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Free City  作者: 七賀ごふん
Inside

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56/82

#8



「由貴君、また何か隠し事してるね」

「えっ」


絹に会った夜から、今日で七日目。仕事終わり、レストランで司と食事をしていた由貴は肩を震わせた。

「か、隠し事なんて何にも……」

「そんなに目が泳いでるのに?

司はパスタを器用にフォークに巻いて口に運んだ。由貴はそんな司から視線を逸らし、スパークリングワインを飲む。少し炭酸が抜けてしまっていた。

「隠してるわけじゃないんですけど、その……稔のことが気になっちゃって。あ、気になるってそういう意味じゃありませんよ!? 単純に無事かどうかっ……安否確認って意味です!」

必死だ。あらぬ勘違いをされたら困ると、身振り手振りで訴える。それを見た司はお腹が痛そうに笑い続け、落ち着いてから「わかってる」と呟いた。


「稔君のことは俺も聞いた。捜査はしてるけど、行方不明者が多過ぎて手が回らないっていうのか現状だろうね」

「そうそう、それですよ。思ったんですけど、一回廃人を全て保護して、それからじっくり身元確認していけば良いんじゃありませんか? そしたら失踪した人がわんさか見つかると思います」

「網にかける感じか。良いと思うけど、政府は極力見ないふりだから……あまり期待はできないかな」


食事を終え、冷たい空気の外に出る。星は見えない。ずっと遠くに赤く光るタワーが聳え立ち、存在感を放っていた。あそこは電波塔でもあり、この街の要だ。自分達にとっても大事な心臓部分。

「あそこから飛び降りたら、さぞ気持ち良いだろうね?」

由貴の視線に気付いた司が微笑みながら首を傾げる。

彼の不幸になりたい病は依然変わらず。いつも爆弾が落ちてないかと目を光らせている。

「ははっ。そういえば最近飛び降りてません。頭の中で」

「由貴君にとっては良いことだ」

暗い夜道。オレンジ色の電灯が直線的に並んでいる。歩いてる途中手が触れて、自然に繋ぎ合った。


「そうですね。でも、たまには飛び降りたい……」

「……」


肩に回されていた手が後頭部へ移る。軽い力で引き寄せられ、彼に唇を塞がれた。

前のめりになっても身長差がある為、つま先立ちでキスを続けた。気持ち良い。脳みそまで溶かされそうな快感だった。

「司さん。触れたい……です。できれば、すぐにでも」

「大胆」

最近仕事が詰まっていたせいか、欲望は寝静まってるように感じた。ところが司と会った瞬間、醜い欲望が起き上がったのだ。抑え込んでいた熱が全身を侵す。

家まで待てず、結局ホテルで一夜を明かした。




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