↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六角の花   作者: フミ
PR
130/788

押し込めて唯押し込めて

「ヒデカツの仇?

サカキ ノブハル?

サカキと言えばヒデカツの兄秀郷の直臣にサカキというのがいたな

なるほど合点がいった!」


アキヨリは現状を把握するべく辺りを見まわした

屋敷の門をくぐり十七騎の騎馬武者が一騎の若武者を取り囲むようにこちらを伺っている

距離にして半町程飛び道具は構えていない

おそらく中心にいるのがサカキ ノブハルで他の連中はその取り巻きだろうか


「一体俺はどれだけの時間十年前に行っていたのか?

リヨウは千の軍勢が三里に迫っていると言っていた

騎馬の速度からいって一刻ほどだろうか

リヨウがいないな、皆を呼びに行ってくれたのだな

しかしおかしいリヨウが呼びに行ったなら一刻も経てば皆もう出て来ているはずだ」


「何をブツブツ言っている!

落武者!」


サカキ ノブハルであろう若武者が二、三歩前に出て顎を突き出した

すると取り巻きの一騎が駆け寄り耳打ちした


「ノブハル様相手はシジマ アキヨリ何をして来るか分かりませぬぞ

本隊を待ってからでも遅く御座いませぬ

御自重を」


「何をして来るか分からぬだと?!

本隊を待てだぁ?!

見てみろヤツはもうボロボロだろう!

ヒデカツの川中衆を辛うじて退けたのだろうが

自慢の槍とて ほれ!ポキリと折れてただの棒きれだ!

ふぁっはっはっは!

今からこの俺が仕留めて見せるからお前達は証人となれ

シジマを討ち取ったとあれば俺の武名も響き渡るであろう!」



アキヨリはゆっくりと立ち上がりアクヤの咥えたねんねこの中を一度覗き込み ほんの少し微笑み

アクヤの鼻を「退がれ」と言わんばかりに後ろにはらい自らはゆっくりと前に進み落ちていた槍を拾った


「なるほど世間知らずのボンボンが先走ったというわけか

俺が正体を失っていたのはほんの僅かだろう

まだ間に合う!

己の感情は押し込めろ!

命より大切な家族の為だ訳は無い!」


アキヨリは槍を脇に抱え両手の掌で自分の頬を三度勢い良く叩いた

目には父の教えてくれた星座が飛び交う

いつもの気持ちを切り替える動作である


「だから何をブツブツ言っていると言っているだろう!

余裕をこきやがってこの落武者!」


「ああ 俺は落武者だしブツブツ言っているし余裕もこいている!

だがお前等よく聞け!

ヒデカツは生きているぞ!

此度のいざこざはナリカワ家 家中でヒデカツを支持する者が多くなり

お前等の主ヒデカツの兄ヒデサト殿が一計を案じヒデカツを亡き者としその罪を俺になすりつけようとした奸計だ!」


「そっ!そんなことは百も承知だ

俺はヒデサト様より直々にお前を討つよう命じられたのだ!」


「それは良かったな!

だが後ろの奴らはどうだ?!

こんな話はおおっぴらにできまい

おそらく知らんだろう

こんな話を聞いてしまってただですむと思うか?!」


取り巻き達は明らかに動揺している

主君の秘密を知ることは自らの命を危うくする


「ゴチャゴチャうるせえてめえは俺にぶっ殺されんだよ!」


ノブハルは馬の腹を蹴り猛然とアキヨリ目掛け駆け出した

動揺していた取り巻き達の対応は遅れ後を追う者はおらず辛うじて二名が弓を構えようとしているだけだ


「うまくいった!あとはこいつを捕まえ人質にして皆を待ち山をおりる!」


アキヨリは当面の難を退けたと確信した

だが予想だにしない事態がそこにいた者達の耳を襲った


「うわっああああああああ!!」


アキヨリが叫び声を見やると母屋から飛び出して来たチョウキチがどこから見付けて来たのか火縄銃を構えていた




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。