↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六角の花   作者: フミ
PR
197/788

侍である前に人であれ

立ち上がったアキヨリの右手にはアキマサの脇差し

左手にはイエナガの脇差しが握られていた

そして全身に漲る何かを一直線に吐き出した


「兄上!兄者!大御祖父様!そしてシジマ軍の勇者達!


このアキヨリ一軍を任された将にあるにもかかわらず

拙者を信任して兄上がお任せ下された大任を果たすどころか兵の全てを失い

あろうことか皆様方の仇であるサナガ ジョスイを打ち倒すどころか手を組み

さらに皆様方の菩提を弔う事遅れに遅れて本日やっとのことでおめおめやって参ったこの有様


拙者如きの命で償いきれるものでは到底毛頭御座らん事百も承知で御座るが

この命を以てして償うべきところを曲げてお願いいたす!


ナリカワを討ち倒し妻リッカを救い出すまでこの命暫く拙者にお預け下され!

重ね重ね無様で御座るが

民から奪った年貢で以てここまで育てて頂き生き永らえ来たこの身でありながら

拙者の願い全て私怨に基づくもので御座る

死して後どんな地獄の責苦に会うとも拙者の念願叶うまで

どうか!

どうか今少しこの世に止まらせて頂く事御勘弁下され!」


再び跪いたアキヨリは背中に巨大な炎の気配を感じ振り向いた

ある筈の無い巨大な炎の正体それは

アンドウ ダンザの気炎であった


「アキマサ様!皆様方!

続いてアンドウ ダンザがお願い申し上げる!


先程から若様が見当違いな物言いをなさっておいでだが全て聞き流して頂きたく御座る!


若様は何一つ人の道を踏み外してなどおりませぬ!


アキマサ様から頂いた言葉

今もこのダンザ心の支えにしております

武士である前に人であれと!

武士のしきたりなどくだらんと!


そのお言葉を心の芯にする事で このはぐれ者のダンザは本日まで武士として生きて来れたので御座る!


そして!!

武士としてお願いいたす!

いや!お誓いいたす!


これより先このアンドウ ダンザエモンはシジマ アキヨリを主君と仰ぎ

この一命一身を賭してお仕えし御守りする事ぉう!

お誓いいたあぁぁす!!」


「ダンザァァァ!!

兄上の墓前で何を申すかあぁ!!」


全ての体毛を逆立てアキヨリはダンザに掴みかかった

しかしダンザも一歩も引くどころが一歩二歩と前進する


「アキマサ様の墓前であればこそ申し上げました!

アキマサ様亡き今若様を主君とするのは俺が人としても武士としても!

生きて行くただ一本の道で御座る!


確かに俺がたった今申し上げた事は武士の法に則れば謀反以外の何物でもありませぬ!


この俺が許せぬのであれば斬って下され!

だが俺のただ一本の道は斬る事など出来ませぬぞ!

このアンドウ ダンザの使命!

魂だけとなった後も何一つ変わらぬ!

若様に立ち塞がる すくたれ者共を呪い殺しお守りぬくまで!!」


「ぬおおおおおおおおおおお!!」


アキヨリは頭をかきむしりながら猛然と寺の敷地内にある五重塔へ駆けて行った


「キリュウすまんが若様を追ってくれ!

精と魂が尽きた!」


「おう!」


二人の魂のぶつかり合いを目の当たりにしたキリュウは

走りながら自分がこの旅の目的としていた一つの願いを確固たるものとした



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。