対抗戦 その1
模試があったけど、頑張って書きました。
……少し短いけど許してください。
取り敢えずラミューラを救出して、ラミューラの聖剣を見つけてから移動することになったのだが、ここからが問題だった。
まず、アルアリン砦に向かう為には死の森を通る必要がある。行きは裏技で強行突破したけど、帰りはそうもいかない。存在隠蔽も透過も自身を対象とするスキルなのでラミューラを抱えて飛んだとしても一瞬で霊が群がってくるのは目に見えている。
次に、アルアリン砦に着いたとして、最短ルートで王城まで戻るにしても当然そこはレネッフェも立ち寄った可能性が高い。となれば必然的に多少の遠回りをすることになる。
これらのことから王城まではそこそこ時間がかかる。多分到着するのは月末になるだろう。
エヴァンは移動するだけだから入れ替わる必要は無いと主張してきたけど、対抗戦前に何かしらあって僕の預かり知らぬところで事が進む可能性は大いにある。実際、アルアリン砦だってそうだった。
なので例え対抗戦であろうとも1日交代なのは変わらないことになったのだが、対抗戦は3日間かけて行われるのでエヴァンが2日目になるように調整してほしい、とのこと。
確かに能力が制限されていては最終日は不安にもなるだろうけど、それだけじゃなくて、入学式を除けば初めて学院行事だから少しでも参加できるように、という配慮も窺えた。
対抗戦初日。
ロノアでは安易に町や村を訪れることは出来なかったにしても何事もなく王城を目指せている。王都には今日明日にでも到着出来そうなので、これから忙しくなりそうだ。
男子生徒がリーダーということで試合の組み合わせは弄れないにしてもその順番は問題無いようで、初日──つまり予選なら午後に全部終わらせた方が楽だと思い第2試合を希望した。
人によっては休憩する時間が少しでも欲しい、と思うかもしれないけど、そんなのは誤差だ。確かに魔力や体力は回復出来るだろう。しかし、結局は前の試合での勝利への過程がどうだったかで決まる。
対抗戦のルールは学院側が用意した魔法具である魔法の障壁を一人ひとつ持ち、相手チームの魔法の障壁を先に4つ全て破壊した方の勝ちとなる。制限時間は一応2時間となっているが、訓練場はそこまで広くないので大抵1時間もかからない。2時間経った段階で破壊した魔法の障壁の個数を比較し、それでも決まらなければ魔法の障壁の残り魔力量で判断する。
魔法の障壁は魔力を注いだ量でその強度が変わる。ダメージを受ければ注いだ魔力が減り、ゼロになれば壊せる。
守ってばかりでは勝つことは出来ず、攻めてばかりでは簡単に負けてしまうかもしれない。魔力量が全てのこのルールでは魔力にステータス補正のある種族が優位にたてるようになっている。
レベルも魔力のステータス補正も最上位に位置する僕だが、正直、優勝することに興味がなかった。
「トウヤさんはそれだけで良いのですか?」
「はい。試合前ですし、重たいのは遠慮したくて」
「それでも野菜だけはおかしい。お金なら大丈夫。私が奢る」
「大丈夫ですよコレット先輩。気持ちだけ受け取っておきます」
「でも、次の試合に勝てばもう1回戦あるんだし、何か追加で食べた方が良いよ。ほら、あーん」
「ちょっとライカ先輩!」
午後から始まる試合に備えて雪のメンバーと一緒に食堂で遅めの朝食兼昼食を取っていると、不意に視線を感じ顔を視線の方向へと向けた。
僕たち以外誰もいなかった食堂には新たに4人の姿があった。視線の主はその1人のようだ。
水色の髪に碧の瞳。恐らく彼女は今代のルフトの勇者であるヴィロナだろう。聖剣こそないが、マリン学院の制服とその容貌を見れば眷属たちから聞かされた情報と合致している。
目を向けた瞬間だけ目があった気がしたけど、気のせいかもしれない。
そんな僕の様子を疑問に思ったのかファイ先輩が僕の顔を覗き込んできた。
「トウヤさん?どうされましたか?」
「どうやら見られてたようですよ。一緒に食べますか?お姉さん方」
「それは光栄ですね。ロローシュ辺境伯の養子で学院に通う男性の貴方様直々のお誘いを頂けるなんて」
僕の誘いに真っ先に応じたのは聖女ユティナスだった。迷わずにテーブルをくっ付けてきた。
「貴女方は勇者パーティですし、今回の優勝候補筆頭ですからね。気になりますよ」
「なんで分かったの?」
なんで、と聞かれると少し困る。情報源は眷属からで、勇者の存在は無視できないから情報収集してきてくれたんだし……。
「男なら勇者パーティに憧れるものですからね。調べるのは当然ですよ」
結局僕は誤魔化すように笑いながらそれっぽい適当な理由を言った。
「へぇ。そういうものなんだ」
「……因みにだけど、誰が一番とか、ある?」
「「「……!!?」」」
本人たちが揃っている時にその質問をされるのは難しいところだけど、今回ばかりは──
「賢者、ですかね」
「!……見る目がある」
「魔法を扱う者なら賢者は憧れの称号ですから」
「……そう。肩書きだから、なんだ」
彼女らの何を知っているのかと問われれば外見以外何も知らないと答えることになるだろう。実際に戦うところを見た訳でもないのだし、仕方ない。
「あくまでもお姉さん方の外見しか知らないので」
「なら、今日で貴方は私の虜になっちゃうかもね?」
剣聖のハロフィムはそう言うが、魔法を扱う者からすれば魔法に長けた賢者や聖女の方が好まれるのが普通なのだ。ましてや、聖剣を使うのと特級や聖級、超級魔法を使うのとでは見栄えとバリエーションが違いすぎる。
「バカなこと言ってないでさっさと食べないと。なんのために早めにお昼にしたのか分かんなくなっちゃくよ?」
「ん、それはヴィロナの言う通りかも」
「戦うとすれば明日以降になりそうですね」
「そうだね。まあ、そのときは勇者パーティの強さを教えてあげる」
ヴィロナは僕にそう言うと食べるのを再開した。
それから、大した話もせずにいよいよ僕たち雪チームの初戦が始まろうとしていた。
いつもの訓練場とは様子が異なり、魔宝石ではなく、普通の床になっている。障害物も無くただの広いフィールドだ。
両チームが定位置に着くと試合開始の合図がどこからかアナウンスされた。
「先手必勝です」
ファイ先輩が雪を降らせる。相手の魔法を妨害出来るが、ファイ先輩以外の味方もそれは同じなので今回はファイ先輩の独壇場となりそうだ。
ファイ先輩の氷の槍が相手チームの1人に向かって飛んでいき串刺しにしたと思えばその人が身に付けていた魔法の障壁が壊れていた。急所にあたればダメージが大きいのは当然だ。それが致命傷になるような一撃ならすぐに壊れても仕方ない。
接近して近距離から魔法を撃ち込むことで僕も1人倒していた。
これで残り2人。一気に半数まで減った相手チームを相手取るのには特に苦労することはなかったが、ここで僕はこのチームが案外強かったことを知った。
確か次の金曜に2回目ワクチンなのでもしかしたら投稿出来ないかもしれません。
それと、多分少し対抗戦が続きます




