勝手なかけ引き
面食らったジョスイに対しアキヨリは舳先の上げる白波を以前として座り込みただ見つめるだけだ
「この野郎はいつもこうだ
頭ん中で鬼のようにいろいろ考えてやがるんだろうが
その経緯は全く口に出さねえで結果ばかりポッと出して来やがる
俺の謀反についていきなり聞いて来たには何か理由があるはずだ
その理由をいちいち問いただしてバカだと思われんのも癪だしなぁ
まてよ
もしかしてこいつは何とか俺を受け入れてくれようとしてんのか?
そんで一番受け入れ難い俺の謀反について決着つけようとしてんのか?」
ジョスイがヘソの上よりもう少し上で言うと
アキヨリがやんわりと催促した
「ジョスイよ、御館様に恨みがあったか」
「あったよ山程あったよ
しかしそんなのは理由にはならねえ
それ以上のものをあの人はくれたよ」
「では何だ」
「おいそれと話してやれる事じゃねえよ」
「そうか」
波音だけがあった
「髭を剃って服を着なければいかん
もう行くぞ」
立ち上がり船室に向うアキヨリの横顔をジョスイは視界の端に捉えた
「待てよ」
そして引き留めた
「全部じゃねえが話してやる」
ドカッ
アキヨリは元いた場所に座り直した
「まず御館様が死んだのは帝の謁見の間らしい」
「らしい?!」
「ちょっと頭ん中整理する…
俺が朝廷との仲介役をやってたのは知ってるな」
「ああ、お前は育ちが悪いわりには誰もが認める文化人だし
サナガ家はコウサイ帝の流れを汲む名門だ」
「こそばいゆいぜ…
やっぱり整理がつかねえ
しっちゃかめっちゃかだが聞け
俺に御館様を討てと持ちかけたのは朝廷のヤツらだ
で実際御館様を亡き者にしたのもヤツらだ」




