欲に使う者から封印を守る為に

シズカは祈りを捧げ続け

我は黒い鎖にて封印された

シズカの火の鳥への変貌は力を使い続ける事により妨げられ

我は歴代の御山の守人の髪により作られた

強い封印の力を持つ黒い鎖により人の姿を保っておる

おそらく放っておけば我等は再び火の鳥へと変わって行くだろう」



「ぬうう!

ジョスイの家に伝わる火の神を封印した十二の巫女とはシズカ殿であったか

正確には御本人を含む十三であろうが

今は詮索するべきでは無かろう

また一つ何故で御座る

義母上はいかにヨシツネ公の封印を解き分身を操っておられたのか?!」


「うむ

操る術無くしてホウライ山に我が分身を置くなどわざわざ危険を増やす様なもの

分身が我と同じ動きをする理を兄上が解き明かし

祭壇に近づく者あるなら排除するよう行動を植え付け

さらに操る術を編み出し

御山の守人に託したのだ

黒い鎖の封印なら御山の守人であれば自在に操作できる」


「ぬうう!

ならば十一人のヨシツネ公を倒さねばリッカを助け出せぬので御座るか!」


「案ずるな

我も黙って見ている訳では無い

封印されながらも分身を操る力は他人には負けぬ

御山の守人と我の意思異なる場合

御山の守人の操る分身は一体が限界であろう

実際此度もそうであった」


「理解いたした

しかし義母上とヨシツネ公の分身一体を同時に相手にするは容易では無い」


「だがアキヨリよ

そなたなら必ず成し遂げよう

我は信じておる!

伝えるべき事は伝えた我はもうあるべき所に戻るとする

我がここにいる事をソヤカに悟られれば

またここに我が分身が殺到しよう

しかし しかしだ…」


「どうなさいました?!」


「全て伝えた筈なのだが何か肝心な事を忘れた気がしてならん

十二の分身に記憶を持って行かれたのか?

思い起こせばあの頃よりずっとだ

大王も御自身の名を思い出せなくなったと申しておられたな」


少しの沈黙の後オオクニヌシはこじ開けるように口を開いた


「いかにも

朕は完全に火の鳥となり火の神と同化してしまった

己が名も持って行かれ人であった頃の記憶も殆ど無い

僅かにこの幼稚な自我を残すだけだ」


「左様で御座るか

我はまだ幸福である

我には兄がいたシズカがいた

いや 今も側にいてくれる

思い出せぬ事など些細なものであろう

それでは暫しさらばだ

アキヨリ ダンザ キリュウよ

再びまみえる日をそなた等の成長した姿を楽しみにしておるぞ」


「待たれよ!」


力強く放たれた言葉とは相反し

静かに立ち上がったアキヨリの口には笛が静かにそえられた



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