第88話 並ぶ
赤が消える。
次の瞬間、横。
衝撃。
防ぐ。
だが重い。
速い。
違う。
「……100%」
ルクは到達している。
完全。
揺れがない。
残響がない。
空虚。
レイの中で迷いが走る。
このままでは、届かない。
通信を開く。
「フィーナ」
即座に応答。
「うん!」
「残響共有設定値を30%に変更する」
沈黙。
「え、それだと出力が――」
「……残響が濃い」
赤の圧が増す。
共有60%では。
抱えきれない。
フィーナが息を吸う。
「う、うん、わかった」
共有30%。
波形が落ちる。
軽くなる。
だが――
レイは、強制的に共有回線を切断する。
切断。
遮断。
一瞬の静寂。
「――!?」
フィーナの声。
「なんで、レイ!」
次の瞬間。
共有していた残響が一気にフィーナへ落ちる。
重い。
圧が戻る。
だが、彼女は立つ。
歯を食いしばる。
白が揺れる。
レイは振り返らない。
赤へ向き直る。
⸻
通信切替。
「ユユ」
数秒で繋がる。
「ちょっとレイ!なんで勝手に共有切って――」
遮る。
「ユユ、オルクシアの接続値限界解放を申請」
沈黙。
「は!?何言って――」
「ルクは100%に到達している」
「このままでは並べない」
ユユの呼吸が乱れる。
「いいかげんにしてよ!」
赤が踏み込む。
青が弾かれる。
壁が砕ける。
「時間がない」
短い。
「……帰ってきてよ、ちゃんと」
ユユの声が震える。
レイは一瞬黙る。
その一瞬だけ、揺れる。
だが。
「問題ない」
静かに言う。
ユユは息を吸う。
決断。
「……認可する」
「オルクシア接続値、上限解放」
「レイ」
一拍。
「死なないで」
レイ。
小さく。
「ありがとう」
⸻
内部。
制御制限解除。
40。
50。
60。
70。
青い内部フレームが発光する。
骨格が軋む。
オルクシアが一段深く沈む。
視界が広がる。
ルクの動きが見える。
完全ではない。
だが。
追いつく。
赤が踏み込む。
青が消える。
真正面。
二機。
二人。
兵器と兵器。
ぶつかる。
衝撃波が旧市街を揺らす。
完全接続。
解放接続。
青と赤。
世界が軋む。




