表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
33/43

第28話 第二試練:新星演武(ルーキー・トーナメント)

目が覚めると、ベッドの上にいた。


どうやら、第一試練の後に救護室に運ばれたらしい。窓の外からかすかに観客のざわめきが聞こえていた。


「カイ! 目、覚めましたか!?」


横からミリアの声がした。ベッドの脇の椅子に座って、こちらを覗き込んでいる。目が赤い。泣いていたのかもしれない。


「ミリア……僕、どのくらい寝てた?」


「1時間くらいです。第一試練が終わって、今は休憩時間で——」


「おう、起きたか」


扉が開いて、白衣を着た男が入ってきた。顎髭を生やした中年の男で、目つきは鋭いが雰囲気はどこか気楽だった。首からギルドの魔導士の証がぶら下がっている。


「体は完璧に直しといたから。骨にヒビ入ってたのと、内臓の打撲が結構ひどかったけど、まあこの程度ならどうってことねえよ」


「ありがとうございます!」


「ここは超一流の回復魔法の使い手がごろごろいるからな。腕が千切れて焼却したとかじゃなきゃ、大抵のもんは治る。まあ頑張りな、少年」


それだけ言って、術師は手をひらひら振りながら部屋を出ていった。あっさりしている。だが、体を動かしてみると本当に痛みがなかった。完璧に、というのは嘘じゃないらしい。

ベッドの上で上半身を起こした。ミリアがまだ心配そうにこちらを見ている。


「大丈夫だよ、ミリア。もう全然痛くない」


「……よかった」


ミリアが小さく息を吐いた。それから、少し言いづらそうに口を開いた。


「あの……怪我のことなんですけど」


「うん?」


「ギルドの人に聞かれた時、私……ボスの霧鎧熊と戦った時に負った怪我です、って言ってしまいました」


ミリアが俯いた。


「レクトさんたちのことは……怖くて、言えなくて。ごめんなさい」


僕は少し考えて、それから首を振った。


「全然大丈夫だよ。それにミリアに怪我がなくてよかった」


「でも——」


「言ったところで揉めるだけだよ。それに、僕もミリアも第一試練はクリアしてる。それでいいよ」


ミリアがこちらを見た。まだ申し訳なさそうな顔をしていたが、小さく頷いた。


「……ありがとうございます」


「それより、この後の試練って何か発表あった?」


「あ、はい。カイが寝ている間に、第二試練の内容が発表されました」


ミリアがポケットから一枚の紙を取り出した。トーナメント表と、ルールが記載されている。


「第二試練は新星演武ルーキー・トーナメント。個人トーナメントです。第一試練をクリアした出場者が一対一で戦って、優勝者を決めます」


紙に目を通した。ルールは三つ。


第一条——試合は一対一の個人戦とし、武器・魔法の使用に制限はない。

第二条——降参、意識喪失、または審判の判断による戦闘続行不能で決着とする。致命傷を与える行為は禁止。なお、一定以上のダメージが与えられた場合、腕輪に刻まれた魔法陣によりアリーナの場外へ強制転送される。転送された場合は無条件で敗北とする。

第三条——試合時間は一試合につき最大十五分。時間切れの場合は審判の判定により勝敗を決する。


「致命傷だったとしても死なない、ってことですね……」


「王都の技術はすごいな……」


ルールを聞いて、腕輪をそっと大事に撫でた。


「トーナメント表は——」


ミリアが紙の下半分を指した。対戦カードが並んでいる。目が、一つの名前で止まった。


第二試合——カイ(Eランク) vs オリアナ(Dランク)


「僕が第二試合か」


「はい。オリアナ選手はDランクの魔法使いで、火属性が得意だそうです」


火属性の魔法使い——。

ついに、あの修行で身につけた技を試す時が来た!


僕はベッドから降りて、壁に立てかけてあった剣を手に取った。黒い刀身が、救護室の白い光を吸い込むように鈍く光っている。


「行こう、ミリア!」


「はい!」


扉を開けると、アリーナの喧騒が一気に近づいた。観客の歓声、実況の声、出場者たちの足音。

第二試練が、始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ