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六角の花   作者: フミ
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枯れ木に花を咲かせましょう

「それは若様の操炎の力

ならばこの桃の花も同じと?

多々良の守人がこの塔にいると!?

それは一体誰なのです!?」


ダンザは興奮と同時に戦慄した

アキヨリが操炎の力を発揮する時

光を発する事など今迄無かった

つまりアキヨリを上回る力を持った多々良の守人が目の前にいるということになる

そしてその人物が味方である保証は無いのだ


「そう身構えるなよダンザ

行ってみれば分かるさ

ほれ鉄砲と三味線

キリュウ 槍は俺が貰って良かったんだよな」


「誰もそんな事言っちゃいませんぜ!

なんだか今日のアキヨリ殿は俺をいじめて楽しんでるみてえだ」


「あっはははははは

すまん すまん

ほれ槍」


それぞれの持ち物が持ち主に戻るや否やアキヨリは踵を返し

塔に向かい走り出した


「若様不用心です!」


「だから身構えるなって

大体の見当はついているのだ」


どこ吹く風のアキヨリは塔に辿り着くと入り口を探し始めた

だがそれらしい物は見当たらず

焦れったくなったのか胸の高さに幾つか空いている

人が入れる位の大きさの窓に頭から突っ込んで行った


「うおおおおおおお!」


間も無く塔の中から残響してアキヨリの声が聞こえて来た


「如何なさいました!」


「どうしやした!」


駆け付けたダンザとキリュウがアキヨリの突入した窓から中を覗くと

光の螺旋が目に飛び込んで来て目が眩み他には何も見えなくなってしまった


「やっぱりそうなったか

目が慣れてから入って来いよ」


「危険は無いのですか?」


「今は無い」


「ではさっき迄あったという事ですな!」


ただでさえ吊り上がった目を更に吊り上げたダンザは

眩んだ目を閉じドーマンによる視界を使い飛び蹴りをするように足から塔に突入した


「おいダンザ危ないぞ!」


勢い良く突入したダンザはすぐにアキヨリに抱きとめられた

一体何事かと周りを見廻しそして冷や汗を噴き出した


「若様これは一体!?」


「凄いだろ?

底が見えない さっき俺も落ちそうになった」


穴だった

塔の中は吹き抜けになっており

中心にはもう一つの塔という様な

直径十四尺程の円柱が立っていた


光はその円柱に沿って下へ下へと向かい目にも止まらぬ速さで螺旋を描いている

その行き先を目で追うと底の見えない穴の底を見て冷や汗を流す羽目になるのだった

穴は塔の床の殆どを占め足場は僅かである

その僅かな床にダンザを抱きとめた折尻もちをついたアキヨリは

床についた手と尻から伝わる質感と温度で床の材質を理解した


「この床は素焼きの陶器だぞ!」


おっかなびっくり入って来たキリュウが窓の外の槍を拾いながら続けた


「床だけじゃありやせんぜ

この塔全部瀬戸物だ!」


三人は惚けた顔で隅々まで塔の中を見廻して行った

そして見つけた

壁の内側に沿って螺旋階段が設えてあった


「登れるようだな

光がどこから来るのか見てみたい

行こう!」


「若様!先程の軽率 反省して下され!

何者がいるか分からんのですぞ!」


「誰もいないさ」


「だったらこの操炎の力は湧いて出たとでも言うのですか!」


「桃の花が枯れ木に咲き渡って行く様に炎を操るのは義父上なんだよ」


アキヨリはそう言うと駆け足で螺旋階段を登って行った




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