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Free City  作者: 七賀ごふん
Settle

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73/82

#1



長い人生、生きていれば必ず理不尽だと感じる時がある。用意された選択肢が、片方は当たりでもう片方は外れということがある。


望んだ結果が手に入る方どころか、外れしか用意されてないことが多い。だからなるべく笑顔で、最悪の結果を迎える訓練をしている。どんな災難が降りかかっても柔軟に対応できるよう、頭の中で何度もシミュレーションするんだ。それが弱くても生き残る秘訣。父がよく言っていた。

頭を使え。

───けど父は、ある朝車の中で冷たくなった状態で見つかった。未だにおかしいのが、正確な死因は不明。排気ガスによる一酸化炭素中毒という見解が有力だが、警察は最後まで断言しなかった。


父は立派な務め人だった。自殺する理由は見つからない。母のいない息子二人を残して死んだりするだろうか?

いや、もちろん自分にもある。たまに何もかも嫌になって人のせいにしたくなったり、全部投げ出して飛び降りたくなることが。けど実際にはそんなことできないから、笑顔で乗り切る。乗り切れる能力があったわけではなく、その選択しかなかっただけだ。

片親すら亡くした自分は幼い弟の面倒を見て、親戚の家で手伝いを引き受ける。我慢強さを試されてるような毎日だった。預けられた家で最初は厄介者として見られた。手も金もかかる男の子どもを二人も引き受けるなんて、という絶望感がありありと感じられる家だった。言うことを聞かないと追い出される。子どもながらに察して、我慢できない弟の代わりに自分が我慢するよう心掛けた。


欲しい服や文房具。我慢して、弟に譲る。良いお兄ちゃんだねと言われて、自分の立場は確立していった。

入りたい部活もお金がかかるという理由で諦めた。興味のある習い事も流行りのゲームも、友達の愚痴も修学旅行の班決めも、我慢、我慢。我慢という文字がついて回った。


『守門って本当に良い奴だよな』


幸か不幸か、そんな言葉もついて回った。少しだけ自分を殺すことが、相手を思いやることに繋がる。だから同年代の中では大人びた奴というレッテルを貼られた。教師にも褒められたが、あれこれ雑用を押し付けられたり、喧嘩の仲裁役を任されたりで疲れることも多かった。


経済的な面から進学先すら制限がある。友人達はお金に困ってないのに、進学したくないとぼやいている。何故、ここまで人生の質は違う。




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