プロローグ
二章のプロローグです。次回以降の更新予定は後書きに書いておきました。
彼を送り出してから6年が経過した今、僕たち勇者パーティは王城へと呼び出されていた。
「勇者エヴァンよ。未だに最後の四天王、そして元勇者パーティのトウヤは見つからずにいる。もう6年の月日が流れているのにも関わらずだ」
決していい話ではない。それどころか、悪い話だ。
人間に敵対する魔族は現れなくなったことはいい話だが、何も事情を知らない僕以外の人はトウヤが見つからないことに不安を募らせている。
王様なら僕の不手際に怒りを覚えるのも無理はないと思っていたのだが、王様の表情は怒りではなく、むしろ申し訳ないという表情をしている。
「それに対して、多くの王侯貴族からの苦情が私のところへ聞こえてくる。見てみぬふりは、もう限界だ」
覚悟を決めた表情で僕を見つめ、深呼吸をしてから話を続ける。
「勇者エヴァンには来月が終わっても尚、トウヤを見つけられぬ場合、咎人となることが決定した」
その日の夜、僕は日課である日記にペンを走らせていた。
この日記はトウヤを転移させてから書き始めたもので、これは6冊目だ。
今日はこんなところか。
日記を書き終えるとベッドの上で仰向けになって寝転がる。
分かっては、いたんだがな。
トウヤが転移のことを話してくれた時から問題として上がったいた内容が現実になってきたってだけの話。
力のある僕はもう、この世界には必要ないのかもしれない。
幸いにも咎人になるのは僕ひとりだけ、これが不幸中の幸いってやつか。
王侯貴族はまだ有力な魔族が生き残っている可能性を鑑みて妥協案として僕を咎人として生かすことを選択したのだろう。
咎人となったら魔物討伐を行う毎日にでもなるのだろうか?
戦力として確保したいのならご飯を食べさせない訳にはいかないし、健康状態だって万全にしておきたいはず。やらされるとすれば雑用とか戦闘くらいだと考え、トウヤの話を受け入れたのだ。
トウヤを転移させたことに後悔するつもりはない。勇者として、いや、違うな。仲間、友人、そして、憧れたから転移に協力したのだ。それに、ここはトウヤが生きるには些か居心地が悪い。
君がいなければ僕は勇者ではいられなかった。君がいたからこそ、僕は勇者としていられたんだ。
パーティにいた時も、魔王軍にいた時も、君が手を貸してくれたから上手くいったんだ。
決して他のメンバーが弱い訳ではない。他より圧倒的に強い僕には君以外が足手まといにしかならなかった。
トウヤだけは僕と近しい実力を持っていた。でも、それは僕の様な絶対的な才能ではなく、工夫だけで僕と張り合っていただけなのだ。
結果として、トウヤは賢者という称号を手に入れた。
君が僕に救われたように、今度は僕が君の願いを聞く番だっただけ。だけど、その結果で僕が不幸になることを望まないことくらい分かっている。
トウヤが教えてくれたトウヤの人間の肉体。これを見つければ良いだけの話。
後は適当に似たような顔の魔族のぐちゃぐちゃにした頭を持って行けばなんとかなるはず。
せっかくのトウヤの肉体だし、国に献上するとお墓も建てられないし(トウヤはまだ死んでない)しょうがない。
とは言え、早めに行動を起こす必要があるかな。
僕はこの6年間。僕を咎人にしたい人を探すのではなく、自分の身の安全性を保証してくれる魔法具を作っているのだ。
何の為に?念の為に。
後少しかかりそうだけど、完成までは1ヶ月もかからないだろう。
単刀直入に言うと次回の更新は1/3の予定です。
この章から入れ替りをする予定ですが、まだ何となくの話しか考えてないので、これから中身を考えていく予定です。
そして、二章以降は毎週日曜日の午前5時に投稿しようと思います。
この作品が面白かったと思う方はぜひ評価と感想を宜しくお願いします。
僕は他にも季節の恩恵を授かりし者たちという作品も投稿しているので、よかったらそちらもどうぞ。作者のマイページから飛んで読んで貰えたら嬉しいです。(処女作なのでこの作品より読みにくいと思いますが)




