決意
予定通り20時半に帰宅した僕たちは今回の戦績を確認していた。
「トロールの肉が計24キロか。これで2ヶ月はなんとかなりそうだね」
休憩の後にトロールを4体狩ったので合計16体を解体した肉も合わせるとそこそこ手に入った。
「本当にありがと。でも、私がこんなにトロールを狩ることが出来たのはトウヤが他の魔物を片付けてくれたことが大きいのにまるまる貰うのは気が引けるわ」
「まぁ、僕は僕で十分な収穫があったから気にしないで」
僕の収穫はキングトロールの肉である。この肉はトロールの肉より美味しいのだが、トロールが蔓延るダンジョンにしかキングトロールはボスとして出てこない為、キングトロール狙うなら他の魔物を狙う方が良いという判断がくだされることが多いので今回は丁度良かったので頂いた。
キングトロールはそこそこ筋肉があるので解体することで3キロも入手することが出来た。これは眷属たちが集まる日に料理してもらおう(つまり、僕の誕生日になる)。
翌日の放課後。僕とギーランは生徒会室へ向かっていた。
「5月になってようやく顔合わせか」
「結構緊張するね」
ギーランが生徒会室をノックすると「どうぞ」という声が聞こえた。
僕らは顔を見合わせ頷くとギーランを先頭に中へと入る。
既にリオは生徒会室にいたので僕たちが最後のようだ。
「ようこそ!我が生徒会へ。私は生徒会長のラティアス・ノルザンシルだ」
ラティアス・ノルザンシル。彼を見た瞬間、僕は思わず目を見開いてしまった。
似ている。僕が四天王だった頃の部下、エマモネス・ドライハルムに。髪や人見の色は全く同じ訳では無い。けれど、似たような色合い、そして顔立ちが奴を連想させる。
「俺は副会長の同じくのハドロン・バードノット。宜しく」
ラティアス会長は公爵、ハドロン副会長は伯爵らしい。が、今は他のことを考えてしまう。
他人の空似のはずだ。だけど。
チルリスの研究資料から推察したことが何度もチラつく。
もし仮に本当に2つの世界が繋がっていたとするなら……いや、今は生徒会のことに集中しよう。どうせ今考えても分からないし。
それから僕たち1年生の自己紹介を終えていよいよ本題に入る。(2年生はいなかった)
「生徒会の仕事をこの私が直々に教えてやろう。とはいえ、やることなんてほとんど無い訳だが、月末に1度だけ集まりがある。これは執行委員会が対応に困ったものを我々がどうするか話し合うもので、何もないこともある。その場合は解散してくれて構わない」
つまり、生徒会とはほとんど何もしなくて良いと。ありがたいことだ。それにしても、生徒会長がヤバいやつだと思っていたのだが、そこまで酷い訳では無かったな。
仕事の説明が終わり、そろそろ解散するかな、と思った矢先にラティアス会長が言葉を発する。
「さて、では早速仕事をしようではないか。本来なら先月やるはずの議題があるのだ」
「先月の集まりを無くしたのはラティアス会長が「ん゛ん゛議題は近々行われる四学院対抗戦のメンバー決めだ。ほら、これは去年の催しのプログラムと公式ルールが書かれている」
ラティアス会長が風魔法を使い僕たちに数枚のプリントを配る。
これは所謂体育祭のようなもので1つの学院ではなく四学院で行われるだけの行事だ。これは毎年大いに盛り上がる為、参加希望者はかなりの数いる。
去年の参加者を見てみると各学院で4人のグループ4つ、つまり、各学院16人しか参加出来ない。倍率は相当高くなっていて、1年生や2年生の女子生徒は栄光の天気しか選ばれないケースがほとんどのようだ。
「因みにだが、参加したい場合は我々生徒会メンバーは優先されるから安心するがいい」
なるほど、だからこれが僕らに回って来たのか。僕は参加しないから関係ないけど。
「私は勿論参加するが、他に出たい者は?」
「……俺は参加したい」
ハドロン副会長とギーランも僕と同じく参加しない中で、ラティアス会長の問いかけに唯一リオだけが参加の意志を顕にする。
リオは1年生だが、嵐の栄光の天気だ。それも、そこそこの実力があるので参加しても足を引っ張ることはないだろう。
ギーランとハドロン副会長はそれを危惧して不参加なのだろうか?僕はこういう催しはいつも観る専門なので参加しない。
「そうかそうか!だが、残念だったな。男子生徒は5人以上参加しなければ同じグループに入ることは出来ない。つまり!この私が優勝するのだから最高でも2位という結果になってしまうのだ。気を落とさずに来年優勝出来るように頑張るんだな」
なるほど。ラティアス会長は上位種族なので強いのは分かっていたが、その影響で少し偉そうな口調になっているのだろう。
「じゃあ、ラティアス会長とリオが参加することを執行委員会に伝えておくか。2人ともメンバーはどうするんだ?」
「私が直々に指名しても構わないが、正直どれも同じだろう?執行のやつらに任せておこう」
「……俺もそれでお願いする」
「……了解」
ゾクリ
悪寒がする。さっきまでのラティアス会長とは雰囲気が違う。ただナルシストなだけで本当は良い人だと思っていたのだが……。
今度こそやることが終わり寮に戻るとネクミスにラティアス会長のことを話した。
「なるほど。ですが他人の空似の方が現実味がありますよ?」
「だが、レニーナと解決したチルリスの研究を踏まえれば、怪しく見える」
しかし、これは幾ら考えても確証は得られない。チルリスの研究も行き詰まっている感じだったし。
「……SPを使えば……」
「トウヤ様!それはリセットが出来ない貴重なものなんですよ!なのにただの保険の為に使われるのですか!?」
魂の繋がりがあるならばエヴァンが危ない。これは確かに何一つ確証は無い仮定の話でしかない。だけど、それでも僕は何もせず後悔するより何かやった上で後悔するって決めたから。
「……確かにもう二度とやり直しが出来ないね。だけど、それはエヴァンのことも同じなんだよ。ただの杞憂の可能性が高くても僕の眷属である彼の為ならなんの躊躇いも無く使おう」
僕は流れる動作でステータスを表示する。
―――――
名前 トウヤ・シュエルローフ
性別 男 レベル 125
種族 吸血鬼上位皇族
攻撃 625
防御 875
魔攻 187500
魔防 1375
素早さ 1500
SP 740
スキル
飛行
眷属との命約
吸血
魔眼 レベル4
自己再生(超)
存在隠蔽
透過
全ステータス超アップ(夜) レベル4
空間把握 レベル4
魔力消費軽減 レベル4
魔法耐性 レベル4
闇魔法無効化
影魔法無効化
物理耐性 レベル3
金銀製以外の武器無効化
全属性耐性 レベル4
状態異常無効化
魔法
血液魔法 1級
結界魔法 1級
雷魔法 1級
影魔法 1級
闇魔法 1級
水魔法 1級
風魔法 1級
闇、影複合魔法 異空間収納
―――――
この世界に来てからレベル上げをしたのだが125までしか上がらなかった。ナノルルお手製の経験値倍増が付いたアイテムを身につけてひたすら魔物を狩っていたらあっという間に到達したのだが。
なんというか、レベル制限をかけられてる感覚があるのだ。この世界で上げられるレベルはここまで、みたいな。しかし、まだ戦闘でレベルが上がらないだけなので、まだ希望はある。
以前の世界には必ずレベルをひとつ上げるアイテム、成長を促す果実というものが存在する。年に十数個しか作れなかった貴重なものだ。この世界でも似たようなものを探したけど、存在すらしてなかったので、元々持っていた数しかなかった。
しかし、実はこのアイテムは果物のように栽培出来るのだが、膨大な魔力を与えなければならず1年間で一定まで達しないと枯れてしまうのだ。故に以前の世界では各国が必死に作って合計十数個という結果になってしまった。
だが、魔力さえあれば作れるのだ。1度で成る数は2~3個なので1つ植えて1~2しか増えないが、それでも作れないことは無いのだ。
元々持っていた17個の成長を促す果実を僕と眷属たちが協力して栽培しているので年に3~6個栽培することが出来たのだ。それを始めて4年たっているので現在、35個も集めている。
そして、スキルだが、罠感知が空間把握に進化させて、眷属の契約が眷属との命約に進化させたくらいか。魔法は2級だったのが1級になっただけ。
さて、スキルを2つ進化させたことでSPを15消費してしまった(眷属との命約が12、空間把握が3)ので残りSPは710となっている。問題はオリジナルのスキルまたは魔法にどれだけ費やすのかだ。
スキルポイント制度とかステータス制度はこういう世界を渡る展開の為だけに付けたんですけど、たまにしか表示してませんでした。
ステータスの攻撃とかって、どれに特化しているかだけなのであってもなくても変わらない気がするのですが、あった方が良いのでしょうか?




