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第91話 一緒に

闇。


終わらない。


沈んだはずの海は、まだ深い。


レイは落ち続けている。


光はない。


音だけがある。


ルクの声。


「俺たちは兵器だ」


「拾われた」


「使われる」


「壊れる」


残響。


重なる。


白い部屋。


コンクリート。


番号。


89。


「お前だけだよ」


あの声。


あの距離。


あの温度。


「レイ」


呼ばれる。


振り向く。


だが姿は見えない。


闇が濃くなる。


残響が増える。


終わらない。


ごめん。


ごめん。


俺だけだった。


闇が閉じる。


そのとき。


細い声。


遠く。


「レイ」


違う。


ルクではない。


柔らかい。


だが強い。


闇の隙間に、光が差す。


細い腕。


伸びてくる。


頼りなく見える。


だが、何よりも強い。


「一緒に」


その一言。


光が広がる。


残響が押し返される。


闇が割れる。


レイは手を伸ばす。


触れる。


温かい。



目を開ける。


薄い白い照明。


共和国軍REV倉庫。


オルクシアのコックピット。


警告灯がゆっくり点滅している。


呼吸が荒い。


計測波形。


共有接続値、60%。


対面。


エレジア。


コックピット内部。


フィーナ。


目が合う。


そうか。


俺は――


生きている。


共有接続がゆっくりと解除される。


60。


40。


20。


10。


0。


オルクシアのハッチが、重く開く。


エレジアのハッチも、同時に。


フィーナが飛び出す。


転びそうになりながら、走る。


迷いがない。


レイの機体へ。


ハッチの縁を掴む。


「レイ!」


手が伸びる。


掴まれる。


抱きしめられる。


強く。


震えながら。


この手だ。


闇の中で見えた、あの光。


俺は、この手に救われた。


レイは、ゆっくりと腕を上げる。


躊躇いなく。


フィーナを抱き返す。


初めて、自分の意志で。


残響は、静かだった。

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