王太子、婚約者に愛を囁く。
リンドール視点
焦がれた姿。
ゆっくりと近づいて行く。
窓から入った風がオフィーリアの髪を揺らす。
「フィー」
声が掠れていた。
近付き、よく見ると前よりかなり痩せている。
布団の上に置かれた手は真っ黒で、枝の様に細い。
その細くなった指に、一つ指輪がはまっていた。
リンドールの瞳の色の石の付いた指輪。
それを見た途端たまらなく愛しくなって、そっとその手を取った。
「フィー」
優しく持ち上げて頬を寄せる。
体温を感じない硬い手。
それでも、フィーの手。
痩せてしまった頬を撫でる。
温かい。
風がかきあげた額に口付けを落とす。
会いたかった。
「リ……ド?」
ゆっくりと瞼が上がる。
「リド様? 夢でいいから貴方にもう一度会いたいと思っていたの。嬉しい。大好き。大好きよ、リド様」
「私もだ。フィー愛してる」
「ああ、なんて幸せな夢かしら」
フィーの瞳からポロポロと涙が溢れ落ちていく。
「ありがとう。リド様、貴方に出会えたことが私の唯一の幸運。幸せをくれて、愛してくれてありがとう。貴方の幸せを祈っているわ」
「私の幸せはフィーが居なきゃダメなんだ。フィー、これからも私と共に生きて欲しい」
「ええ、私はいつだって貴方と共におります」
「約束だ」
「はい」
再び瞳が閉じられた。
ふわりと微笑んだその顔はとても美しかった。
リンドール視点最後です。
明日投稿の二話は再びオフィーリア視点になります。
あと二話で完結します。
もう少し、お付き合いください。
よろしくお願いします。




