表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/83

ナイトメア

戦闘シーンを書くのに時間がかかってしまって……少しだけ短いです。

 訓練場に出た僕は真っ直ぐ地上を目指す。僕を始末する為にナイトメアは着いてくるしかないから変にここで相手をするのではなく最短ルートで突っ切ることにしたのだ。それに、今の僕のコンディションは最悪なのだ。戦うことは避けるべきだろう。


 工事の途中であったことは訓練場の様子を見れば分かる。その歩きにくい足場を僕は飛行スキルで、ナイトメアは常に浮いているから関係無しに地上へと出ることが出来た。しかし、徒歩のイシェニアは時間がかかるはずだ。


「お待ちしておりました。お疲れ様です。あとは任せてください」

「ああ。そうさせてもらうよ。後は……頼む」


 僕は地上にいたネクミスにバトンタッチして倒れそうになるところを受け止められ、出来るだけ離れたところに運ばれた。


「それでは、早めに終わらせましょうか」


 既にネクミスは籠手を嵌めて準備万端の様子。ネクミスが僕から少し離れたタイミングでナイトメアが訓練場の出入口から出てきた。


 ネクミスは鬼人という種族にも拘わらず防御特化のステータスを持つ。それが故に疎まれていたのだが、お陰様でトウヤに拾われることになった。

 通常の鬼とは違い、武器は金棒ではなく籠手を使う。盾を使うこともあるが、それは複数で戦う場合だ。

 籠手は着けたままでも盾を持てるから便利なのだそう。当然普通の盾では持ちにくいのでナノルルが専用の盾を作ってくれるのだ。


 早速ネクミスは十八番である鬼の戦王というスキルを発動させる。スキルが発動したことにより、額にある一本角が熱を帯び漏れ出た魔力が遠目でも分かった。


 鬼の戦王とは防御と攻撃のステータスを交換し、魔力と素早さを上げるスキル。今のネクミスには攻撃吸収スキルがあるのでローリスクハイリターンのぶっ壊れスキルである。

 敵を殺すごとに魔力と素早さが強化されたり他のスキルが一時的により強力になるという効果もあるが、それは今関係ない。


 まあ、僕のスキルも壊れている点は同じようだけどね。


 そんなことを考えてる間にネクミスがナイトメアに接近し殴っていた。


 ナイトメアはレニーナのような幽霊(レイス)とは似て非なる存在だ。確かに物理攻撃より魔力を伴っての攻撃の方が遥かに効果がある。しかし、全く効かない訳では無い。わざわざ出入口から出てきたことから完全な透過は出来ないからだろう。軽減率としては高いだろうが、鬼の戦王を使っての攻撃ステータスは化け物レベルで高いので良いダメージが入るはずだ。


 ナイトメアはバランスを崩しよろける。その隙を見逃さず、今度は籠手に雷と火の魔力を纏わせた。剣に魔法を込める僕の魔法剣よりも性能は低いが、魔力を用いているので、ただ殴るのと比較するまでもなく火力が出る。


 雷炎の拳がナイトメアの身体に吸い込まれるかのように風穴が空く。


 再生はしているが、普通に殴るより遅い。ダメージが大きいからなのか、魔力が伴っているからなのか、その両方なのか。とにかく、そのお陰で再生力よりもダメージ量が上回っている。


 ナイトメアは素早さのステータスがそこまで高い訳では無いようで、回避や防御が間に合わないことが多々ある。まあ、ネクミスの方がレベルが上だし、鬼の戦王スキルを使っているから当然と言えば当然だが。


 ナイトメアは既に片腕と顔の半分、左胸を失くしている。にも拘わらずまだ動き続けるのは別に本体がいるのか、消し炭にしなければならないのか、全く別の理由なのか。


 そんなことを考えていたら、訓練場からイシェニアが出てきた。


「あれ?まだ終わって無かったの?それどころかなんかピンチかも?なら、バージョンアップ、しちゃうよっ!」


 イシェニアが真っ黒の苺をナイトメアに投げつけるとナイトメアがそれを取り込んだ。すると、黒よりの灰色だった身体の色素が濃くなり再生速度も上がった。十中八九他のステータスも底上げされていることだろう。


「こんなところで私の研究成果を発表することになるとは思いもしなかったけど、折角だから性能テストするのも悪くないかなっ」


 更に僕たちの周囲限定で雨が降る。これがただの雨じゃないことは濡れていない地面を見れば明らかだ。


 雨?精神汚染に発生したものに似てるけど、目的が同じだとは思えないな。


 僕の懸念の答えはすぐに分かった。

 ナイトメアに雨が当たり淡い水色の魔力が包み込む。


 ネクミスは雨に構わず殴りかかった。

 ナイトメアを打ち抜くかの勢いだったが、明らかに火と雷の威力が落ちている。圧倒的な攻撃のステータスがあるので多少威力が落ちたところで十分過ぎる火力が出るが、再生速度が上がった今、ナイトメアが更に厄介な相手となったことは明白だ。


「この雨、精神汚染だけでなくナイトメアの強化も含まれているのですね」

「元々それらはセットなの。詳しくは教えてあげないけど、ヒントはナイトメアの原動力は負の精神が関係してるってことかなっ」


 原動力が負の感情、か。これまでどれだけ溜め込んでいたのか分からないけど、少なくとも一月分はあるだろう。つまりナイトメアを倒すにはエネルギーを使い果たさせるしかないってことか。


 しかし、それが出来るのは光や聖魔法だ。今の僕たちでは使えないので分かったところでどうすることも出来ない。


 いや、そうでもないか?多分だけど、トウヤなら持ってるはずだ。それがこっちに入っているかは別だけど。


 僕はひたすらトウヤの収納庫を漁るとすぐに目的のものは見つかった。


 勝手に使うのは流石に怒られるかな?でも、そんなのが苦にならないくらいに君のことが大切なんだ。


 取り出したのは3本の瓶。それぞれ赤、青、緑の液体が入っている。体力回復薬と魔力回復薬、それと聖水だ。


 回復薬を飲み干すと根性で立ち上がり風魔法でサポートしながらネクミスに向かって聖水を投げた。


「ネクミス!それ使って!」

「これは……っ!感謝します。ですが、身体は労ってください」

「ああ。分かってるよ」


 役目を終えた僕は再び座って観戦モードになる。


 僕の意図が伝わったのか聖水を受け取ったネクミスは自身が装備している籠手に聖水をかけた。


「何?その液体。見たことないけど……え!?」


 聖水で清めた籠手でナイトメアに触れただけでまるで溶けるように消えてしまった光景を見て思わずイシェニアは驚きの声を上げてしまった。


「やっぱり聖水でも正解だったか」

「君。一体何を渡したの?」

「聖魔法を施した水だよ。それで負の感情が清められてナイトメアが原型を留められなくなったってこと」


 そんな会話をしている間にネクミスはナイトメアを片付け終わっていた。


「そ、そんな……私のナイトメアが……」


 イシェニアは思わず膝を付いてしまう。まあ、弱点が分からないと倒すのは難しいから予想外だったのだろう。


 それを見られていることに気が付き慌てて立ち上がり青い結晶を取り出した。


「こ、今回はこれで引き上げることけど、次は負けないからっ!……それと、ナイトメアがやられちゃったからもう皆元通りになってるよ。……大切な人、助けられて良かったね!」


 魔力を結晶に込めて地面に叩きつけるとイシェニアの姿は消えて砕けた結晶だけが残っていた。

あと少しで2章も終わりですね。

3章では2章には出て来なかった使い魔の要素を入れる予定です。

2章の終盤はトウヤではなくエヴァンが主人公でしたからね。それに、名前の修正が終わって無いので3章からでいっか。と思ったのが、2章で出て来なかった原因です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ