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Free City  作者: 七賀ごふん
Inside

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50/82

#2



あの故郷は今も変わってない。変わったのは自分だ。

子どもではないが大人としては不確定な立ち位置にいる。振り落とされないよう手すりにしがみついて留まっている。

ようやく慣れ始めた職場、どこか落ち着かない街。

現状に適応することに精一杯で、恋愛は空回りしてばかりだ。司といること、その影響を畏れてばかりで、自分の本当の気持ちが分からずにいた。

でもようやく分かった……吹っ切れた気がする。


司といたい。


彼といると安心する。稔のことを抜きにしても、自分の至らなさを受け入れてくれていた。しょうもない自分なんかを心配してくれる、お人好しな彼が心配だ。

これからは隠し事なんてしないで、まっさらな状態で彼の力になりたい。できるだけ周りに迷惑をかけないように、自分がやれることをやろう。


軽く深呼吸し、スマホのアドレス帳を開いた。

未練がましくまだ残している、「稔」と書かれたファイルを開く。電話を掛けると直ぐ、この番号は現在使われておりませんという音声が流れた。

然もありなん、冷静にファイルごと削除した。別に司のことを口出しする気はなくて、元気にやっているかだけ知りたかったのだが……もう彼のことは忘れよう。


スマホを仕舞って大きく背伸びし、屋内へ戻った。

この時はまだ気楽に考えていた。

稔が行方不明になっていると知ったのは、翌週のこと。彼によく似た廃人が夜に徘徊している、と知ったのもその時だった。




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