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『心理学者の実験記録2』


人間の脳は、

一度意識したものを忘れられない。


 


例えば。


 


「視線」


 


たったそれだけで、

人は無意識に“見られる場所”を探し始める。


 


カーテンの隙間から、

こちらを覗く視線。


 


暗闇の中。


 


部屋の隅。


 


半分だけ開いた扉の隙間。


 


人は、

“何かが隠れられそうな場所”を想像すると。


そこに何かがいる気がしてしまう。


 


もちろん。


実際に存在するわけではない。


 


だが。


脳は一度想像したものを、

簡単には切り離せない。


 


例えば今。


 


あなたは、

部屋の隅を少しだけ意識した。


 


カーテンの方を見たくなった。


 


扉の隙間が、

少し気になった。


 


安心してほしい。


正常な反応だ。


 


人は、

“不安の種”を渡されると。


自分の想像力で、

勝手に育て始める。


 


だから恐怖とは。


“そこにいる”から生まれるのではない。


 


“いるかもしれない”


という認識から生まれる。


 


さて。


 


隙間が、

少し怖くなってきただろうか。

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