15年前の合格発表
卒業式から2日後、公立入試の合格発表があった。私は○○高校の職員玄関に張り出された合格発表表から「289」を探した。多分ないだろうと思っていたのに、「285」の下に「289」があり、本当にびっくりした。
最初、見間違いだろうと思い、目をよくこすってからもう一度番号を見たが、やはり「289」があった。そして、再び番号表を見た。もはや、「289」があるのは間違いなかった。これで私はやっと安心して番号表から離れた。そして、一人で密かに合格を噛み締めた。
それから、同じ中学の合格した連中に合格したことを伝えたが信じてもらえず、今度はみんなで「289」があることを確認した。そして、ようやく仲間と一緒に合格を喜び合った。
そのまま、中学校へみんなで自転車に乗って向かい、それぞれの担任の先生に合格を報告した。特に私の場合は元々の悪かったこともあり、他の連中の合格よりもすごく喜んでくれた。
まあ、他の連中は「合格して当たり前」と言った奴らだったので、このような違いが出るのは当然のことである。中には
「よくやった。お前は本校の誇りだ。宝だ。よくどん底からここまではい上がったものだ。お前のことは俺が語り継ぐ」
などと言って、握手した手を離さない先生もいた。ちなみにこの先生は以前、私を見るなり「もっと勉強をせんと、馬鹿がもっと馬鹿になるぞ」と言った人である。
立場が変われば、こうも扱いが変わるものかと、またしても思った。そして、それにふり回されてコロコロと態度を変える人間の愚かさも身にしみて感じた。
Kは…本当はここにいるべき人間だった。それなのに途中で一回、道を間違っただけで、今もどこかで迷い続けている。そして、かつては輝く存在であり、先生や親の期待を一手に引き受けるべき存在であった。
それが今ではみんなから避けられるべき存在に成り下がってしまった。本当はもっと早く戻って来られる道もあったのではないか。ところがそれを無意識のうちにふさいでしまったのではないか。
彼女自身が、親が、先生が、友人が、社会が…ありとあらゆるものが、彼女に最悪の選択をせざるを得ない所へ追い込んでしまったのだろう。
でも、最後にそれを選んだのはK自身である。私はKの弱さを嘆いた。もう、かつての優しくて機知に富んだKを見ることはできないのだろうか。
Kと出会わなければ、今、○○高校に合格している私はいなかっただろう。初めて出会った頃、二人の立場はまったく逆だった。
あの頃、私が思い描いていたのはこんな世界ではなくて、二人で同じ高校に通うことだったのに…。世の中はまったく思い通りにならない…。




