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第32話 第七属性

「おおっと!! 一方的に追い詰められていたミリア選手、絶体絶命の窮地から——まさかの攻撃魔法で反撃!! そしてこれは——雷魔法!!」


エルナの絶叫がアリーナに響いた。観客席が騒然となっている。


「ノエルさん、今のは!?」


ノエルは立ち上がっていた。穏やかだった表情が、驚愕に染まっている。


「……雷属性。間違いありません」


「雷属性? それは基本の六属性とは違うんですか?」


「ええ。魔法の属性は本来、火、水、風、土、光、闇の六つです。ですが、千年前——五人の始祖の一人、万象の魔女メルティアはこの六属性に加え、七つ目の属性である雷を使ったと伝えられています。魔淵の七花レビス・マギアの"七"は、このことに由来します」


「七つ目の属性……!」


「ただし、雷属性は誰もが使えるものではありません。メルティアの意志を受け継いだ者だけが目覚めると言われていて、一世代に使える者はごく僅かです。現在では、冠位の五傑クラウン・レグリアの一人であり、魔淵の七花の代表を務めるエレノア以来——我々の世代で二人目の覚醒者ということになります」


ノエルの声が震えていた。


「それがまさか、あの子だなんて」


アリーナの中央で、セナが歯を食いしばっていた。体の痺れが抜けない。だが、それ以上に心が揺れていた。


「雷属性……はあ、あんたが選ばれし者? ふざけるんじゃないわよ!」


セナが両手を突き出した。氷の槍と土の塊が同時に形成され、ミリアに向かって放たれた。二属性の同時攻撃。セナの全力。


ミリアは両手を構えた。体に走る紫色の火花が、さらに激しくなる。


「——雷迅槍ライトニングランス!!」


ミリアの両手から、槍のように収束した雷撃が放たれた。紫色の光が空気を焼きながら、氷の槍と土の塊に直撃した。

氷が砕けた。土が弾けた。二属性の攻撃が、雷の一撃で打ち砕かれた。


「私の攻撃が——潰された? ありえない、ありえない!!」


セナの顔が歪んだ。信じられないという表情。かつてパーティーの落ちこぼれと呼んだ相手に、自分の全力が打ち破られた。

ミリアは一歩前に出た。全身に紫色の稲光を纏いながら。


「私はもう、落ちこぼれなんかじゃない!」


声が震えていた。だが、目は真っ直ぐセナを見ていた。


「私は、カイの隣に立てるくらい立派な魔法使いになるんだ!」


ミリアが両手を掲げた。紫色の雷が両手に集まっていく。空気がびりびりと震え、観客席にまで帯電した風が届いた。


セナが叫んだ。


「ふざけるなーーーー!!」


氷と土の全力が同時に放たれた。だが——。


「——雷光弾サンダーボルト!!」


雷撃が全てを飲み込んだ。紫色の光がアリーナを満たし、セナの体を直撃した。

セナの腕輪が光った。魔法陣が発動し、セナの体がアリーナの場外へ転送された。


沈黙。


「け、決着——!! 勝者、Cランク、ミリア選手!! Cランクのセナ選手を下しました!!」


エルナの声が響いた瞬間、観客席が揺れた。

アリーナの中央で、ミリアは肩で息をしていた。全身の雷がゆっくりと消えていく。


「勝った……」


それだけ呟いて——ミリアはその場に倒れた。

意識が遠のく中、観客の歓声と、カイの声が聞こえた気がした。

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