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六角の花   作者: フミ
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繋いだ手と手

「おお、みんな揃ってんな

思ったより湿っぽくねえじゃねえか

みんな芯の強えヤツらだぜ

頭が下がるってもんだ」


ホウライ山を見上げる一同をジョスイは物陰に隠れ見守っていた


六人は甲板の縁の手すりに身を預けるように立ち

生まれ故郷より大切な二つ目の故郷を目に映していた

その後ろ姿に目には見えない繋いだ手がジョスイには見えた気がした


「もうすぐ日が落ちるな

間に合ってよかったぜ

最初は寝てる間に通り過ぎりゃいいんだがとか思ったが

取り越し苦労だったな

辛抱するんだぜ

いつか必ずこの俺があの山に戻してやるからな


おお、トミナリ城が見えて来たな

あの城も何かと因縁深い城だぜ


ん?!」


視界を遮っていた海に張り出す崖を通り過ぎるとトミナリ城が姿を現した

僅かにかがり火が焚かれ

沈み行く夕日を背に黒い影となり輪郭だけを現すトミナリ城にジョスイは異変を感じ取った


同時にアキヨリの後ろ姿もビクッと短く震えたようだ

他の者はシラセ家の一同も船員達もさっきと変わらない様子で

故郷を見上げそして作業を続けている


「ジョスイのだんな」


背中を突つかれジョスイが振り返るとキリュウの張り詰めた表情があった


「キリュウ、おめえも何か感じたか」


「へい、だが何がって聞かれると

答えられねえんです」


「ああ、変な感じの根拠を探してみたが見つからねえ

勘ってやつだろうな

若大将のヤツも何か感じ取ったみてえだぜ」


二人がアキヨリの後ろ姿に目をやると

後ろ姿ではなくアキヨリは二人に歩み寄って来ていた

そしてジョスイとキリュウの顔の間に自らの顔を突っ込み


「戦の匂いだ!」


ジョスイとキリュウの頷く様子を確認してアキヨリは続けた


「何の根拠も無いが

確実に対立する二つの勢力があの城にある

ジョスイ、キリュウ心当たりはあるか?」


「ねえ」


「ありやせん」


「ならば皆を不安にさせたくはない

気が付いたのは俺達だけだろう

黙って通り過ぎる訳には行かないだろうか」


「もちろんです

確かめる手立てもありゃしませんし」


「俺ぁてっきり おめえは首を突っ込みたがるのかと思ったぜ

大人になったって事か?」


「からかうなジョスイ

くれぐれも他言無用だぞ二人共」


「仲間を心配させたくねえなら早く戻れよ

みんなこっち見てるぜ」


「ああ、心遣い いつも感謝しているジョスイ」


「やっぱり仲がいいんじゃないですか」


その言葉はキリュウの食道を通過する事は無かった

自らの胸に張り手を食らわし寸手のところで難を逃れたのだった


二人に頷いて見せ

笑顔を作ってアキヨリは仲間の元に戻って行った


もう夕日はホウライ山の稜線沿いにに細い長くなっていたが

アキヨリ達はしばらく見えない手を繋いでいた



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