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閑話休題:その1

短めです。シノンとシオン視点はまたいつか。

 ギーラン視点


 僕はイニヒブル公爵家の長男かつ魔法が使える男として産まれた。養子ではなくイニヒブル公爵家の、だ。


 故にとても大切に育てられた記憶がある。とは言え「好き放題出来たか」と言われればそうではない。生まれつき身体が弱いことも相まって確かに溺愛されてはいたが、やり過ぎることはなく、僕の行動が間違っていたのならそれを指摘してくれた。

 だからだろう。道を踏み外し他者に対して失礼なことをせずに済んだ。


 そんな訳で公爵家から産まれた魔法使いの男というだけでなく──自分で言うのもなんだが──我が儘という訳でも無い僕は他のご令嬢にとっては魅力的に写るのだろう。幼い頃からパーティやらお茶会に招待されることが多かった。


 それはまだ良いのだが、同い年の同性からは疎まれることが多く友達など作れなかったし、特定の女の子と仲良くすれば、その子にヘイトが向かう。そして、耐えきれなくなった彼女は僕から離れていく。そんなことが何回かあり、人間不信気味な僕はひたすら魔法の練習をするようになった。


 僕には永遠なる癒し(エターナルヒール)というスキルに対しての適正が非常に高かった。これは常に微量の回復をする効果があり、SPを消費することなく習得出来るなら取らない選択肢は無い。


 このスキルを強化する為には使い続けこととは他に条件があったのだが、それが中々難しい。ある一定時間、常にスキルで回復できうる最大の量を回復しなければならないのだ。


 最初期の(微弱)ならば病気になればすぐに条件を達成出来たし、その次の(弱)も重い病気を患えば達成出来た。しかし(中)になってからは上げていない。

 そもそもの話、病弱で身体も弱いからスキルがあってもなお病気になっていただけであって進んでスキルを育てていた訳では無いのだ。


 永遠なる癒し(エターナルヒール)は魔力すらも回復出来るので魔法の練習が捗り、もともと少ない体力でも常に回復するのでレベルアップも出来るようになった。


 SPが貯まったら真実の瞳(トゥルーアイ)を習得することに迷いは無かった。それほどまでに人間不信になっていたのだ。


 十歳の誕生日パーティだからと両親がわざわざ年が近い魔法使いの男子を集めたときに僕は彼と出会った。


 はぁ。中々友達が出来ないから彼らを集めたんだろうけど、結局あまり仲良く出来なかったなぁ。


 理由は簡単。相手の嘘を見破れるからだ。中身の無い会話をしているような気分になり思わず外へ出てきてしまった。


 バルコニーには先客がいた。僕は直感スキルを習得しているのでなんとなくそんな気がするだけで確証は無いのだが、僕は自分を信じないよりも信じることを優先した。


「ねぇ。誰かいるんでしょ?」

「……」

「多分同い年だと思うけど、どこの家の子かな?」

「……参りました。バレるとは思いませんでしたよ。僕はトウヤ。ロローシュ辺境伯の養子としてここのパーティに出席させて貰っています」


 姿を現したのは青みががった白髪で碧い眼を持つ一目見れば女性かとも見間違う美少年がいた。男だと分かったのはドレスではなくタキシードを身に付けているからだ。


 ……嘘はついてない、か。それにしても、ロローシュ辺境伯にこんなにも優秀な者がいたとは。相手から姿を見せなければ気のせいだと思っていたよ。


「僕はギーラン・イニヒブル。敬語はいらないよ。それにしても、こんなところに隠れて……パーティはつまらなかった?」

「それじゃあ遠慮なく。パーティは苦手なんだ。気を悪くしたら謝るよ。主催したのはイニヒブル公爵家だもんね」

「謝る必要は無いよ。僕も抜け出してきたしね」


 なんだろう。彼は今まで会った人とは違う雰囲気がある。それに僕が公爵家の人間だと知っても尚言葉を崩せるとは……。


 辺境伯と公爵では身分が全く違うのだ。しかし、彼はそれを意に介すことなく接してくる。こちらから許可したから当たり前と思うかもしれないが、他の者はそう上手くいかない。


「ねぇ。トウヤ少し話さない?どうせここにいるだけだと暇でしょ?」

「そうだね。僕もギーランには興味があるし」


 これが僕とトウヤの出会いだった。

 それからは出来るだけ彼をパーティに招待した。辺境伯ということで年に数回しか会えないけれど僕の唯一の友人だと言っても過言ではないだろう。



 スカイ学院で奇妙なことを頼まれた。


「恐らく来週。きっとおかしな行動をしてしまうかもしれない。だからそのときは支えてくれないかな?」


 しかし、来週になってもトウヤがおかしな行動をとることはなかった。でも、あの時トウヤが嘘をついたようには見えなかったのだ。


 モヤモヤしたままいたら、それは起こった。


 なんだかいつもとトウヤの雰囲気が違うのだ。


 学院に来てもうすぐ2ヶ月ともすればどの授業が移動教室で、どこにあるかくらい把握出来る。今まで迷うことなど無かったはずだが、何故か迷っている。更に登校の際に姿を隠さないなど、他にもおかしいところはあったが、恐らくこれがトウヤの言っていたことなのだろう。


 取り返しのつかないミスは無かったので少し僕がフォローすることで事なきを得ることが出来たのだが、一体トウヤはどうしてしまったのか。

 あの時の言葉は何だったのかと質問しても、「……ごめん、なんだったっけ?」と言われてしまった。


 彼の言葉には嘘はなかった。ならば、一体彼はどうしてしまったのか?

僕は番外編が何話も続くと読むのが辛い派なので次回は恐らく2ヶ月以内に更新するであろう3章になります。投稿時間は変えませんが、曜日は分かりません。何せ2ヶ月以内ならば夏休みがあるので……。但し追試がなければ、ですが。英表頑張らないと!

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