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余命一年の悪役令嬢は、愛する人に嫌われるために画策します  作者: 衛星 奏志


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10/12

王太子、婚約者に愛を囁く。

リンドール視点

 焦がれた姿。


 ゆっくりと近づいて行く。


 窓から入った風がオフィーリアの髪を揺らす。


「フィー」


 声が掠れていた。


 近付き、よく見ると前よりかなり痩せている。


 布団の上に置かれた手は真っ黒で、枝の様に細い。


 その細くなった指に、一つ指輪がはまっていた。


 リンドールの瞳の色の石の付いた指輪。


 それを見た途端たまらなく愛しくなって、そっとその手を取った。


「フィー」


 優しく持ち上げて頬を寄せる。


 体温を感じない硬い手。


 それでも、フィーの手。


 痩せてしまった頬を撫でる。


 温かい。


 風がかきあげた額に口付けを落とす。


 会いたかった。


「リ……ド?」


 ゆっくりと瞼が上がる。


「リド様? 夢でいいから貴方にもう一度会いたいと思っていたの。嬉しい。大好き。大好きよ、リド様」

「私もだ。フィー愛してる」

「ああ、なんて幸せな夢かしら」


 フィーの瞳からポロポロと涙が溢れ落ちていく。


「ありがとう。リド様、貴方に出会えたことが私の唯一の幸運。幸せをくれて、愛してくれてありがとう。貴方の幸せを祈っているわ」

「私の幸せはフィーが居なきゃダメなんだ。フィー、これからも私と共に生きて欲しい」

「ええ、私はいつだって貴方と共におります」

「約束だ」

「はい」


 再び瞳が閉じられた。


 ふわりと微笑んだその顔はとても美しかった。


リンドール視点最後です。

明日投稿の二話は再びオフィーリア視点になります。


あと二話で完結します。

もう少し、お付き合いください。

よろしくお願いします。

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