15年前の県下一斉テスト(2)
まあ、そんなことを考えたところで実現できるはずもないので、いっそう勉強に集中することで周りの雑音を完全にシャットアウトしていた。
そのおかげで一一月末の県下一斉テストにおいて最初で最後のトップ5入りを果たした。
一学期の期末テストでは二〇〇人ほどいた中で一五〇番台だったのが、夏休み明けの実力テストでは九〇番台になり、一回目の県下一斉テストでは五〇番台。それでもって、二学期の中間テストでは三二番!!
さすがに三二番となったときには、全ての先生からほめられたほどである。塾でもみんなびっくりしていた。何より自分自身が一番びっくりしていた。確かに勉強をそれなりに頑張ったが、そんなに成績が急に上がるなんて思ってもいなかったので、こんなにうまくいっていいのかと、何度も首を傾げた。
しかし、この成績の急上昇を受けて、初めは全ての先生から「○○高校の受験」を否定されていたのに、逆に何が何でも受けるべきだと言われるようになった。中には
「初めから頭がいい奴がいい高校に行くのは当たり前なんだよ。そんなの面白くも何ともない。それより、お前みたいなのが、努力して成績を上げていい高校に入ってみろ。みんな、感動するぜ。これこそ、受験版メークドラマってやつさ」
なんと変な持ち上げ方をする先生まで表れる始末である。つい最近まで、私の顔見るなり、「もっと勉強せんと、馬鹿がもっと馬鹿になるぞ!」なんて言っていた先生とはにわかには信じ難いほどの大変化である。
所詮、ほとんど先生達は成績でしか生徒を見てないようである。成績が大幅に良くなったのは嬉しい限りだが、その副作用で先生達の残念な一面を知ってしまったのは残念な限りである。
そうは言っても、この大変化のおかげで、夏休みあった嫌な出来事を高校に入るまでほぼ完全に忘れることができた。
また、Kに関する変な噂も気にすることもなくなった。人生でも数少ない「幸運が幸運を呼び込む時期」に突然入ったと今でも断言できる。
それは現実ときちんと向き合っていたら、とてもまともにはいきていけないと言う危機感が生み出した一種の幻でもあった。
そうやって、一方では人生でも数少ない「不幸が不幸を呼び込む時期」を乗り込もうとしていた。こんな不思議な感覚を味わったのは、後にも先にも中三のこの時期だけである。




