白瀬 志島 佐奈賀
「んぐっ!ぐ!ぐ!」
黙って聞くと決めたアキヨリ
一方全て話すと決めたジョスイ
「初めて聞くだろ?
おめえの習って来た歴史なんざ上っ面もいいとこさ
権力者に都合の悪い事なんざ闇から闇って寸法さ
だがおめえの兄貴は知ってたぜ」
「なんだと!」
「黙って聞けって言ったろ
続けるぜ
俺の御先祖様は八方手を尽くして
呪いを解く方法
呪いを封じ込める方法を探った
十年くらいしてやっと呪いを防ぐ方法は見つけ出したが解く方法は見つから終いだった
呪われた民を治療してる内に分かったらしいんだが
呪いが伝染する事なんてありゃしなかったのさ
その事を幕府に訴え関所を廃止するよう頼んだが聞いちゃくれなかった
だが二人の男が幕府からアキの国に派遣されて来た
派遣ってつっても勝手に来ちまったらしいけどな
二人の名は
ミナモトノ トキサダ
そしてその弟
ヨシサダ」
「ヨシサダ?!」
「そう、おめえの御先祖 後のシジマ ヨシサダとシラセ家の開祖シラセ トキサダだ
二人は戦に勝つ為やりたい放題やったツケをアキの国に押し付けた事を詫びて
一族の汚名を雪ぐつって手勢を率いて呪いを封じ込める壇を築く為にホウライ山に登って行った
二人に心を打たれた民は決死隊を結成して付き従った
そいつらの棟梁がナリモト シゲタツ
後にアキの国を治めるナリモト氏の先祖だ」
「何と!んがっ!」
「話の腰を折らなきゃ喋っても構わねえよ
合いの手があった方が話しやしいや
トキサダ、ヨシサダ、サナガ、決死隊達は
大勢の犠牲を出しながらも十二人の巫女と力を合わせ
遂には巨大な壇を作り上げ呪いを封じ込めた」
「十二人の巫女?」
「伝承には十二人の巫女としか書かれてねえ
火の神を封じる為生け贄になった最初の御山の守人じゃねえかと親父は言ってたな
巫女と言えば壇の持つ力が損なわれねえように祈りを捧げ続ける巫女達が山に残ったそうだ
それがおめえのカミさんの御先祖だ」
「なんという事だ!
だがその壇は今はどうなっている
巨大な物なら俺も目にしたはずだ」
「まだあるぜ あの山で長年暮らしたおめえの仲間達は呪われてなんかねえだろ?」
「見えないのだな」
「へえ、よく知ってるな
権力者や世間に恨みを持つ者に利用されねえように
見えねえよう結界が施されたのさ」
「それはどこにある!
正確な位置は分かるのか?!」
「そりゃ分からねえよ
当然だろ?
記したり伝えたりして知ってる人間を増やしちまったら
わざわざ見えねえようにした意味がねえ
知ってるのは御山の守人の長一人だけだ」
「そうか…
だがお前の一族の因縁とお前の謀反の動機に何の関係が…」
「おめえの事だ大体見当がついてんだろ?」
「ああ、だがお前の口から聞きたい」




