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第十八話「砂被り姫のフィールドワーク①」前編



 旧帝都地下遺跡の探索発掘――その話が上がったのは、出張買取から帰宅したカイロからだった。


「旧帝都の遺跡って、異民族侵入時代に遷都したほうの帝都ですか?」

「そう、現在帝都がある中央水源から西、帝国西部のオアシス都市だ」

錬金術(アルケミー)が発達していた旧帝国は、遷都した帝都の防衛のために特殊な防衛兵器で囲っていたと聞いています」

「けれど、それから四百年が経ち、現在は複雑な迷宮化し、住む者はいない」


 人類が古来より開発した技術がいくつかある。錬金術(アルケミー)は物質の変化や流動を起こし、定められた法則に従って現象を起こす。

 今回の場合、帝都を守る防壁と街そのものを、巨大な古代迷宮(ラビリンス)へと変えたのだった。


「あの、私たちは研究者であって、冒険者ではないんですよ?」

「うん、僕もそう思ったんだけどね、西の国境線からえらい軍人が帝都に戻られるそうで、皇帝陛下が暇つぶしに攻略してみてはどうかと申されて」

「四百年間完全攻略を為しえなかった古代迷宮(ラビリンス)を暇つぶしって……」

「それだけ強いそうだよ。百年に一人の天才軍人さんは」


 予想外の方向に出立することになりそうだ。しかも、今回は前回のメイベリアン遺跡とは違い、ゆったり発掘調査をする余裕はない。


「あらあら、今回は遠いところまでいくんですね」

「ハリエさん、また店番お願いしちゃいますね」

「大丈夫ですよ。カイロは出張したり、遺跡に行ったり、よくいなくなりますから」


 微笑むハリエの出してくる朝食を摂りながら、二人は話を続けていく。


「ハリエさんも一緒に行ってもらおうか? 彼女は古代機人(エンシェイド)だから、戦闘になったのなら僕らよりはるかに強いよ」

「あらあら、買い被りすぎですよ、カイロ」

「けど、帝都の東部となると、ちょっと遠いね。移動するだけでも数日かかる」

「資金は出るんですよね?」

「帝国文部省から」


 帝国からの直接的な依頼となれば、資金は潤沢だ。マドレーヌが関与するかどうかは別として、二人ともこの発掘調査を楽しむことはできるだろう。


「あらあら、じゃあ長い旅行になりそうかしら。婚前旅行にするには物騒ですけれど」


 その言葉に、二人は口に含んでいたものを吹き出す。


「なっ、何を!」

「こ、婚前とか、そういう関係になってませんよ!」

「ごめんなさい。冗談のつもりでしたが、予想以上に動揺しましたね」


 冗談を口にできる人造の脳を持つ者など、過去未来を探しても一体いくつあるものか。

 少し動揺を抑えるのに時間を有したが、ロゼッタは一通りの内容を確認し終える。


「それで、参加ということでいいんだね」

「もちろんです!」


 脂ののったベーコンを噛み千切るロゼッタの答えに、カイロは強く頷いた。






少しでも気に入っていただけたら幸いです。




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