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エピローグ

 目覚めるとそこはテントの中だった。外ではルシアとルミナス、リテラナが朝食の支度やら見張りをしているようだ。


 寮じゃなくてわざわざ野宿?昨日で対抗戦が終わったし、別にどこで寝てもいいけど。


 僅かな疑問を抱きながら起き上がる。


「みんなおはよう。早速で悪いけど、他の眷属(みんな)を集め……いや、先に状況を聞かせてくれる?」


 外へ出るなり学院の近くではないことが分かったので何が起きたのか把握することを優先した。


「おはようございます。主様。僭越ながら、私がご説明いたします」


 見張りをしていたリテラナが真っ先に反応した。それは周囲を警戒していたが故の迅速な行動だった。


「お、おはようございます。ご主人様。リテラナ、貴女では学院がどうなったか説明できませんよね?ここは私に任せてください」

「おはよう。トウヤ」


 料理に気をとられていたルシアは慌てて是非私に、とリテラナに食いついた。ルミナスは挨拶だけ済ませて朝食の支度を進める。


「それは貴女とて同じことです。もうスカイ学院が機能しなくなったことくらいは私でも分かります。そして、その原因が及ぼしたのは学院だけではありませんので問題ありません」

「私は騒動の犯人であろう禁断の果実(フォビドンフルート)のメンバーひとりに会いました。是非私にご説明させてください」

「……ルシア。手を動かしなさい。それと、私は2人会ったし、その内のひとりはリーダー格、彼女らの目的も分かるわ」

「「……では、貴女に任せます」」


 ルミナスの言葉にいがみ合っていた2人は大人しく引き下がった。


「トウヤからも話があるみたいだし、今は軽く説明するわ。ルシアとリテラナは自分で持ってきてくれる?」


 丁度朝食を作り終わったようでワンプレートによそい、僕の分まで持ってくると、適当な椅子に座った。


 どうやら事前に4人がけのテーブルを用意していたようだ。


 ルミナスが2つ並べて置いたので必然的に僕の座る席は決まる。美味しいところをすべて持っていったルミナスに羨望の眼差しを向けるルシアとリテラナを意に介すことなく説明を始めた。



 ルミナスから聞いた話は衝撃的だった。もし他の人に聞いたのなら嘘だと疑うくらいには信じられなかっただろう。


 聞いた中で重要なものは5つ。


 スカイ学院の陥落。

 人工的な魔物の大量出現。

 0級魔法。

 ポアゾムファーデルドの生存。

 ラティアス・ノルザンシルの死。


「今は各々自宅待機ってことだけど、トウヤは集団で逃げてないから行方不明ってことになってるわ」


 ルシアを学院に堂々と連れ込んでいるのであまりロローシュ辺境伯家にいたくないからファインプレーだ。十中八九自分たちが僕と一緒に居たいが故の行動だろうけどね。


「なら好都合だね。ロノアでの騒動は一段落したけど、ちょっと問題があってさ。取り敢えず眷属(みんな)を呼びに行こうと思う」

「ルナが一番難しそうですが……ご主人様が直々に呼べば大丈夫でしょうね」

「確かに、彼女はどんなに忙しくとも無理やりにでも毎年1ヶ月予定を空けようとしますからね。いつもは大体主様に彼女の仕事場までお越しいただくのですが、1日ならなんとかなるでしょう」

「リテラナは大丈夫なの?」


 ハンタークランのサブマスターなら忙しいのでは?と思って確認する。


「問題ありません。ハンターは冒険者よりも自由ですから今回の騒動でスカイ学院一帯を危険区域に指定する程度ですから」

「そっか。じゃあ食べたら出発しよう」



 数日後。久しぶりにエヴァン以外の眷属が勢揃いした。


「みんな今日は無理してでも集まってくれてありがとう。この会議は長くなるだろうからすぐに本題に入るよ」


 僕の話を一言一句聞き漏らさないように眷属たちは静聴する。


「眷属がひとり増えた」


 明らかに空気が張り詰めたのが分かる。


 僕は不味かったかな?と思いながら眷属が増える原因となった昨日の出来事を思い出す。



 屋根を失った玉座の間にゆっくりと降下していく。


 端々には床が見えるものの、ほとんど瓦礫が敷き詰められた場所だけど、レネッフェは相変わらず玉座に座したままだ。


 一番高い瓦礫の上に降り立つ。そこには二振りの聖剣が突き刺さっていた。


 ぽつぽつと水滴が落ちてくる。次第に雨脚が早くなるが、この場にいる誰ひとりそれを防ぐことなく浴び続ける。


「居場所が、欲しいんだって?」


 しばらくしてようやく僕は彼女に話しかける。


「ええ。正確には貴方との……ね」

「なら、これを飲んでくれる?」


 少量の赤黒い液体が入った無色透明の小瓶を投げる。両手でしっかりと受け止めた彼女は首を傾げた。


「吸血鬼の方から採血したから、運が良ければ僕の眷属に成れるよ」


 レネッフェは僕が言い終わらない内に小瓶の中身を飲み干す。その行動には一切の躊躇は見られなかった。終いには小瓶の中に舌を入れて舐める、なんてはしたないことまでする。


 レネッフェほどの美女なら雨でびしょ濡れのその仕草ですら色っぽく写るはずだが、今の僕はなんとも思わない。


 適応できたかはレネッフェの居場所が感覚的に分かることですぐに判別できる。結果は勿論成功だ。



 こうしてレネッフェ・ニーバルハックは僕の13番目の眷属となった。


 眷属にしようと提案した理由は打算的なものだ。彼女が持つ情報の真偽を確かめる為に、そして、新たな情報の可能性を考慮しての決断だった。


 剣聖の運命。魔王討伐に貢献する者が基本バッドエンドになるのは未だに信じられない。いや、信じたくなかった。


「彼女は剣聖がバッドエンドを迎えるのが運命だと言った。僕はそれが本当なのか知りたい」


 誰かが口を挟む前に次の言葉を言う。


「そして、これが本命だね。来いよ」


 僕の呼び掛けに応え白と黒の翼を持つ熊が現れる。


「使い魔のルーエルだ。僕はこいつに聞きたいことがあるんだ。是非みんなに聞いて欲しくてね」

「へぇ。私に聞きたいこと?」

「ああ。これまでは会話できる使い魔が中々いなかったことと世界を行き来する機会がなかったから判明していないようだけど、こいつはルフトとロノアを知っている。でも、おかしいとは思わない?」


 ピンと来た者もいるだろう。僕が聞きたいことが。


「なんで普段ルフトでもロノアでも暮らしている訳ではないのに、その言葉を知っているのか」


 残念な頭のルーエルですら知っているルフトとロノア。なら、それは使い魔では常識である可能性がある。だからこそ僕は疑問に思った。


「ルフトとロノアについて知ってることを話してくれ。どんな些細なことでもいい。もしかしたら僕らが知り得ていない重大な情報の可能性があるからね」

三章はここで終わりです。一気に物語が動き出します。四章以降はほんとに何も考えて無くて、終わりまでの最低限の設定くらいしか無いです。僕も受験生ですし、次の更新はいつもよりも遅いかもしれません。少なくとも一年以内には更新します。

できればブックマークや、下の方にスクロールすると出てくる評価をしていただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 三章完結お疲れさまでした。 ずっと追っかけて拝見しておりました。 受験でお忙しいとは思いますが、気長に更新お待ちしています。 ヾ(*´∀`*)ノ
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