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Free City  作者: 七賀ごふん
Settle

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74/82

#2



担任が真剣な顔で話している最中、我慢できず周りに大声で話し掛ける。そういう友人を近くで見ると、何故か寂しくなる。

放置された金魚の水槽、ビリビリに破かれた案内図。学校は虚しさが凝縮された箱のようだ。


同性が好き合うことが一般化され久しい時代。昔は疎んじられ、苦労した人が大勢いたという。そんな話を授業中も真面目に聞き、“大人”で頼りがいがあるという立ち位置を確立したら、同じ男子生徒からよく告白された。

彼らは自分の表面に騙されて告白してきている。だから教えた。今の自分は“嘘”の塊なんだと。我慢と欺瞞で塗り固めた虚像。いつかどこかで爆発して粉々になる。常に不満を抱えて生きている時限爆弾付きの作品。


我慢ばかりの人生も、それを甘んじている臆病な自分にも吐き気がする。だからいっそ高い所から飛び降りたくなるんだ。

死んだら解放される。手垢のついたその言葉も、メディアの綺麗事よりは美しく頭に響いた。

解放され、自由になれる。今まで自分の首を締めていた、その全てが無に帰すのだから間違いじゃない。


飛びたいというより、墜落したいんだ。何気ないワンシーンで不幸に見舞われた、虚しい人になりたい。

そんな異常性を隠して大人になった。仕事熱心な人間を演じた。自分を取り巻く、温厚、誠実、勤勉等の単語は変わらない。羨望の眼差しにほんのちょっと生々しい色が混じるだけだった。

なにかに擬態している。自分では完璧に隠しているつもりだったが、素顔に似せた仮面に気付く者もいた。それは大体自分と同じ男で、歳上で、生きることに意義を感じない者。常に不満を抱えて、それでいながら笑っている者。それだけが共通していた。


命に重きを置いてないから、当然貞操を守る気もない。言い寄られ、誘われるまま身体を繋げた。知らない男に抱かれた。

窓の外、赤い光が乱反射している。

飛び散る汗。他人の体液でまみれた下半身。いやだと言ってもやめてくれない、逃がしてくれない男。やっぱり、繋がりがこの世で最も自由を奪う存在だと知った瞬間だった。

関わってみても“良い人”が分からない。直に触れ合うまでその本質を見抜けない。自分だけじゃない、誰もが仮面を被っている。我慢はしてなくても、不自由じゃなくても。自分を偽って生きている。




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