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悪の組織の幹部に粘着されています、公私ともに!〜敵幹部からの溺愛なんて不要なので倒されて下さい!〜  作者: 今谷香菜


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【閑話】朝の出来事

短めなので閑話扱いですが、本編の内容には絡んできます。

本日もう一話更新予定です

 紫子は朝はパン派だ。

 まだ回りきっていない頭でトーストにジャムを塗っていると、パタパタとこちらに向かって歩いてくる足音が聞こえた。


「ふぁ〜。おはよぅ……」

「おはよう、みどり。のばら達は?」

「まだ寝てるぅ〜」


 母屋に朝食を摂りに来たらしいみどりはまだパジャマ姿のままだ。

 寝ぼけ眼(まなこ)のまま冷蔵庫をガチャリと開けてグレープフルーツジュースを取り出し、グラスに注いでいる。


「今朝は早いわね。1限から講義?」


「ううん、今日は午前バイトに行ってから講義出るつもり」


「……みどり。何度も言うようだけど、ヒーローのバイトもあるし、あなたもう掛け持ちでバイトしなくても良いんじゃないの?」


 みどりは口の端についたジュースを拭いながら、「叔母さん、桃と同じこと言ってる」と笑う。


「私もそう思って、今後はヒーローと喫茶店バイトだけに絞るつもり。……単発で割りの良い仕事(バイト)あればそっちも入れちゃうかもだけど」


 冷蔵庫にジュースを戻しつつ、ついでに目ぼしいものを物色。ハムを発見したので1.2枚失敬し、食パンをトースターに入れてタイマーをぐりんと回す。


 トーストが出来上がるまで少しテーブルに突っ伏しながら、


「んーやっぱりさ、パパとママのお金は……のばら達も進学するかもだし。手を付けずになるべく遺しておきたいんだよね。ほら、私大とか理系とかだとお金かかるもん」


 紫子は「はぁ〜、みどりはしっかりしてるわ」とため息をついた。


 そしてこの場にはいない彼女の妹——もう1人の姪について考えをめぐらせる。主に成績について。


「私大はともかく……のばらに理系の適性はあんまり無さそうだったけど」


 そう言って苦笑する。先日紫子は、保護者として三者面談に出席したのだった。


「まぁ、あんまり無理しないでね。何か困ったことがあったらすぐ言いなさいね」

「ん、ありがと。紫子さん」


 その時トースターが、チーンと音を鳴らした。

 みどりは食パンを取り出し、温かいうちにマーガリンを塗りつつ、それを口に運んだ。


 ふと紫子の手元に置いてあるジャムの瓶を見て、「あ、それ……」とつぷやく。


「そのブルーベリージャムでしょ?ネットで間違えて業務用の大きい瓶買っちゃった〜って紫子さん言ってたやつ」


 紫子は「そうそう。よく覚えてるわね」と苦笑いした。


「これ届いた時、私も食べるの手伝おうか?って言ったのに。叔母さんったら『絶対1人で片付ける!』って意地張ってたんだもん。だからよく覚えてるよ」


 底の方にまだ残っているジャムを指差しながらみどりは感心したように言う。


「でもほんともう少しで終わりだね。あんなにたくさんあったのに、1人でよく食べれたね」


「そうよ。自分だけで片をつけないと!って思ったのよ」


「まぁた。ほんと叔母さんって時々よく分かんない意地張るんだから」


 ジャムの瓶を傾けながら、紫子はその黒っぽい半液体が、左右にゆっくり流れるのをぼんやり眺めていた。


「ぐつぐつ煮込んで煮込んでドロドロにぎゅぎゅっと凝縮されてしまったのなら……いっそ全部飲み干そうと思って」


 みどりは目をぱちくりさせた。


「ジャムの話だよね?」

「……ジャムの話よ」


 そして紫子は自嘲気味に笑う。

 ツンツンと瓶のフタを指でつつきながら、



「もう毎日毎日……繰り返しこんなのだと飽きちゃうというか。自業自得とはいえ嫌になるわ。……早く終わらせないとね」



本日もう一話更新予定

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